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異世界冒険録~神器のアルケミスト~  作者: 成瀬りん
第13章 神々の空へ
761/911

761.ある種の三角関係

 ぱちり。


 ……そんな感じで、朝にすっぱりと起きることがたまにある。

 目覚めは結構良い方だけど、それにしてもすっぱりと。


 昨日の夜もいろいろと考えてしまったけど、朝になってしまえば一旦置いておこう。

 明るくなったら考えるのはほどほどにして、しっかりと動いていかないとね。


 何せ、時間は無制限にあるわけでは無いのだから。



 着替えをしてから廊下に出て、何となく窓から庭を眺めてみる。

 すると外から、ルークとジェラードが帰ってくるところだった。


 ……んん?

 こんな朝から、どこかに行っていたのかな?




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「お帰りなさーい!」


 玄関で二人を待ち伏せて、サプライズな感じでお出迎えをする。

 二人は当然、驚いてくれる。うん、良い感じ。


「アイナちゃーん! おはよー♪」


「アイナ様、おはようございます。

 こんなところで、どうされたのですか?」


「ちょっと早目に起きちゃってね。

 そしたら二人が戻って来るのが見えて……。

 ……それで? どこかに行ってきたの?」


「実はねー。ルーク君と、ちょっと剣の手合わせをね」


「えっ。もしかして、ハリアガルスを使って?」


「いえ、木刀を使った模擬的なものです。

 さすがに神器を使って、手合わせなんて危険ですから」


「……まぁ、アゼルラディアだとまわりを吹き飛ばしちゃうからね……」


 ルークは力の加減は出来るけど、それでも全力で振るう光景を考えてしまえば恐ろしい。

 さらに神器同士の戦いとなれば、本来はとんでも無く危険なものなのだから。


「それにしても、さすがルーク君だったよ。

 竜王の加護を抜きにして、僕の速さに付いて来られるなんてねぇ」


「そう言うジェラードさんこそ、私の剣を巧みに受け流していたじゃないですか。

 なかなか、ああはいきませんよ」


 ……おぉ。互いが互いを認め合う関係。

 良いなぁ、羨ましいなぁ。


「それじゃ、互角みたいな感じだったのかな。

 ちなみに実際、どっちが強いんです?」


「私ですね」

「僕だねぇ」



 ……ピリッ。



 空気が張り詰める、そんな音がしたような気がした。


「……いや。そうは言ってもですね、ジェラードさん。

 私がもう一歩踏み込めば、しっかり急所は突いてあげられたんですよ?」


「んんん? それならやれば良かったんじゃないのかな?

 戦いにも、剣の腕にも、『たられば』なんて無いんだよ?」


「ほう……?

 木刀の方が心配だったから、力は抜いていたんですけどね?」


「あれ以上の力が篭っていたら、ルーク君の動きはもっと鈍くなっていたよ?

 そんな状態で、僕の動きを捉えられたのかなぁ?」


「もちろんですね」


「はははっ、そんなことは無いよねぇ♪」



 ……ピリピリッ。



 何だかたくさん、空気が張り詰めまくっているような気がする。

 私、余計なことを言っちゃったかなぁ……。


「ままま、まぁまぁ!

 二人とも、疲れましたよね? 少し休んで、朝食にしましょ!!」


「……ふっ。アイナ様に救われましたね」


「ふふんっ。どっちが、かなぁ~♪」



 そのあと二人は、もう一度火花を散らせてから自分の部屋に戻って行った。


 うーん、ただ単純に仲が良いだけじゃないんだよなぁ。

 お互い、いちいちライバル視していると言うか……。


 でも同じ分野のライバルがいるって言うのは、やっぱり羨ましいかな。

 何せ私は、錬金術を最初からトップでぶち抜いているからね♪


 ……まぁ、スキル頼みなんだけど。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 朝食は何事も無く終わり、今日はそのままエミリアさんとお喋りをすることに。

 『水の迷宮』から戻って来て以来、まだのんびりしていなかったから……、たまにはそう言うのも良いよね。



「――そりゃ、アイナさんに言われたらそうなっちゃいますよーっ」


 先ほどの話をすると、エミリアさんはきっぱりとそう返してきた。


「うーん……。やっぱり、私のせい?」


「もちろんですね!

 ルークさんはご結婚されたとは言え、アイナさんのことを好きなことには変わりが無いんですから。

 好きな人の前なら、良い格好くらいはしたいじゃないですか」


「ぐぬぬ」


 この時点で、もう否定を出来ない私がいる。

 その辺りのことは承知しているけど、改めて言われると……うん、はい。


「それに、ジェラードさんも同じですよね。

 何せ、アイナさんには本気で求婚しているくらいなんですから」


「う、うーん……?

 確かにハリアガルスを作ったとき……に、何か言われましたけど……。

 でもあれって、そこまで本気では無いんでしょ?」


「いえ、かなり本気だと思いますよ?」


「またまたぁ」


「いやいやぁ」


 ……まぁ、改めて考えるとそうなのかもしれないけど……。

 でもジェラードとは、彼がナンパ師のときに出会ったわけだから……、いまいちそう言う対象としては見られないと言うか……。

 仮に見えたとしても、私が結婚自体をしないことには変わりが無いわけで……。



「――とまぁ、それは置いておいて」


「えーっ、置いておいちゃうんですか!?

 恋バナは女子の嗜みですよーっ」


「そ、そうですか?

 それじゃエミリアさんの話でも」


「はい、次の話題にいきましょう!」


「はやっ!?

 ……って言うか、実際どうなんですか?

 エミリアさんも、ほら。次の戦いが終わったら結婚するんだ――……的なところとか」


 ……そう言っちゃうと、何だかフラグが立ってしまいそうだけど。


「うーん……。

 アイナさんみたいな男性の方がいれば、本当は良いんですけどね」


「それ、どういう意味ですかね……」


「どういう意味と言われても、そういう意味なんですよね。

 私の人生、アイナさんで最適化されちゃってますから……」


「仮に私みたいな男性がいれば、エミリアさんはその方と付き合うってことですか?」


「いやぁ、それは嫌ですね。

 私がアイナさんを置いて、結婚するわけないじゃないですか」


「えぇ……?」


「はぁ……。アイナさんが男性だったら良かったのに……。

 もう、いっそ私の願いでそうしちゃいますか……」


「ちょちょちょ!? そんなのやめてくださいよ!?

 仮に私が男性になっても、エミリアさんとは結婚しませんからね!?」


「えぇー……。

 でもそれなら、アイナさんは今のままが一番ですね」


「そうですよ! そうですとも!」



 ……さすがに強制性転換は嫌すぎる。

 それに神様の力を、そんなことに使うのは……一体どうなんだろう。


 何だかそう言う意味でも、神器って恐ろしいものだなぁ……。

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― 新着の感想 ―
[一言] アイナさんなら、性転換薬とか作れそうだよな。
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