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異世界冒険録~神器のアルケミスト~  作者: 成瀬りん
第3章 鉱山都市ミラエルツ
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69.アイナさんのまとめ@ミラエルツ

 日も暮れ、夕食も終わり、今は宿屋の部屋で一人きり。


 今日はアドルフさんのお店で『なんちゃって神器』の剣を注文して、あとは結局、街をふらふらして終わってしまった。


 ――でも、たまにはこういうのも良いよね?

 先を急ぐ旅でも無いし(というか滞在期間は決めてるし)、今のこの時間は今しか流れないのだから。


 例えば王都まで着いてしまうと、そこでもうエミリアさんは私のパーティから離脱してしまう予定なのだ。

 そんなことを少しでも考えるとなんとも切なくなってしまう。


 人生は出会いと別れの連続だ――とはいってもそれはそれ、簡単に割り切ることができないのが人間というものか。




「――まぁ、そこらへんは置いておいて……」


 よし、そろそろアドルフさんから聞いた貴重な情報――錬金術の『置換』を試してみようかな!


 『置換』とは『何か』を『別の何か』に置き換える、という意味だ。

 まぁぶっちゃけそのままの意味なんだけど、こと錬金術においても同じ意味であると信じたい。


 とりあえず以前作った『超豪華なアイアンダガー』をアイテムボックスから取り出してみる。

 超豪華……とはいっても、そう作ろうと思っただけで、実際は変なでこぼこの付いた出来そこないのダガーなんだけどね。

 ひとまずこれは使い道が無いし、今回の実験に役立ってもらうとしよう。


 ちなみにこのアイアンダガーは、端から端まで全部鉄製のシンプルなもの。

 今回の実験では、これの『鉄』の部分を全部『炭』に置き換えてみようと思う。つまり、成功すれば『炭の剣』になるわけだ。

 ……『炭の剣』。成功しても結局は使い道は無さそうだけど。脆いだろうし。


「さて、それで……『置換』ってどうやればいいんだろ?」


 当然のように出て来る疑問。しかし何はともあれ私の錬金術のスキルはレベル99なのだ。

 事前知識も無くできるのでは――と思うのは甘えだろうか。


「とりあえずアイアンダガーをアイテムボックスに入れて……れんきんちかーん?」


 バチッ


 いつもの音と共に手の上に現れたのは『超豪華なアイアンダガー』の形をした黒い炭。


「……できました」


 世の中の錬金術師さん、申し訳ありません。

 今日も今日とてあっさり出来ました。ちなみにちょっといじったら、刃のところがポキンと折れてしまいました。




 次に、第二の実験として『アイテムの一部を置換できるか』ということを確認してみたい。

 アイアンダガーのように全部が同じ材料でできているアイテムの方が珍しいから、この実験は必須だよね。


「とりあえず実験用に丁度良いアイテムが無いから作るか……れんきーんっ」


 バチッ


 手の上に現れたのは赤いルビーがひとつ埋まったシンプルな鉄製の指輪。

 私の錬金術ではこれくらいのごくシンプルなものしか作れないのが玉に瑕だ。


「さて、このルビー部分を何かに変えてみようかな。……さすがに炭は何だかもったいないから、他の宝石にしてみよう」


 ……分かりやすく、アメジストとか?


「はい、れんきんちかーんっ」


 バチッ


 手の上には、青いアメジストがひとつ埋まったごくシンプルな指輪が現れた。


 おっけーおっけー。ちゃんとルビーをアメジストに置き換えることができたぞ。

 つまりいくつかの素材で作られたアイテムであっても、狙った一部を置き換えられるということだ。

 『なんちゃって神器』にガラス玉が埋め込まれても私なら自由に置き換えられる――ってことになるわけだね。


 ちなみに補足しておくと、『置換』によって置き換えられた方……『超豪華なアイアンダガー』の『鉄』の部分や、『ルビーの指輪』の『ルビー』の部分については、しっかりアイテムボックスに格納されていた。

 つまり何回置換しようが無くなるものはない、とてもエコな仕様というわけだ。


「……ふぅ、それじゃ休憩。少し喉が渇いたかな……」


 誰にともなく言いながら、『お湯』を作ってお茶を淹れる。

 この一連の流れも最近はごく普通の作業になったものだ。




 ――さて、最近といえば、ここのところ色々なことが目まぐるしくおきていたし、そこら辺もちょっと整理してみようかな。

 色々ありすぎてややこしくなってるからね、ホント。


 今現在、私たちは鉱山都市ミラエルツに滞在している。

 この滞在はそもそも金策のためだったのだが――ダイアモンド原石とジェラードの活躍により、手持ちのお金は金貨6500枚程度に大きく膨らんでいる。

 正直いって稼ぎ過ぎたのだが、今のところ誰にも迷惑を掛けていないので良しとしておこう。

 ……コンラッドさんが気に病んでそうだけど、それは置いておいて。


 そしてミラエルツ滞在中に増えたこと。

 まずはコンラッドさんから受けた依頼の『浪費癖を治す薬』については、必須では無いけど出来れば対応したいところだ。でも、正直何をどうすれば良いのか分からない。


 次に『なんちゃって神器』の作成。これはアドルフさんに依頼済みで代金も払っているから、あとはもう待つだけだ。ミラエルツを離れる頃には出来上がるかな?


 そして最後に、ガルーナ村からガルルンの置物を受け取って流行らせようと思っていたのだが――これは残りの二週間では何も出来そうにないかな?

 これについてはミラエルツで広めるのは諦めて、次の街か王都で頑張るのでも良いかもしれない。


 辺境都市クレントスから王都までの道のりの三分の一ほどの場所にあるのがこの鉱山都市ミラエルツ。

 また三分の二ほどのところにある街もそれなりに大きいそうなのだが――今のところ、そこに滞在する理由は無いかもしれない。

 それならいっそ、一気に王都に向かってしまうのも良いかな?


「……ああ、でもそうすると、エミリアさんとのお別れが早くなるんだなぁ……」


 でも多分、王都にはそれなりに長く滞在することになると思うんだよね。

 エミリアさんとお別れするのは王都に戻ったときか、それとも王都から離れるときか――そこでもずいぶん変わりそうだ。


 もし前者――戻ったときにお別れになるのであれば、次の街で少しのんびりしても良いかもしれないかな。

 うん、どこかでエミリアさんに聞いてみることにしよう。




 ――そして最後、私の旅の目的……神器作成についても触れておこう。


 そもそも何故王都に向かっているのかといえば、神器に関する情報収集のために向かっているのである。

 私がどういう神器を作るかはまだ決まっていないのだが、唯一見たことのある神器『神剣デルトフィング』の素材はこんな感じだった。


 ----------------------------------------

 【『神剣デルトフィング』の作成に必要なアイテム】

 ・オリハルコン×10

 ・ミスリル×3

 ・氷竜の魂×1

 ・浄化の結界石×1

 ・氷の魔導石×24

 ・光の魔導石×8

 ----------------------------------------


 『神剣デルトフィング』と同じジャンルの『剣』を作るイメージでいるので、恐らくはオリハルコンとミスリルは必要となるだろう。


 『ミスリル』についてはミスリル鉱脈から採れること、高価ながら市場に流出する場合があることは分かっている。

 いざとなればダイアモンド原石を大量に作って、それを売ったお金でミスリル買う――というのも選択肢としては有りかもしれない。


 『オリハルコン』については、エミリアさんからの『自然界には無い』という情報しか今のところは無い。

 仮に錬金術で作るとしても――私の勘ながら、『賢者の石』が必要になると思われる。何せミスリルを錬金術で作る場合にも必要なのだからね。


 とすると、『賢者の石』はどうやって作るのか? これまた情報が無い。

 しかし『賢者の石』は、(各種の創作物を見てみると)錬金術の究極の目標のひとつであることが多いから、錬金術師の多そうな王都なら情報が入るかもしれないのだ。


 そして情報がもしかしたらあるかもしれないもうひとつが、竜の魂。

 その名前の通りいわゆる竜の魂なのだろうが、これはどうやって手に入れるのか? そもそも竜を倒す必要があるのか?

 そこら辺からしてもう謎である。せめて竜の居場所くらいは分かってくれると良いのだけど。


 それ以外、残りの石については名前からしてそこまで大変そうでは無いかな? と、私はたかをくくっている。

 仮に集めたところで、ここまで同じにしてしまうと神剣デルトフィングが出来てしまいそうだしね。


 私が作る神器は、既にあるものではなくオリジナルのものを――と思っていたんだけど、そういえばオリジナルって何だろう? などとふと思ってしまった。

 そもそも自分で全部を設計しなければいけない? いや、そもそも神器のレシピって決まったものがある? そもそも自由自在に作れるの? オリジナルって作り得る?


 ――そこら辺をひっくるめて、今のところ見通しは全然なのだ。


「……はぁ、分からないことだらけだね」


 前人未踏の分野を進むのだから、それは仕方の無いことだ。それが大変であり、面白くもある。

 しかし――


「そういえば、今ある神器は全部で三つ。それって誰が作ったんだろう……?」


 現存する三つの神器は神様が作ったのだろうか? もしくは昔、私と同じように『極限の創造技術』――神器を作り得るスキルを持った人がいたのだろうか?

 どこかに情報が残されているのであれば、そこら辺も調べてみたいものだけど――


「ふむぅ、そう考えるとさっさと王都に行って情報収集をしたいなぁ……」


 色々な感情が私の中で取り巻いているのが分かる。

 あっちを立てればこっちが立たず。何だかそんな感じだ。


「……はぁ、上手くいかないものだね……ふわぁ……」


 あくびを噛み殺しながら時間を見ると、もう24時前になるところだった。

 明日は普通に冒険者ギルドの依頼を受ける予定だし、そろそろ眠ろうかな?


 それにしてもミラエルツでは現在進行中でいろいろやってるから、残りの期間でちゃんと上手く終わるように考えていかないと――……。


 ――……ああ、もうダメだ、目が重くなってきた。今日はもう寝――……

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