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異世界冒険録~神器のアルケミスト~  作者: 成瀬りん
第3章 鉱山都市ミラエルツ
42/911

42.指輪と蛇と②

 昼下がり。


 広大な岩場。たまに草木が生えている程度の、殺風景な光景。

 探し物の依頼で教えてもらった場所はそんな場所。頑張っても他に形用しようが無い場所だった。


「え、ここを探すんですか? アイナさん、大丈夫ですか……?」


 目の前の広大な景色を見て、エミリアさんも心配そうに聞いてくる。


「うーん、確かに思った以上にだだっ広いですね……。もう少し絞られているとは思ったんですが……」


「それにしてもこの広さで金貨1枚と銀貨25枚なんですよね。アイナさんが受けなければ、きっと誰も受けなかったでしょうね……」


「そうですねぇ……。でもこういうのも人助けですよね。人助けにしてはお金ももらえますし。うん、お得な人助けですよね?」


「ふふふ。やっぱりアイナさんって良い人ですよね」


 良い人……なのかな?

 情が弱点なだけじゃないかな、とも思うけど。


「それじゃ早速始めますね。ルークとエミリアさんは何も無ければのんびりしていてください」


「え? 何もしないで良いんですか?」


 エミリアさんの質問にはルークが答えた。


「はい。アイナ様が鑑定スキルで周囲を探索しますので、それをお待ちいたしましょう。

 さすがにこんな広い場所では、二人で探したところで何の助けにもならないでしょうし……」


「え? 鑑定スキルで探すんですか? ……何だか私の知っている鑑定スキルと違います……」


 それ、ガルーナ村の人にも言われたから!

 ――などと内心ツッコミを入れつつ、とりあえず依頼の指輪を探すことにした。


 よーし、それじゃ広範囲用のかんてーいっ!




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 【普通の岩】

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 【固い岩】

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 【枯草】

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 【石】

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 【サソリ】

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 【埃】

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 【回転草】

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 【空き瓶】

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 ――なかなか見つからないが、15分くらいしたところでようやく引っ掛かった。


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 【指輪】

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「あ! とりあえず指輪みっけ!」


「え!? ほ、本当に分かったんですか?」


 ええっと、詳しくかんてーい!


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 【思い出の指輪】

 結婚指輪。夫婦の愛が刻まれている

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 うん、多分これだね。


「はい、間違い無いと思います。少し歩く感じですけど、取りにいきましょう」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 10分ほど歩いた場所、僅かに存在していた草むらに指輪が落ちていた。


「あ、これですね」


 私が指輪を拾い上げるとエミリアさんが覗き込んできた。


「わぁ~、綺麗な指輪ですね。この部分、何だか不思議な色に輝いてますよね」


 エミリアさんが指差したところは灰色と黒色の中間、そんな色で煌めきを放っていた。


「本当ですね。へー、すごく綺麗~……」


 そんな話をしていると、ルークも参加してきた。


「アイナ様、もしかしてその金属……ミスリルでは無いですか?」


「え? ミスリルって……例の、魔法金属の?」


「はい。他の金属と合わせると別の色合いになってしまうのですが、ミスリル単体ではそういった色を出すんです」


 へー。何となく青っぽいイメージだったけど、こんな色だったんだね。

 一応、調べてみようかな。


 えーっと、素材を調べるのは――『創造才覚<錬金術>』だね。


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 【『思い出の指輪』の作成に必要なアイテム】

 ・ミスリル×1

 ・白金×1

 ・金×1

 ・ダイヤモンド×1

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「……うん、確かに素材にミスリルが入ってるね。ふーん、これがミスリルかー」


「私もミスリルを実物を見るのは初めてですね。うーん、良いものを見せて頂きました! 私も欲しいですー」


 うん、本当に綺麗だしね。

 赤色とか青色みたいな華美なものでは無いけど、しっとりとした存在感が大人の雰囲気。


「アイナ様、この依頼はこれで達成ですね」


「本当にすごいですね。合計で30分くらいしか掛かっていませんよ! これで金貨1枚と銀貨25枚なら……かなり割が良いですね」


「まともにやったらかなり割は悪いですけどね……。この範囲を普通に探すのでは、一日では無理ですし――」


 私が苦笑しながら返すと、エミリアさんはなるほど、といった表情を浮かべた。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 先ほどの場所とは少し離れた岩場。


「エミリアさん、気を付けて!!」


 ルークの大声が響く。

 ラージスネイクを見つけてルークが対峙したところまでは良かったのだが、間隙を縫って後ろに控えていたエミリアさんに向かったのだ。


「大丈夫です! パージング・フィールド!」


 エミリアさんと私の周囲にうっすらとした白い場が生み出された。

 この魔法は――敵の攻撃力を削ぐ聖魔法、だったよね。


 ズザザザザ!!


 ラージスネイクは声を立てず、砂埃を巻き起こしながら素早く移動する。

 ……そういえば蛇って鳴くことあったっけ? ……いやいや、そんなことを考えてる場合じゃなかった!


 ズザッ!!


 あ、ラージスネイクが白い場の手前で一旦止まった。

 エミリアさんはそれに反応して、攻撃魔法を唱える。


「シルバー・ブレッド!!」


 聖なる力、その塊がラージスネイクの額に向かって撃ち放たれる――


 ――が、すんでのところでかわされた。


「ああ! エミリアさん惜しい――」


 エミリアさんがラージスネイクと応戦している間に、ルークが猛然とした勢いで間を詰めてくる。


「ハァッ!!」


 ザン……という音と共に、ラージスネイクに初太刀が入った。


「コオオオオオオッ!!」


 鳴き声、ではなく激しい息遣い。ラージスネイクの叫びが響いた。

 うわぁ、身体が大きいだけに、呼吸だけでもうるさい……!


「ルークさん、続けてお願いします! ホーリー・バインド!!」


 エミリアさんが魔法を唱える。

 その瞬間、ラージスネイクは上から衝撃を食らったような感じでびくっと震えた。

 名前からして、恐らくは束縛魔法――


「ハアアアッ!!」


 そしてルークの強力な攻撃。

 その攻撃はラージスネイクの首筋を斬り裂いて――そのまま絶命させた。




「二人とも、お疲れ様でした!」


「はぁ、はぁ……。いや、すいません。やはりラージスネイクは後衛に向かってしまいますね。でも、エミリアさんの機転で助かりました」


「いえいえ、私が持ちこたえられる時間なんてそんなに無いですから! ルークさんが即倒してくださったので何とか……って感じでした」


 はい。私は無力でした。分かっていたとはいえ!




 しばらく呼吸を整えた後、討伐の証拠品を確保することに。


「ラージスネイク討伐の証拠品って何かな?」


「えぇっと……牙2本か目玉2個ですね」


 ……目玉はちょっと生々しいなぁ……。


「牙にしておく?」


「そうですね、目玉は扱いが難しいですし」


 え、理由はそこ? ……まぁ、慣れの問題……なのかな……?

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