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異世界冒険録~神器のアルケミスト~  作者: 成瀬りん
第3章 鉱山都市ミラエルツ
41/911

41.指輪と蛇と①

「おはよー」

「おはようございます、アイナ様」

「おはようございますー」


 翌日の朝、部屋の前で待ち合わせ。今日はちゃんと起きることが出来たぞ!


「ルーク、昨日は遅かったの?」


「いえ、1時頃には戻ってきましたのでそんなには」


 私が寝たのは24時前だから、それよりも1時間以上遅かったんだなぁ……。


「うん、お疲れ様。それで様子はどうだった?」


「はい、少し中に入ると入り組んだところが多いので……もう2、3日は夜に出掛けようかと思っています」


「そっか、分かったー。でも何かあっても無理しないでね」


「はい。アイナ様にもらった高級ポーションもありますし、気を引き締めていきます」


 高級ポーションのお世話にならないのが、何よりも一番なんだけどね。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 朝食を取った後は冒険者ギルドへ。

 今日も今日とて依頼を2つくらい受ける予定だ。


「さて、それじゃ3人で良い依頼を探しましょう」


「「はい」」


 広い掲示板を3人で物色する。

 掲示板に張り出された依頼はカテゴリ分けのようなものがされておらず、特定のものを探すには効率が悪かった。

 依頼内容でもう少し場所を分けてくれても良いのになぁ……。


 えーっと、これは魔物討伐……こっちも魔物討伐……これも魔物討伐。


 ああもう、魔物討伐はルークに任せるから、それ以外のを見せてよー!

 ええっと、こっちは見たから次はあっち――


 ドスン!


「――あ、すいません! 不注意でした」


 余所見をしていたら初老の男性にぶつかってしまった。

 慌てて謝罪をする。


「大丈夫、大丈夫。これくらいなんともないよ」


 そう言いながら笑顔を返してくれる。

 ああ、優しい人で良かったー。


 そして再び、掲示板に目を移す。


 ええっと、これも魔物討伐……あれも魔物討伐……それも魔物討伐……。

 魔物討伐しか無いんかーい!!


 ……少し休憩、ということで掲示板から目を逸らすと、先ほどぶつかった初老の男性が先ほどの場所でそわそわしていた。

 誰かが来るとそれを目線で追い、行ってしまうと少し落胆するような……。


 うーん、何かあるのかな?


「すいません、何か困りごとでもあるんですか?」


「ああ、さっきのお嬢さんか……。実はね、私の依頼もここに張っているんだ……」


「依頼者の方だったんですね。えーっと、これですか?」


 見ると、『探し物』の依頼だった。


「うん……。実はこの前、街の外に行ったんだが……魔物に襲われたんだ。

 魔物からは何とか逃げられたんだが、そのどさくさに紛れて亡き妻からもらった指輪を無くしてしまってね……」


「ええ? それは大変でしたね……」


「それでこの依頼を出したんだが……。しかし私から出せる報酬なんてそんなに多くは無いし、それに大まかな場所は分かるものの、広大な場所で小さな指輪を探すなんてね……。

 強い人は魔物討伐の方が割が良いし、強くない人には危険な場所だし……」


 報酬を確認してみれば金貨1枚と銀貨25枚。

 ケチってるというよりも、本当にこれ以上出せなさそうな雰囲気が漂っている。


 うーん、でもこういう話に私は弱いんだよね。

 それに、私なら案外あっさり見つかりそうだし。ガルーナ村でダンジョン・コアを探したときみたいに。




「ルーク~、エミリアさ~ん!」


 大きな声で二人を呼ぶ。


「どうしましたか、アイナ様?」

「良い依頼でもありましたか?」


「あ、うん。この依頼を受けたいんだけど」


 二人に探し物の依頼を提示する。


「ふむ、探し物ですか……」


「うん、ガルーナ村でほら、黒いアレ、探したことあったでしょ? あの要領ならすぐ見つかるんじゃないかなって」


「なるほど。確かにあれが使えるのであればアイナ様の独壇場ですね……。私は問題無いと思います」


「よく分かりませんけどルークさんがそう言うなら大丈夫かと思います~」


 エミリアさんはどこかのどかだ。


「――というわけで、この依頼はお受けしますね!」


 初老の男性に伝える。


「おお……本当かい? ありがとう……ありがとう……」


「いえいえ! それじゃ、吉報をお待ちください」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「――というわけであの依頼を受けるわけだけど、その近場で他には何かあるかな。

 さっきの人、その場所で魔物に襲われたって言ってたけど」


「その場所だと……ありますけど、ちょっと大物ですね……」


「大物?」


「これです。ラージスネイクの討伐依頼になります」


「え? ラージスネイク……」


 ……大きい蛇?


「緑色の巨大な蛇なんですが……ガルーナ村の大蛇よりも素早いですね。移動範囲も広いので、距離を取っていても危険になる可能性があります」


「それって強い?」


「私一人が正面切って戦うのであればぎりぎり勝てる……くらいなのですが、お二方の力があれば、問題無く倒せると思います。

 それくらいの強さということもあって、報酬も金貨5枚と高めですね」


 金貨5枚! いいじゃない!

 ……でも昨日のガルーダよりも難易度は高いんだよね。


「うーん、危ないなら止めておく?」


「いえ、あまり楽な戦いばかりしていると成長出来ませんからね。私としては挑戦してみたいところです」


「エミリアさんは、どう?」


「私もルークさんと同感です! アイナさんが良ければ、受けてみませんか?」


 ふむ、向上心の強いパーティだ!


「それじゃこの依頼と、さっきの探し物の依頼の2つだね。それじゃ受けてくるー」


「あ、それなら私が――」


「いいからいいから! こういう仕事もちゃんとやらせて~」


 うん、さりげにこういう細かい仕事も好きなんだよね。

 出来るときはしっかりやっておかないと、ね!

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― 新着の感想 ―
[一言] 初老の人‥絶対スリだと思ったのに‥w 心が汚れてたみたいです(*´ω`*) 続き読んできますー
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