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異世界冒険録~神器のアルケミスト~  作者: 成瀬りん
第3章 鉱山都市ミラエルツ
35/911

35.検討、そしてひとつの答え

 部屋に入って一息つく。


「まったく、エミリアさんったら――」


 想定外のことを言われて、何だかよく分からない動悸がちょっと止まらない。うん、ひとまずこれは置いておこう。

 あ、間違っても恋心ではないからね。良い子の皆は誤解しないように。




 ――まぁそれはそれとして、せっかくの一人の時間だ。しっかりのんびり(?)しよう。


 今回取ったこの部屋は銀貨8枚の部屋。

 クレントスでは悠然と金貨1枚の部屋に泊まっていたからそれに比べると――という感じはあるけど、ランクがひとつ落ちようが特段の問題は無い。


「お風呂は欲しかったけど……まぁ、仕方ないか」


 うん、お風呂だけはちょっと残念ではあるんだけどね。

 何せ宿代は三人分掛かるから、出来るだけ節約しないと。

 私とエミリアさんを同じ部屋にしても良かったんだけど、私はプライベートも出来るだけ大切にしたい派なので今のところはパスで。


「それにしても……うーん、久々にのんびりできそう……!」


 伸びながら独り言をつぶやく。


 ガルーナ村では色々あって『村を救った錬金術師』っていうポジションになっちゃったから、少し堅苦しく振る舞っていた節があった。

 それはそれで悪く無いんだけど、私はそもそも普通の庶民。

 英雄視されるよりは『旅をしているただの錬金術師』の方が、よっぽど居心地が良いのだ。


「――とりあえず今日はやりたいこともあるし、先に身の回りのことを済ませておこうかな」


 私はひとまず、着替えなり明日の用意をぱぱっと済ませることにした。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 ――というわけで、ぱぱっと済ませてきた。

 このまま寝落ちしても今日はもう問題無いぞー!


「ひとまずお茶でも飲もう。えい、れんきーんっ」


 バチッ……という音と共に『お湯』を作る。


 この技術――というか発想は今日生まれたばかりなんだけど、本当に便利だよね。


 お風呂が無くても身体を拭くときにお湯を使えるし――って、さっき水で拭いちゃったよ!!

 何でそのとき気付かなかった、私!!

 ……ま、まぁいいか。明日からはお湯を使おう……。


 一人ツッコミを入れながら、アイテムボックスからお茶セットを出してお茶を淹れる。

 うん、お茶セットは一人用のを揃えても良いかもしれない。ふふふ、これは使用者特権ってやつかな?




 ――さて、ここまでは昼にやったことだから出来るのは分かっていたのだけど、次はルークの言っていた『果物からジュースを作る』を試してみようと思う。

 普通に作れば良いじゃん? とも思うのだが、何せ錬金術で作れば楽だし、安定のS+級になるからね。手軽に美味しい味が約束されるのだ。


 ちなみに果物はクレントスでおやつ用のリンゴを買っていたので、今回はリンゴジュースを作ろうと思う。


「――というわけで、れんきーんっ!」


 バチッ……という音と共にリンゴジュースっぽいものが出来る。


「そしてかんてーいっ!」


 ----------------------------------------

 【リンゴジュース(S+級)】

 リンゴの果汁

 ※追加効果:美味(小)

 ----------------------------------------


 ……。


 うん、普通に出来たぞ。


 飲んでみる。


「うん、美味しい」


 ……うん、美味しいぞ。


 ……。


 こう言ってはなんだけど、もう少し何かあると思ったんだけど、普通すぎてもう何も言うことがないや。解散。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 はい、集合。


 さて、次のお題は杖である。アイーシャさんからもらった杖。


 これにはめられた『空箱の魔石(小)』。

 鑑定すると――


 ----------------------------------------

 【空箱の魔石(小)】

 重量を15%軽減する

 ----------------------------------------


 ――という代物だ。


 エミリアさんの話によると、これの相場は金貨10枚くらい。私の元の世界のお給料でいうと2か月分くらいだよ。

 もしこれを作れるとなったら――自分たちで使うも良し、売っても良しになるんじゃないかな?

 というわけで早速、ユニークスキル『創造才覚<錬金術>』で素材を確認ッ!!


 ----------------------------------------

 【『空箱の魔石(小)』の作成に必要なアイテム】

 ・無垢の魔石×1

 ・空箱の力×1

 ----------------------------------------


 ……大体そのまんまだし、ヒントも何も無い……ッ!!


 解散。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 はい、集合。


 逆に考えるんだ。『空箱の魔石(小)』があるのなら『空箱の魔石(中)』や『空箱の魔石(大)』もあるのだろう、と……ッ!!

 もしかしたら、『空箱の魔石(小)』を素材に『空箱の魔石(中)』が作れるかもしれないのだ……ッ!!


 というわけで早速、杖からひとつ外してアイテムボックスに入れる。

 そして……ユニークスキル『創造才覚<錬金術>』ッ!!


 ----------------------------------------

 【『空箱の魔石(小)』による作成可能なアイテム】

 ・空箱の魔石(中)(材料が足りません)

 ----------------------------------------


 おお、小は中の素材になる! ……ことは分かったのだが、材料が何か足りない。

 もしかして2つ要るのかな? と思い、杖からもうひとつ外してアイテムボックスに入れる。


 ----------------------------------------

 【『空箱の魔石(小)』による作成可能なアイテム】

 ・空箱の魔石(中)(材料が足りません)

 ----------------------------------------


 状況は変わらず。

 もしかして3つなら――? 杖からもうひとつ外してアイテムボックスに入れる。


 ----------------------------------------

 【『空箱の魔石(小)』による作成可能なアイテム】

 ・空箱の魔石(中)

 ----------------------------------------


 ……!!

 『空箱の魔石(中)』を作るには『空箱の魔石(小)』が3つあればいける……!?


 じゃ、早速―― と思ったけど、何か嫌な感じがしたので手を止める。


 『空箱の魔石(中)』の効果を知らないんだけど、もし軽減する重量が45%未満なら、杖が今より重くなっちゃうわけで。

 (※ 小が3個だと『15%×3個=合計45%軽減』、中が1個だと『?%×1個=合計?%軽減』だからね)


 せっかく作っても今より不自由になるのは嫌だし、効果は先に押さえておきたいなぁ。

 よし、それは明日にでもエミリアさんに聞いてみよう。

 もし45%以上になるなら魔石スロットが1個で済むようになるし、『空箱の魔石(中)』にしちゃおうかな?




 それにしても――。


 作りたいものが想像ベースで存在するのに、且つ素材の持ち合わせがあるのに、それでもなお何回も試行しなきゃいけないのって結構面倒だよね。

 今回も『空箱の魔石(中)』を作るには『空箱の魔石(小)』が3つ必要なことは分かったけど、それ以外にもアイテムボックスの中の何かを必要としているかもしれないし。


 『創造才覚<錬金術>』は『実際に作るものを見る』か『素材を全部持っている』かしないといけないから、想像して何かを作るのには不向きなんだよね。

 これとは逆の、想像から入れるスキルがあれば良いのに――。


 あ、そうだ。今のところ正体不明のユニークスキルがまだあったよね。


 『英知接続』と『理想補正<錬金術>』。

 ちなみに鑑定スキルで復習すると、こんな感じのユニークスキル。


 ----------------------------------------

 【英知接続】

 不明瞭な情報を明瞭にする

 ----------------------------------------

 【理想補正<錬金術>】

 イメージを理想的に再現する

 ----------------------------------------


 今回の場合は何かを『想像するところ』から始められたら良いな――ということなんだけど、『理想補正<錬金術>』は何だか違うっぽい。

 こっちは何となく、『実際に作るとき』に補正を掛けてくれる……みたいな感じがする。


 どちらかといえば『英知接続』の方が今求めているものに近いと思うんだけど……意識を傾けても何も無い。


 うーん、どうしたものか。




 5分考えて閃いた!


 『収納』と『工程省略<錬金術>』をリンクさせて錬金術の全工程を省略しているように、別のスキルとリンクさせてみるのはどうだろう。


 例えば今回の場合だと『空箱の魔石(中)を作りたいなー』っていう想像を『英知接続』に流して、そこから『創造才覚<錬金術>』にリンクさせる……みたいな。


 つまり、『実際に作るものを見る』という条件を『英知接続』で代替させる感じ。

 漠然とした想像……つまり『不明瞭な情報』が『明瞭』になって、その『明瞭になった情報』を元に『錬金術』で具現化する。


 おお、案外ありそうじゃない!? よし、早速やってみよー。




 ――えっと、


 『空箱の魔石(中)を作りたいなー』


 からの『英知接続』――


 からの『創造才覚<錬金術>』――


 ――――


 ――――――――


 ――――――――――――ッ!!?


「痛ッ!」


 突然、頭が痛くなった。

 そしてその後――


 ----------------------------------------

 【『空箱の魔石(中)』の作成に必要なアイテム】

 ・空箱の魔石(小)×3

 ----------------------------------------


 ――頭の中に、欲しい情報が現れた!


「おお、いけるんだ……! 『英知接続』……すごいっ!!」


 これは今までの不満を解決する神スキル!

 ……いや、最初から持っていたんだけど、鑑定ではそこまで教えてくれなかったしね。


 これを使いこなせれば、オリジナルアイテムや神器なんかも作れるんじゃない!?




 ――ズキン。


 ……いや、うん。それにしてもこの頭痛……、何だろう?


 どう考えても『英知接続』を使った影響っぽいけど……もしかしてこのスキル、身体にすごい負荷が掛かるのかな?

 いわゆる多用するのが難しいスキルってやつ……。ぐぬぬ。


 うーん、それにしても何だか一気に疲れちゃったなぁ……。

 とりあえず扱いは難しいかもしれないけど、ユニークスキルの使い方がひとつ分かったから良しとしよう。うん、大収穫!




 よし、今日はもう寝ることにしようかな。

 それじゃまた明日。おやすみなさーい。


 あー、うん。頭が痛いー。

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