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異世界冒険録~神器のアルケミスト~  作者: 成瀬りん
第5章 王都ヴェセルブルク
172/911

172.第1回神器検討会議①

「それはそれとして、第1回! 神器検討会議~♪」


「わーい!」


「は、はい……」


 夕飯をとったあと、今回はなんとなく客室で話をすることにした。

 いつもと違う部屋で緊張感を持って臨みたい……という思いもどこかにあるのかもしれないが、正直ただの気まぐれである。


 ノリノリの私とエミリアさんに対して、いまいちノリの感じられないルーク。

 今は悩みを抱えている最中だから、まぁそれも仕方が無いか。


「今日は大聖堂のお部屋を黙々と掃除していましたから、ここは頑張ってたくさん発言しますよ!」


「よろしくお願いします! ……でも今回は剣の話ですけどね」


「話すことはあまり無さそうでした!」


「あはは……。

 えっと、まず私の作りたい神器の形は『剣』です。

 みんなご承知の通り、ミラエルツでアドルフさんに作ってもらった『なんちゃって神器』の剣をベースにします」


「アイナさん、イメージしやすいように現物を出しておきましょう!」


「あ、そうですね。それじゃルーク、出すから受け取ってー」


「はい、いつでもどうぞ」


 アイテムボックスから『なんちゃって神器』の剣を出してそのままルークに渡す。

 私が1人で持つにはちょっと重いんだよね。体勢を崩してしまうので、誰かの補助が必要なのだ。


「うーん……やはり立派な剣ですよね。

 最初はアイナさん、何て無駄遣いするんだろうって思っていたんですが、神器にするなら納得です」


「まぁ、そう思いますよね……。

 あのときはまだ言うつもりは無かったので、肩身の狭い状態で作ってもらったわけです」


「ではこの剣は、こちらに置いておきますね」


「うん、よろしく。

 今は模造剣みたいなものでナマクラなんだけど、一応怪我をしないように注意してください」


「はーい!」

「はい」


「さて、それじゃ参考に以前私が見た『神剣デルトフィング』の情報を出しますね」


 そう言いながら、以前鑑定した結果を宙に映し出す。


 ----------------------------------------

 【神剣デルトフィング】

 形状:神器<剣>

 属性:水

 熟練:72/100

 特殊:超斬撃 全攻撃補正 不死特効 悪魔特効 炎特効 全種族攻撃UP 状態異常耐性UP 装備限定<英雄>

 加護:氷の加護

 ----------------------------------------


「ひゃぁ……」

「おお……これは凄い……」


「何だか凄いですよね! これを見たら、作りたくなっちゃいますよね?」


「そうですね……。もし自分に作れる力があるなら……確かに!」


「『装備限定<英雄>』……ですか。やはり選ばれた者にしか使えない、ということなんですね……」


 ルークは憧れを頂くような感じで眺めていた。

 『英雄』という響きには、やはり思うところはあるのだろう。


「誰でも使えたらそれはそれで危険だしね。

 使える人を限定する代わりに強くする、誰でも使えるなら弱くする――うん、そんなものだよね」


「確かにそうですね。優れた業物を使うには、自らも優れていなければ――」


「うん、みんな頑張ろうね。日々上を目指しましょう。

 ――さて、今回はこんな感じの『設定』を決めたいなって思います」


「全部をそのままにしたら同じ剣ができちゃいますもんね。

 ここはやはりグレイトでスペシャルなオンリーワンを目指しましょう!」


「そ、そうですね。でも使える範囲でお願いします!」


「さすがにそれは大丈夫です!」


「本当でしたか!?

 ……っと、ではまず属性を決めましょう」


「光属性ですね!」


「エミリアさん、早い!」


 そうは言うものの、私のイメージも光属性である。

 なんだか一番聖剣っぽいし、格好良く感じる。……これも一種のステレオタイプだろうか。


「そうですね、私も光属性が良いかと思います。うん、格好良いですね」


「ルークもそこ!?」


「え? ははは、やはり正義っぽい感じがしますからね。

 私は神器という響きからは、光属性を連想します」


「そういえば今、世界にある3つの神器って属性は何なんだろう?」


「『神剣デルトフィング』は水属性、

 『神剣カルタペズラ』は火属性、

 『神剣ナナフヴァドス』は土属性になります」


「おお、さすがルークは詳しいね。……私に至っては3つ目の神器の名前、今初めて知ったよ……」


「私は1つしか知りませんでした……。

 でもこの流れだと、何となく風属性にしても良さそうですか?」


「いやいや、別に流れを踏まえる必要は無いですよ!

 それにシリーズ化をするなら、私も作りたいですし」


「……と言うと、作る神器は1つということでは無いのですね?」


「まず1つ作ってから考えてみようかなって。

 大量生産するものでも無いけど、いくつか作るくらいなら問題ないでしょう」


「そうですね。何故か今までは剣ばかりですけど、別に杖とかもあって良いですよね」


「何で剣ばっかりなんでしょうね?」


 うーん……、今までの3つを作った人は剣が好きだったのかな?

 ……でも今回、私が作ろうとしているのも剣なんだよなぁ……。


 現存する3つを全部別の人が作ったと仮定するのなら、全員が前例に倣っていれば全部が剣になってしまう。

 もしかしたら1人1つしか作れないとか……?

 でもまさか作った人の魂が必要だなんていうのは無いよね。素材の一覧には無かったし。


「――何でも良いというのであれば、私はやはり光属性を推しますね」


「それじゃ属性は光属性にしましょう!

 ……いや、素材の入手でどうなるか分からないので、暫定ですけど……」


「えー? そうなんですかー?」


「あ、素材をお見せしていませんでしたね。

 『神剣デルトフィング』についてはこちらになります」


 そう言いながら、以前鑑定した結果を宙に映し出す。


 ----------------------------------------

 【『神剣デルトフィング』の作成に必要なアイテム】

 ・オリハルコン×10

 ・ミスリル×3

 ・氷竜の魂×1

 ・浄化の結界石×1

 ・氷の魔導石×24

 ・光の魔導石×8

 ----------------------------------------


「おお、これは……」


「付ける属性って、多分竜の魂と魔導石が影響すると思うんですよ」


「……さすが神器。竜族の魂が必要なのですか……。

 しかし、それはそもそも入手できるものなのでしょうか……?」


「さぁ……? でも作った人はいるわけだから、何とかなるでしょう!」


「仮にドラゴンを倒したところで、そのままだったら『魂』なんて手にできませんよね……。

 ドロップみたいにぽろっと落ちれば良いんですけど」


「そもそも物体なのか分かりませんからね。

 不思議な光みたいな感じのアイテムは何回か見たことはあるんですけど」


「……でもそれ以外のアイテムは何となく見覚えがありますね。

 ミスリルはもう入手済みですし、魔導石は市場にありますし。

 『浄化の結界石』は大聖堂にご寄付を頂ければ作れると思いますし」


「え? 大聖堂でですか?」


「はい。これも魔法道具の1つなんですが、聖職者たちの祈りを込めて作るんですよ。

 ただ結構大掛かりな儀式が必要なので、それなりにお金が掛かると言いますか……」


 つまりは寄付という名の有料、ということか。

 でもお金で買えるものであれば、お金を稼げば良いから気も楽になるかな。


「――とすると、やっぱりオリハルコンと竜の魂がネックですね……。

 とは言えこれと似たものになるとも限りませんし、まずは『設定』を決めることにしましょう!」


「はぁい!」

「分かりました!」



 神器の『設定』を決める熱い夜は続く。

 さぁ、まだまだ頑張ろう!

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