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異世界冒険録~神器のアルケミスト~  作者: 成瀬りん
第5章 王都ヴェセルブルク
137/911

137.依頼がいっぱい

 次の日、私たちは『循環の迷宮』探索の準備をするために街に出た。


 ルークはしきりに周囲を見回している。

 もちろん、オティーリエさんがいないかを警戒しているのだ。


「……気にしすぎじゃない?」


 何となく私が言った言葉にルークは慌てた。


「え!? あ、そうですね……。

 しかし相手が王族となれば、扱い方も変えなければと思いまして……」


「でも向こうは名乗っていないんでしょ? それなら普通に接してれば良いんじゃないかなぁ」


 身分を言うつもりがないのなら、こちらもそれに付き合うまで。

 いちいち行間なんて読んでいられないのだ。


「さてさて、アイナさん! 今日はどういう予定にしましょう?」


「とりあえず食料を買いこむんですよね。

 パンとかお惣菜的なものを買っていけば良いですか?」


「そうですねぇ……。野菜とか果物もしっかりとっていかないといけませんよ!

 何事もバランス良く、です!」


 エミリアさんの良いところは、例え大食いであってもバランス良く食べるところだ。

 見ていて気持ち良いというか、そう感じさせる食べっぷりを見せてくれる。


「果物はいろいろと買っていきましょう。

 野菜は――そのまま持っていくには少しアレですね」


「レタスを剥ぎながら食べるのも寂しいですからね……。

 そこはサラダとか炒め物にしてもらって、迷宮内で取り分けることにしましょう」


「……であるなら、他のお料理もそれでいけますよね。とすると取り皿とかも要るか……」


「それならお水もたくさんあった方が良いでしょうか? ……洗い物用に」


「『循環の迷宮』って水とか風が循環しているんですよね?

 川のようなものがあれば、私が浄水できますよ。その……錬金術で」


 錬金術とは……。

 いや、もはやここはツッコミどころでは無いか。


「アイナさん1人で問題はすべて解決ですね!

 それではお惣菜屋さんを巡りながら、がつっとお料理を作ってもらえるところも探してみましょう」


「その流れになるなら、もう少し日を空けておいた方が良かったかもですね……。

 さすがに材料の仕入れとかもあるでしょうし」


「確かに……。次行くときはそのようにしましょう!」


 え? 次また行くの?

 ……まぁ今回の成果次第かな? 良いものが手に入ればまた行けば良いし、そうでもなければおしまいにすれば良いし。


「あ、そうだ。そういえば私、錬金術師ギルドに納品しに行きたいんですよ。

 ついでに食堂に行って、お料理のことを掛け合ってみても良いですか?」


「わぁ、良いですね! ププピップのお料理があれば百人力です!」


 エミリアさんは大歓喜だ。

 確かにあの味は元気が出てくるからね。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「――いらっしゃいませ、3名様ですか?」


「えっ!?」


 錬金術師ギルドの食堂に着くと、私は驚きの声を上げてしまった。

 何と普通の接客をされたのだ。ちなみに店員さんは、初めて見る女の子だった。


「あ、はい。えぇっと……いつものおばちゃんは?」


「今日はお休みですよ。この食堂は毎日営業なので、シフトがあるんです」


「なるほど、そうでしたか……。

 今日は食事もそうなんですけど、少し相談したいことがありまして……」


「相談ですか? はい、ひとまず私が承りますね」



 事情を店員さんに話して厨房に確認してもらうと、翌朝の受け取りであるなら大丈夫――というお話をもらえた。

 料金は多少上乗せされるけど、それ以上の額を錬金術師ギルドから報酬でもらっているから問題無しだ。

 逆に言えば、それくらいは還元していかないとね。



「――それではお願いしますね」


 そう言いながら、注文したメニューが書かれた紙にサインをする。

 お金は先払いにしておいたから、明日は受け取るだけだ。


「はい、承りました。

 ……あ。あなたがアイナさんなんですね」


「え? はい、そうですけど……」


「受付のテレーゼさんがよくアイナさんのお話をするんですよ。

 なので、私も一度お会いしてみたかったんです」


「あー……、変なお話じゃないですよね?」


「まさか! いつか一緒に遊びに行きたいと言ってましたので、そのときは是非ご一緒してあげてください」


 ……断りたい。

 でも、ここは社交辞令で。


「そうですね、機会があれば……」


「そのときは私も連れていってくださいね。できればで構わないんですけど」


「テレーゼさんとは仲が良いんですか?」


「ええ、小さいころから一緒に遊んでいたんです。

 それでテレーゼさんが錬金術師ギルドの職員になりたいっていうものだから……私も食堂でお世話になることにしたんですよ」


「へー。何だか良い関係ですね」


「はい♪」


 小さい頃からテレーゼさんと一緒なのかぁ……。

 それならあの、ぐいぐいくる性格も慣れているんだろうなぁ。羨ましい……けど、今に至るまでずっと一緒というのは……。

 あ、いや。ぐいぐいくる以外は性格は良さそうだから、あそこに慣れてしまえば問題無いのか……。むむむ、難しい。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「アイナさあああああん! 今度はお昼時に来てくださいよおおおおお!!」


 受付カウンターに戻るとテレーゼさんが騒いだ。

 この大声も何とかしてもらえないものだろうか。


「はぁ……。明日から1週間くらい外に出掛けますので、それではそのあとにでも……」


「むむ、絶対ですよ!」


「忘れていないなければ……」


「忘れさせてなるものですか!」


「ではダグラスさんをお願いします」


「かしこまりました!」


 ワガママは言うけど仕事はしっかりしてくれるテレーゼさん。

 隙あらば担当外のこともしようとするけど、根は良い人だと思うんだよ。うん。




 その後、やってきたダグラスさんと一緒に依頼報告のカウンターに向かった。


「えぇっと、受けていた依頼は3件で……これが作ったものです」


「それじゃさくっと鑑定してしまうから、少し待っててくれ」


 そう言いながら、ダグラスさんは次々と素早く鑑定していく。

 すでに3件の依頼をこなしているので、ある程度の信頼はあるのだろう。


「うん、問題無さそうだ。今回もありがとうな。

 ――ああ、そうそう。S-ランク以上の依頼が急に増えてしまったんだ。

 ぶっちゃけて言うとアイナさんをご指名のような依頼だからさ、全部受けてくれると助かるんだが……」


「え……? 指名ですか?」


「王族から美容関係のアイテムの依頼が多く届いていて……。

 一応は名指しでの依頼は受けないようにしているんだが、いかんせん相手が王族ばかりなものでなぁ……」


「はぁ……。明日から1週間くらい王都から離れますので……明日持ってこれるものはやってしまいますか……」


「本当か? それは助かる……! それじゃこの34件なんだけど――」


「え……? さんじゅうよんけん……?」


 想像以上に多い件数。

 でもできるだけ今晩のうちにこなしてしまおう。気兼ねなく『循環の迷宮』に挑戦したいからね。

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