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スライムのしんせいかつ  作者: 蒼和考雪
間章 それぞれの話
257/356

240.2-2 人魚が作った海の村

とってもとっても頑張って、結構疲れたわ。迷宮に挑んで……もうどれくらいかしら?

あの一番下にいるでっかい蛇、あれを倒すために魔物を倒して倒して倒して頑張ってきたわ。

倒せば倒すほど、戦えば戦うほど、私が強くなるのがわかるんだもの。頑張るわよ。

別に、私がそこまで無理に頑張る必要はなかったんじゃないかなと時々思うけどね。

でも、あの迷宮を放置してるとまた同じことが起こる。

それに、私の子供とか、仲間の子供とか、将来的なこともある。

あれをずっと残したままだと、いずれ忘れられてまた同じことが起こるかもしれない。

私みたいに戦うことに積極的で一生懸命な人魚ばかりじゃないわ!

前みたいに襲われて滅ばされるかも!

そう考えて、私は一生懸命頑張ってなんとか迷宮をどうにかできないかとやっているのよ!

ついでに、仲間の皆、あのダメな長とかを見返すためにやっているっていうのもあるけど。


そういえば、今の私はもう仲間の皆からはそれなりにちゃんと見られてるわ。

なんか、前にだいぶ疲れちゃって自分のところで寝たら、次の日から恐れられたりしたの。

私は別にその自覚がないんだけど、なんかとても強くて凄くて、って感じみたい。

自分の姿なんて見れないからどう凄くなったのかなんて知らないけど、確かに強くなった実感があったわ。

そのせいか今まで私のことを無視したり悪くいった人もそれなりに反応してくれるようになったわ。

昔から仲のいい子とかは今までと特に変わらないけどね。まあ、怖がられているのが多いんだけど。

私が迷宮を攻略したりするのとか、そういうことには特に関係ないから普通に頑張ってるわ。

そうそう、それとそのことが影響しているのか、ちょっと迷宮に挑む子も出たわ。

まあ、私に勝手についてきた子とかだけどね。でも、それで強くなった子もいるわ。

死にかけないようにある程度進む限界の場所は決めているけど。

あと、人数とかも。ばれたら面倒なことになるかもしれないし。

まあ、もうばれちゃってると思うけど。

流石に結構な人数がいなくなったら何やってるのかって思うし、知られていないってことはないわ。

でもそのことには特に触れないみたいでこちらとしてはありがたかったけど。


まあ、それはいいのよ。皆のことは特にこれと行って問題にならないから。

私が最下層まで進む、それことね。実はね、あのでかい蛇はね、倒したのよ!

もちろん簡単に倒せたわけじゃないわ! スキルも、レベルもかなりの物を要したのよ!

それに時間もかかったのよ。毎日毎日一番下まで一生懸命高速で泳いで行ってそれでがんばったの。

だって戻らないとダメなんだもの。流石に夜には戻らないと。

だからずっと一番下にいられるわけじゃないし、迷宮から戻る時間も考えないといけない。

おかげで倒すの取っても苦労したのよ。

だって相手の傷回復するんだもの。こっちも回復するけどね?

でも、その努力は実を結んだわ! ちゃんとね、倒したのよ!? 頑張ってね!

おかげでレベルも上がったし、スキルも強くなったし、万々歳よ!

それでそれで、迷宮の一番奥にあった何か変なものを壊して、それで迷宮はなくなったわ。

うん、ちょっと残念だけど、いいのよ。もともとなかったものだし、ない方がいいものだもの。

レベルやスキルを強くするためにちょっとはあったほうがいいのかもしれないけど、まあいいと思うわ。

流石にちょっと迷宮に来ている子からは文句を言われたけどね。なくなっちゃったから。

でも、別に魔物は普通に海にいるわけだしそっちに挑めばいいんじゃないの?


で、問題が起きたのよ。別に皆にとってじゃなくて、私にとっての問題だけどね。

あの長がね、私の持っている剣をよこせって言ってきたのよ! 何様のつもりなのかしら!?

私の剣が私の強さの源、とか、その強さを得る剣は長が持つべき、戦士が持つべきだって、今更何言ってるのかしらね。

皆の中で、一番強いのは私よ! 別に兵士とか戦士とかそういう者じゃないけど、強いのよ私!

っていうか、今まで何もしてこなかったくせに人の持ってるものは奪おうとするわけ?

おかしいじゃない! ええ、私はとっても怒りました! 怒りました!

それこそよこせって向かってきた奴らをぼこぼこにするくらいに!

本当はぶった切っちゃってこっちが怒ってますってところを見せる方がよかったかもしれないけど、さすがにやらないわ。

殺しちゃったら悪いのはこっちだもの。ぼこぼこにする程度にしておいたわ。長も。

でも、そんなことしちゃったから私はここにいられないわね。

ということで皆の所から去ることにしたの。

あの長に従い続けるのも嫌になっちゃったしね。

私は今の状況に不満のある子を集めて村を作ることにしたの。


それからはいろいろと大変だったわ。今の状況に不満のある子ってそれなりにいたのよ。

だいたいは私と一緒に迷宮に挑んでた子で、それなりに強かった。

強くても強さで立場が決まるわけじゃなかったけど。

別にね、立場を望んでいるわけでもなかったからいいんだけど、いろいろと状況的な不満はあったみたい。

まあ、それぞれに理由があるのは仕方ないんだろうけど、不満は不満よ。

どうにかしなかった長が悪いのよ!

その皆をまとめて、私は海に出たわ。

皆と一緒に過ごすのと違い、流れに逆らい流れに乗ってあっちこっち。

休むことができない日、流れが酷くて殆ど泳げない日、食べ物が見つからなくて飢えかけた日。

いろいろとあったわ。他の人魚の所にも行ったりして、そこでまた仲間がちょっと増えて。

そんな感じで結構な人魚の数になった集団であっちこっちに行ったわ。

でも、そんな状況も結構いろいろと集まり、まとまり、良さそうな場所を見つけてそこに住むことにしたわ。

まあ、住むって言っても簡単じゃないけど。

色々と頑張る必要があって、みんなでその場所を作ったの。


その場所って言うのは、かなり人間の住んでいる場所に近い所よ。陸に近い場所、結構な浅瀬ね。

私たちは人間に襲われて捕まることもあるから本当はあんまりよくないんだけど、人間が近いと都合がいいのよ。

海の中でしか手に入らないもの以外のものが人間が近くにいると手に入るの。

人間の村と、ある程度交流を持って、それから人間の村と人魚の村の場所を統合したの。

そうして人間と人魚が一緒に過ごす村ができたのよ! 凄いと思わないかしら!

私も、いつまでも一人ってわけじゃないわ。人魚だって子供を産む、結婚をする。

うん、まあ私はちょっと結婚はしなかったわ。

子供は作ったけどね。いろいろと面倒な立場だったからね。

子供を産んだのはいいけど、この先どうしようかと思うこともあったわ。


私は剣を持っていた。それはあのスライム、アズラットから受け取ったもの。

でも、私がずっと持っているわけにはいかないの。私もいつか死ぬから。

この剣はとっても強いわ。それに、私は使えるけど他の人は使えそうになかった。

理由はわからないけど、私の場合アズラットから直接受け取ったからだと思う。

この剣は子供に渡していくつもりだけど、使えるかどうかは知らない。でも、渡していく。

この剣はここに置いていていいものだとは思えないから。

わからないけど、なんかそんな感じがするの。多分、剣が教えてくれるのよ。

前に住んでたところの長が言っていた力の源って完璧に間違いじゃないのよね。

剣から受け取る何かがある、剣から伝わる何かがある。

それが確かに私の力になっていたのは間違ってはないわ。

まあ、剣自体が強いって言うのもあるし、私が強くなったというのもあるけどね?

ともかく、この剣は私の子供に継がせて、そしてこう伝えるの。

私を助けたスライムに還しなさい、って。

あのアズラットみたいなスライムがそこら中にいるはずないもの。あんな化け物が。

だから、とても強くて奇妙なスライムを見つけたら、この剣を返してあげて、って伝えるの。

これはここに置いていていいものではないから。持ち主に返すべきだって。そう、伝えていくの。

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