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スライムのしんせいかつ  作者: 蒼和考雪
五章 奇縁の道程
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209.5 人魚の進む道

私は全くアズラットに対して恩を返さない仲間の人魚に代わってアズラットを陸地に送ってあげた。

うん、まあそれはいいわ。いろいろとアズラットと会話できたし、剣も貰えたし。

ああ、でもこの剣を貰ったままって言うのは……どうなのかしら。

また会ったらその時に返しましょう。

まあ、いいのよそれは。別に困ることでもないし、損もないし。問題はここじゃないの。

この後のこと。

私はこのあと自分たちの住処へと戻ったわ。

別段いつも通り、特に困ったこともなく普通だったわ。

普通って言うのもちょっと変だけど、魔物に襲われているときのそのままだった。

魔物は私が……私とアズラットが倒したからもういないわけで襲われることはないんだけど。

長が信じていないからそういう対応になるのは仕方ないのかしらとも思うけどちょっと腹が立つわ。

まあ、しばらく魔物に襲われなければ信じてくれるわよね…………本当に信じてくれるかしら?

まさかただいなくなっただけ、とか思われると困るんだけど。

あれだけ主張したんだから信じてくれるわよね……?


はっきり言ってあの長に対してこう、信頼というものは基本的にもうなくなってるのよね。

私だけがアズラットと一緒に送り出されたり、頑張って魔物を倒して戻ってきたのにそれを信じてくれなかったり。

アズラットへの対応だって、完全に横暴に過ぎるといってもいいくらいに酷い扱いだったし。

まあ、これはちょっと私のアズラットへの感情移入が強すぎるのかしら?

助けられた恩と、少しの間楽しく話した仲だし、いろいろとスキルとかについて教えてもらったこともある。

関わった時間の長さと内容が密なのと、色々と理由があるというのもあるんだろうけど。

ええっと、私とアズラットの関係はどうでもいいのよ。

恩と友情らしきものは感じているけどそれくらい!

とりあえず、私は長に対して迷宮のことに関して話すことにしたわ。

また同じことが起きたら困るし。

それに対する長の反応は、そうか、と一言。

正直言って腸が煮えくり返るくらいに怒り心頭だったわ。

私たちをまとめる人魚の長が重要な案件に対してたった一言軽く言葉を返すだけの対応よ?

思いっきり怒って長に文句を言いまくったわ。

でもそれを気にしていないかのようにすまし顔で無視された。

言いたいことはそれだけか、と軽く追い返されたわ。本気でむかつくわねあの長!

なんであんなのが私たちの長なのか疑問なくらい。

そもそもなんで今まで長をやってこれたのかしら!

まあそもそも私たちの住処ってあまり大きな問題って起こらなかったからってのがあるのかしらね。

たまに魔物の被害があるくらいだけど、それは今いる兵でも十分対応できたし。

食糧難って言うのも今までは基本的になかった。ちょっと食事が少ない時はあったけどそれくらい。

基本的に何も問題がなかったのが今まであの長が長としてやってこれた理由なんだと思う。

一応あれでも長の家系なんだけど……あれかしら、今まで特に問題なかったからあれだけ考えなしでもよかったのかもしれない。


だけど、これからはそうじゃないかもしれない。

迷宮の問題に対して何とか動かなければどうなるかわからない。

アズラットが教えてくれたあの迷宮、私が近くに行った時点であの魚の魔物がいた。

それもたくさん。私でもあれだけの魔物がいたらどうしようもなかったと思う。

すぐ死ぬことはないだろうけど、倒すのは大変だし、全部を倒すとなると時間もかかるし齧られる回数も部分も増える。

下手をすれば……ううん、下手をしなくとも死んでいたかも?

まあ、ああいった危険があり得るってこと。

それに対して対応しないとまた同じ問題が起きる可能性もある。

一度あることは二度ある、二度あることは三度ある、何度だって起きるかもしれない。

その時にアズラットはいない。

もしかしたらアズラットは長のことをちゃんと理解していたのかもしれない。

今回のように、全く対応してくれなくて、同じ問題が起きる状態になり得るだろうと。

うん、あり得るわね。

アズラットなんかすごく頭がよさそうだし……今私のこと馬鹿っていったの誰!?

気のせい? 誰も言ってない? 言ってないならいいのよ。

頭はよくないかもしれないけど馬鹿じゃないからね!?

ええっと、それはどうでもいいわね。いや、よくないけど。

話が本題からずれるからいいわね。よくないけど。

えっと、アズラットは私のあの魔剣をくれた。

いつか返したいとは思うけど、まあそれは今はあとね。

重要なのはあの魔剣が強いってこと。

あの魔物を相手に余裕でばっさばっさと切り捨てることができるくらいに強い。

もしかしたら、あの強さって私のおかげもあるのかもね?

え? なんでそんなに自信あるのって? いいじゃない別に。

ともかく、あの剣があれば、魔物一体相手ならなんとでもなるわ。でも、複数は難しいかも?

一人で迷宮に挑め……なんてことはアズラットは言わなかったけど、たぶんアズラットは私に迷宮に挑めってことを言っているんだと思うわ。

別にアズラットはそんなこと一言も言ってないけどね。

もしかしたら出てくる魔物に対応する力ということなのかもしれない。

あの魔剣さえあれば私一人でも魔物自体には対応できるわけだし、迷宮に入る必要はないのかもしれない。

でも、私はあのままあの迷宮を放置しておくわけにはいかないと思う。

だってまた魔物が出てくると大変だし。


だから私はあの迷宮に入ることにした。

まずはその周辺の魔物をどうにかしなければならないんだけど。

私の今持っているスキル……だっけ? えっと、<ステータス>で確認できるわね。

まだまだ少ない。レベルもあんまり高くない。

このレベルってやつ、上がったら私強くなったのよね。経験的に。

一番最初、魔物を倒してから凄く体が軽くなった感じだったし。

そこで<ステータス>と<高速化>を得た。

剣のスキルはいらないって言われたっけ? 持っててもよかったと思うけど。

あ、でもアズラットが魔剣をくれなかったら必要なかったわね。

そう考えると覚えなくてもよかったのかしら?

まあ、今から覚えればいいのよね……覚えても水の中で剣を扱えきれるかはわからないけど。

それに剣のスキルよりも、もっとあの小さくて速い魔物を相手にするスキルが欲しいわ。

スキルって便利みたいだけど、どう覚えればいいのか、何を覚えればいいのかわからなくて困るわね……

アズラットがいてくれれば、そういうこと悩まなくて済んだのかもしれないけど。

でも、今はもうアズラットはいない。ここにあるのはアズラットがくれた剣だけ。

迷宮の危険性を認識しているのは私だけ。なら私がどうにかするしかない。

長に話したけど意味はなかったし。

うーん……誰か仲間にするのは? ううん、ダメね。

あの魔物が現れる迷宮ってところに連れていくには強さの問題があるわ。

私と同じくらいの強さしかないのにつれていくのは無理よ。

アズラットみたいに守ってくれる何かがあればまた話は違うだろうけど。

まあ、細かいことはやりながら考えるしかない。

無策に突っ込むのはあれだけど、私は頑張るしかないわ!

私は剣と一緒にアズラットがやるべきことを託された。

いええ、別にアズラットがやるべきことじゃないわね。

本当ならば私達人魚がどうにかするべきことよ。

それをアズラットが剣をくれて手助けしてくれるというだけ。

なら、後は私がどうにかするしかないわ! 本当にあの長無能よっ!

誰かまともで話を聞いてくれる真っ当な人魚はいないかしら。

魔物をどうにかするの手助けしながらなんとかレベルを上げて迷宮探索手伝わせるのもありかしら。

考えることが多くて面倒くさい……一度迷宮に入りましょう。

入ってダメそうなら仲間を探しましょう、ええそうしましょう!

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