エドウィンの独白1
先日、奇妙な客人がやってきた話をしたいと思う。
わたしがこの世界に降りて、たぶん100日ぐらいは経っていただろうか。
割れてしまった賢者の石をなんとか修復しようとあれこれ試していた時のことだ。
ノックもなしに急に扉が開いて一人の青年が入ってきたのは。
青年はわたしを見るととても驚いた顔をして、前転するように逃げて行ってしまった。
わたしも人と会うのは久しぶりだったから、相当な粗相をしていたのだろうが、そんなにわたしの顔は恐れ驚くものだっただろうか。少し落ち込んだ。
しかし、青年はすぐにまた扉を開いた。今度は控えめなノックの後が聞こえた。
青年は明らかに途方に暮れた顔で、わたしになにか尋ねてきた。
だが、残念なことにわたしと彼は違う言語を扱っているらしく、青年もそれに気づいてしゃべるのをやめた。
青年は諦めなかった。
身振り手振りを使ってなにかを説明しようとしている。
わたしはしばらく粘ったが、彼の欲しいものに見当がつかなかった。
ただ、ドアノブを回すしぐさを頻繁にしたのでカギが欲しいのか、と思い至り、近くに会ったカギを投げて渡した。
何のカギだったか、全然覚えていないが、わたしの屋敷のカギなのだ、どこも危険なところではないだろう。