エドウィンの独白4
完成した賢者の石に問う。初めに聞いたのは彼のことだ。
”何を欲しがってる?”
賢者の石に浮かんできたのはたくさんのカギのイメージだ。
やはりカギを欲しがっていたのだ。最初のジェスチャーを思い出す。
自分の勘を自慢に思いつつ、今まで違うカギを渡してきたのだから少しへこむ。
屋敷の中を捜索されることにいまさら嫌悪感はない。
それならいっそ、と思って賢者の石からカギを取り出した。
そのカギは膨大な束になっていた。
妻たちがいなくなってから使わなくなった部屋も多い。そのカギは外しておいた。
あんまりカギが多いと彼も困るだろうと思ってのことだ。
カギを渡して、少々強引だったがカギを受け取ってもらった。
それから青年がカギの束に目を移したすきに、本心の願いも見てみた。
”彼の本当の願いはなに?”
”人間と分かりあえること”
少し首をかしげてしまう。大それたことを願うのだな、と思った。
歳は確かに若そうで、そういうことに希望を抱いていてもおかしくはない。
しかし、なんとなくそれだけではない気がした。
世界平和を願う青年を優しく見守りつつ、賢者の石を一撫でして、履歴を消す。
勝手に心の中を覗かれるなんて、親友同士でもやってはいけないことだと知っていたからだ。
何食わぬ顔をして本を読む。内容は全然入ってこない。
そうこうするうちに、青年は出ていった。
わたしはほっと息をついた。




