エドウィンの独白2
わたしは青年の訪れを待っていた。
しばらく思案して、先ほどようやくあのカギが何のカギだったか思い出したのだ。
あれは今では物置になっている酒蔵だと。
そして、いまは黒くて大きな化け物がいる危険な部屋であると。
わたしは青年の生存を祈っていた。
そして青年は帰ってきた。青いカケラとともに!
言わなくても分かるだろうが、このカケラは転移の際、砕け散ってしまった賢者の石のかけらである。
わたしにとって命の次に大事なこの蒼い珠玉には、亡き妻と亡き娘の血が流れているのだ。
失ってはならぬものだった。
さらに青年はそのカケラとわたしの手元にあった珠玉のほとんどを合体したのだ。
咄嗟に勝手なことをするな、と思い手を伸ばした私だったが、その手が届く前に錬成は終わり、驚くべき姿に生まれ変わらせた。
元のサイズより一回り小さくなった、賢者の石。丸い、賢者の石だったのだ。
椅子を蹴飛ばしたわたしは青年に頼みごとをした。
とはいえ、相変わらず言葉は伝わらないままなので、カギを渡すことによって伝えた、つもりだ。
カギを渡すと青年は交換に蒼い珠をわたしの手に戻してくれた。
信用してないわけではないが、彼がそのまま持って行ってしまうのではないか、と怖かったのである。
まったく好青年の彼はわたしの気持ちには気付いていないだろう。
そう思うと恥ずかしかった。わたしは彼を疑ったのだから。
願わくば、次の部屋で彼が驚きもせず蒼いカケラを持ってきてくれるだろうことを、私は祈った。




