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始まり

更新はかなり遅いかもしれません。

異世界でもハーレムでもございません。すみません。

それでも宜しければ読んでみてください。

気に入ってくれましたら、どうか次の更新までお待ちください。


 あるところに一人の女の子がいました。

その女の子はある貴族のもとに生を受け、産声をあげたその時から全てを手にしました。富も名声も全てが彼女の小さな手の中に。誰もが羨む環境に、しかし彼女はこう思うのです。


────なんでこんなのがそんなに羨ましいの、と。


僅か6歳のときでした。


 彼女は幼い頃から厳しい教育を受け、徹底的に育てられました。

 それは父親の強い想いによってなされてきました。


「人様の前に出しても恥ずかしくないものであれ」


 彼は娘を娘としてみていなかったのです。


 それは貴族たちの集まるとあるパーティで。

 父の一歩後ろをついてまわり、名前を呼ばれれば笑顔を周囲にばらまき、話題に上がれば一歩前に出て深いお辞儀をする彼女がいました。


 それは自宅の応接間で。

 難しい話をする父親の横に座り、ひたすら笑顔を絶やさずに父親の顔を伺ってばかりいる彼女がいました。


 そうです。彼女は父親にただの商売道具としてしか見られなかったのです。

 パーティでは自分の威厳を保つための装飾品として。

 応接間ではその場の空気が乱れぬよう緩和剤として。

 でも彼女はその年にしてそのことに気づいていました。

 それでも道具でいることを拒まない理由がありました。


 それは────自分が道具でいるときだけは父親が優しかったからです。


 自分よりも一回りもふた回りも大きい手のひらは、顔ではなく手に向けられ。

 自分の声よりも数段低い声は、体ではなく心に向けられ。


 でも、そんな環境に耐え続けるには彼女は幼すぎました。

 そんな状況に何も感じずにいるには彼女は大人すぎました。


───誰か助けて。


 願い虚しく、差し出される手には決まって欲望の念しか込められていませんでした。

 彼女の求めた、願った相手は現れません。


 ついにある日、彼女は決心をして一人で家を抜け出し、夜の裏山へと入っていきます。

 夜の森はとても暗いです。

 ただ一箇所だけ、森が開け星の輝きが届く場所がありました。

 そこの真ん中に立ち、一際強く光る星を見つめ、胸の前で手を組んで願います。


───これで最後です。どうか…私を助けて─ッ!!


 この時、その輝きを一層強くした星に、彼女は気づきませんでした。

 そして幾度となく願われた"それ"は唐突に、なんの前触れもなく姿を現したのです。

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