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友達が出来ました。

「な・・・なにが起こったんだ・・・」


遠くの方に人影が見えたと思ったら一瞬でその距離を詰め寄られ、急に切られるという日常ではありえない体験をしたパピオンはかなり動揺していた。

また、「よかった・・・本当によかった・・・」と言っている今は小さな全裸少女に変身している従魔にも、驚いていた。


「てかお前・・・なんで全裸?」


そんな当たり前の疑問に従魔が答える。


「変身したら服は元々来ていないので、裸ですよ。それより、主様を斬ったあの者を殺してきます!」


少し遠くから小さな声で「大丈夫ですかー」という声が聞こえるが、従魔が「うるさい!」と言っているのが聞こえてくる。


「いいよ、殺すとかそんなことしなくて。というよりも、あの人は当然のことをしたんじゃないかな?本で読んだことあるけど、人間の世界では女の子とかを近くに侍らせている人は悪いイメージの人しかいないらしいし・・・奴隷とかいうのもあるらしいよ。てか、お前が全裸じゃなかったらもしかしたら斬られなかったかもしれないんだけどね」

「え?人間の世界ではそうなんですか!?私が知っている魔族ではほとんどが全裸ですよ!執事様も魔法で服を着ているように見えるだけで全裸ですし、そんな意味の分からない事で斬るなんておかしいですよ!」

「意味が分からない事だけど、それは人間の社会と魔族の社会が違うっていうことだからしょうがないよ。まぁ、斬られたのは僕も驚いたけど、僕が人間だったらそうするかもしれない。」


そんな会話をしていると、少女が何とも言えない表情で話しかけてきた。


「あ・・・あの・・・今までの話が聞こえてたんだけど・・・もしかして貴方たち魔族なの?」


そんなことを言われたので、内心かなりやばいと思いながらパピオンは無言で頷いた。これだけ聞こえるように話しておいて、否定するのも不信感を増強してしまうと考えた上での行動だった。

すると、少し思っていた反応と違う反応が返ってきた。


「貴方たちは魔族だったんだ・・・。それじゃあ裸だったのは全然問題なかったんだね。私は魔族の知り合いが多いんだけど結構裸の付き合いを普通にしていたから、そういうものだと知っていたわ。ただ、この辺りでは魔族自体は全然見かけたことが無かったから人間だと思ったのよ。」


すると、その少女は頭を二人に向かって頭を下げた。


「人間の常識で考えてしまって本当にごめんなさい。私はあなたが悪者だと思っていたわ。私にとって悪者とは害を成す者。だから、別に害を成さなければ魔族だからといって殺したりはしない。害を成すのは特定の魔族だし、人間でも害を成す者もいるしね。だからこそ私は別に魔族と人間を差別したりはしない。だって魔族と同じで悪いことはするし、逆に悪いことをしない魔族も私はたくさん知ってる。貴方達は悪さをしない魔族に見えるわ。だから、本当に私は悪いことをしたと思ったわ。何度も言わせて。本当にごめんなさい。」


まさかそんなことを言われるとは思っていないパピオンは驚きを隠せず、また魔族だと分かったら殺されてしまうかもしれないという気持ちを持っていたため、少し安堵した。ただ、パピオンは魔王であった。そのため、害を成すという意味でとらえられる可能性が考えられたので、従魔が口を滑らせてパピオンが魔王だと知られないようにするために、口裏を合わせようとひっそりと従魔の耳元で「魔王だとばれると殺されるかもしれないからあの少女の前では絶対に言わないように」とつぶやいた。

すると従魔は本当に今の話を聴いていたのかという様な発言をしてパピオンを凍りつかせた。


「主様は私がお守りするので絶対に大丈夫です!この魔王軍専属執事第一部隊従魔。いや、魔王専属従魔ガルガンチェアの名の元に!!」


何で言い直したのか分からないが、少女に対し無駄に大きな声で魔王の専属だという事を明かしたガルガンチェアの頭に拳骨をくらわせ、もう終わった・・・という気持ちで先ほど私を斬り殺しかけた少女を目で見る。

すると、少女は声を大にして腹を抱えて笑いだした。

(まずいかも、マジで逃げようかな・・・でも、ばれちゃったし殺されるのを待つしかないわ・・・)

と思っていたパピオンだったが、少女が優しい笑みを浮かべてこちらに歩いてきているのを見て、逃げようと一歩踏み出した足を止めた。すると、ガルガンチェアが少女とパピオンの間に立ちふさがった。全裸で。


「私がいる限り手を出させんぞ!!」

「え?いやいや、違うわよ、ちょっと確認したくって近づいただけよ。あの鎧を纏っている人に直接聞きたかったけどまぁいいわ。あなた魔王専属従魔なの?」

「その通り!我は魔王専属従魔のガルガンチェアだ!」

「てことはあの鎧を纏っている人が魔王ってこと?」

「な・・・なに・・・いや、私は魔王専属従魔だと行ったが、主が魔王だとは一言も言ってないぞ!」

「え?でも、さっき言い直したわよね、魔王軍専属執事第一部隊従魔じゃなくて、魔王専属従魔だって。てことは、あの主って言っている人が魔王なんじゃないの?」

「ふ、ふはは、私は騙されんぞ人間!私が魔王様と一緒に行動しているという事を私の口から言わせようと図っていることは分かっているぞ!私はそんなにバカじゃないぞ!」

「え?でも専属っていうことは、魔王だけに属しているということだから、貴方の主のあの人が魔王ってことよね?」

「な・・・なぜばれた!貴様、まさか人の考えが読めるのか!人の考えが読めるのなら仕方ない、話してやろう!そうだ、あの方こそが魔王パピオン様だ!」


従魔ガルガンチェアがバカだという事がはっきりし、魔王だという事もバレてしまい、もう殺されてしまうと諦めていたところ、その少女は微笑みを浮かべて言った。


「私はあなたを殺そうとは思ってないわよ、ただ、ちょっと確認したかっただけ。あなたは人間を滅ぼそうと思っているのかしら?」

「主と言葉を交わすなど人間に許されることではない、黙るのだ!」

「いや、ガルガンチェア、色々言いたいが、とりあえずお前が黙っておいてくれ。」

「な・・・なにを・・・いや、まさか、主様にそんなことを言われるなんてありえない!幻聴だ幻聴!」

「いや、マジで黙ってくんない?」

「な、なんと・・・いや、これも幻聴では・・・」


現実逃避している全裸幻聴従魔ガルガンチェアは放置して話を進める。


「人間を滅ぼすってのは今は思っていない。別に滅ぼしたって面白くないしね。というか、滅ぼす必要ないと俺は考えている。君は知ってる?俺は覇気の魔王って呼ばれてて、家族自体も近くに寄れない。だから仲間がいない。俺は小さいころからほとんど執事以外身内がいなかったから近くにいてくれる仲間が欲しいんだ。あと、君も分かると思うけど僕は本当に弱いんだ。君が斬りつけたらすぐに絶命しちゃう程度にね。だけど、さすがに俺が死ぬと悲しむ人が多分いるからすぐに死ぬ気はないよ。だからこそ、僕は強くならなきゃいけないんだ。その過程で俺を邪魔するのなら殺そうとは思うよ!今はダ誰にも勝てないだろうけどね」


相手からの質問に対し、答えすぎなくらいの回答をし、少女からの返答を待っていた。すると、小さな声で「そうなんだ」と言った少女は笑顔を見せながら言った。


「じゃあ殺す必要ないね。良かったー」

「・・・え?」


パピオンは耳を疑った。殺す必要ない?よかった?少女が何を考えているのか分からないパピオンは言った。


「どういう事だい?殺す必要がないって」


その質問に対し、少女は答えた。


「殺す必要が無いって・・・そのままの意味だよ。私はあなた、魔王パピオンを殺そうとは思わないってこと。私もあなたと同じような境遇だったのよ。だから殺さない。てか、殺したくないのよね。私は実はね。勇者なの。あなたというか、魔王をを殺すための勇者。また、ちょっとした2つ名があるのよ。それは覇気の勇者。あなたの2つ名の覇気の魔王と似てない?」


パピオンは驚いていた。


「勇者?覇気の勇者?俺と一緒じゃないか。でも、勇者というなら私を殺すために産まれてきたんだろ?」

「うん。でも、別に魔王を殺すために産まれてきたからといって、絶対にそうしなきゃいけないという考えは私には無かったのよ。魔王を殺したいという気持ちよりも友達欲しいって気持ちが大きかったかな?覇気のせいで友達も誰もいなかったし。友達が出来れば別に魔王なんてどうでも良かったの。ただ、私としては悪い人というのは基本的には嫌いだから、魔王が害を成す者だったなら、生まれ持ったこの才能を元に倒してやろうとか思ってたけど、2つ名が全く一緒だったからなんとなく私と同じ境遇ならそんなに害を成す者じゃないんじゃないかって思ってたのよ。」

「でも、俺が嘘をついてる可能性だってあるだろ?嘘をついて生き延びようとしてるとか」

「私は勇者であることもそうだけどそういうのってわかるのよ、勇者の勘ってやつなんだけどね、不思議と的中率は100%なのよ?」


そんなことを言いながら勇者は「幻聴・・・幻聴・・・」と言って現実逃避している全裸幻聴従魔ガルガンチェアを横にやり、パピオンの前まで来た。

すると、パピオンに向けて勇者は右手を出してきた。


「共通点があるとなんとなく近い感じがするわよね。魔王、私と友達になってみない?」


パピオンはその右手と勇者を交互に見ながら、いきなり友達ってとは思い、ある意味疑惑の表情をする。


「友達・・・俺と勇者が友達か・・・。なんか今までの歴史と変わっちゃいそうだな。」


そう言いながら右手を差し出す。ただし、握手を求められたからと言って、恥ずかしすぎて握手が出来る状態ではなかった。ただ単に掌を合わせただけだ、いきなり握手は出来なかった。初めての友達が出来ることに戸惑っていたり、いきなり握手を求められてきたからと言って握手すべきものなのかと思っていたり、異性なのに友達になれるのかとか思ったり、友達って握手からスタートすべきなの?とか思ったり、勇者の事全然知らないのに友達になれるの?とか色々な考えに苛まれていると、勇者が恥ずかしそうに話す。


「魔族での友人関係を作る時には掌を合わせるの?知らなかった。魔族の知り合いはいても友達になれる人はいなかったから・・・。でも、すまない、手を合わせるだけというのは私が知っている友達関係を作るための第1条、握手をするという行為よりも恥ずかしい気がするの。出来れば手の平を合わせるだけじゃなくて握手をして欲しいのだけど・・・」


実は恥ずかしくて握手できなかったとは知られたくなかったので、パピオンは「そういうわけではない。では握手をするか。」と言って勇者の手を握った。


この握手は今後『新たな世界の始まり』として絵本で語り継がれるのだが、それはずっと先のお話・・・


ちょっと読みづらいかもしれません。

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