1章 7話 森の中
3日も経っただろうか、結局日が経ってしまったせいで、また、空腹になっているが、
ようやく、力が入るようになり、起き上がれるようになった。
また、あの苦しみは数時間で無くなりはしたようだ。(正確な時間は全く覚えていない。)
非常に苦しんでいたことは確かなのだが、なぜか、耐え抜いてしまった。
鬼の胃が(あるのかどうか疑問だが)とても強靭という事か、
もしくは、鬼の体自体が非常に強いという事なのだろう。
やはり、食べ物をとって無いせいか、身体が痩せ細ってきているようにみられる。
力も同様に落ちてきていることだろう。
早く安全な食料を探さなければ。
今更ながら、左手に痛みを感じる。
蛇みたいな長いものが左腕を噛んでいた。
毒でも流されているのだろうか、何かが入ってくるような感覚はあるが、特に気になることではなかった。
むしろ、それを上回る回復速度のようで、右手で蛇(勝手にそう呼ぶことにする)をつかみ、
剥そうと力を込める。
いや、握り潰してしまった。
100㎝近くの体長だったので、こんなにもろいとは思わなかったんだけどなぁ。
しかし、ここなら食料も見つけられるだろう。
今さっき潰した蛇を、そのまま食べるのは気持ち悪そうだったが、背に腹はかえられない。
おもい切って食べ始める。特に美味しい訳でもなく、空腹を満たすためなのだが、
とにかく食べにくい。
皮を剥いたら食べやすいかな?
ただ剥くのに都合の良い物はなく、握り潰しながら、
中身を押し出して、身を食べた。咀嚼しながら辺りを見渡す。
ようやく、実の成っている木々がぽつぽつ見つかり、虫も見つけられる。
動けるようになり、食料を探しながら、先へ先へと進む。
虫を捕まえては口に入れ、木の実を拾っては口に入れ、
!!
水分が多い果実だったので、水筒代わりに枝を折って数個確保する。
キノコも生えていたので、これは後の食糧にしようと拾って枝に刺しておいた。
いつもの場所から離れてしまい、方向もわからなくなったので、戻ることは出来ない。
どこへ向かっているのか全く分からないが、餌場を探して進むしかなかった。
半日も経っただろうか、歩きながら見つけたものを口に入れる散策を続けていた。
空腹感は満たされ無くなったが、食べ物を食べるたびにお腹が痛くなってしまっていた。
ついには、お腹を下してしまったらしく、
物が出ない排泄感にとらわれて、やはり動けなくなってしまった。
動物も近くにいるような気配がする。捕まえることが出来たらよいのだけど、
この体調、いや、腹調ではどうだろうか、少し心配になる。
でも、肉だよ、お肉。人だった頃の記憶が蘇って否が応でも肉が食べたくなる。
焼肉・ステーキ・照り焼き・ハンバーグ。
思考が肉一色になってきた。
考えれば考えるほど、火が必要な事に気づく。
というか、火が無ければ、どれも作れない。
火、火、何かないか?
辺りを探すが、木々ばかり。枯れ木も特に無いようなので、摩擦の火起こしするのは大変そうだ。
? ? !?
何だろう。手のひらがじんわり熱くなってきた。
不思議に思って手のひらをみて見るものの、
何も無かった。
そして、先ほどの熱さも感じなくなってしまった。
そのうえ、動物にも逃げられたようで、辺りに気配も感じなくなってしまった。
良かったのか、悪かったのか、わからないが、
お肉が食べられないことだけは確実で、残念であり、
お肉や、火のことを忘れ、また腹痛と排便感が蘇り、動けなくなってしまった。