これから
ハク視点
「ハク。」
片付けをしているハクにベルギアは軽く声をかけた。
「どうした。ベルギア」
「フリュイはどうしてる?」その眼差しには不安がそして怯えが見える。
「寝ている。起きたとはいえ、まだ綻びがある。」
ハクは聞かれたことを淡々と片付けを進めながらこたえていく。
ベルギアはまだハクには視線を向けない。
「そう。
君が…人を恨んでいることを知っている。
だけど僕らは彼女を、殺してはいけない。
生きてもらわなければ…。
僕らには未来がない。
このまま死ぬのはごめんだ。
ハク。すまない…。」
体をおり、悲痛な声でベルギアは謝った。
ハクは困った表情で言った。
「わかっている。
だからといってお前が謝る必要はない。」
「でも、「それでも言うなら私は自身の本能に従い行動する。」
…わかった。もう言わないよ。」
ため息と同時にでた言葉はそんなだった。「ハクはこれからどうするつもりかな?」ベルギアが話題を変えて聞いてきた。
「これからとは、どういうことだ?」
私はこれから彼女と共にあり、過ごしていく。
自身を抑えて、憎しみを堪えて、過ごしていく。
それは知っているだろうと視線で応えた。
「いや、まずは里に行くんだろう?」今度はベルギアが困って笑う。
「あぁ。ここは人の境に近いからな。
里に行き、まずは長老に会うつもりだ。」
「…そう。じゃあ僕は先に戻って準備してるよ。
ハク…。」
言いたいことはわかっている。
だがそう落ち込まれても私が困る。
私の問題だ。
「大丈夫だ。先に行け!
うっとうしい。
大丈夫だ。2日後にはここを出る。」そこまで言ってやっとベルギアが動き始める。
「わかった。
先に行って君達をまってるよ。
フリュイにはなんとか言っておいて。
頭の硬い奴らを黙らしてくる。」
その視線には意志があり、その顔には決意があった。
「よろしく頼む。」
「任してよ。」
彼女の行く道を彼らが整えていることを彼女はまだ知らない。
謎の多い彼らは未だ心情を語らない。