暗闇の密談
「…その娘はまだ目覚めないのか。」低い声が辺りに響く。
景色は暗闇に包まれぼんやりとしか見えない。
そこは微かに月の光がながれていた。
石畳に広がる空間。
その周りにはみずがはっている。
その声に返す者がいた。
「あぁ。目覚めていないが。
…なぜ無理にでも起こさない?
もう3ヶ月はたつだろう。」漏れる光からわかるのは腰まで伸びた髪を一つにまとめ、声が不機嫌ということだろうか。
「おそらくだが、彼女は女神の加護を受けている。
…目覚めないのは本来かかった怪我の具合だろう。
この微かな灯りを再びなくすのは我らは惜しい。
これは一族の決定だ。ハク。」
肩までの髪を流した青年はハクと呼んだものにさとす。
「お前がどんなに人が憎くても、これは一族の決定だ。
彼女には生きてもらう。」その手には力が入り、声は鋭くなる。
「あぁ。…わかっている。」その目は湖を越えて森を見ていた。
そしてすぐに空をみた。
そこには月灯りが漏れるだけの空があった。
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その先に視線をむけているとコツコツと音が聞こえた。
ドアを開けても何もなかった。だがあけた瞬間頭に違和感を覚えて視線をむけると白い小鳥が目の前でパタパタと飛び背中をつついて飛んでいく。
それをみて黒い髪の短髪の男が一瞬呆然とし、すぐに追いかけていく。
「ハク!!行くぞ!!」
ハクと呼ばれた白い髪の青年はまた彼も追いかけていく。
先ほどまで光などなく、ぼんやりとした形でしかみれなかったもやのが、色として確認できるのわ彼らは気づいていた。
たどり着いたさきに答えがあるか、ハクと呼ばれた青年は考えていた。