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2013年・2014年

何んにもない

ひとりきりの後悔

ふりしきる重い空

澱んだ耳鳴りと遊ぶ

八ノ字の不安とともに


一休みするともう帰れない

すでに続かない意思疎通

誰のための現実のなかで

忘却の数を数えて


記憶の破片を集めて

日常にくくりつけた刃で

醜い恋の骨を切り裂いて

奥から流れだすのは愛染めの内臓


毒の羽根を飾った黒髪を

はらりとふりほどいた先に

紅蓮に染まるこの手のひら

やがて天に葬られるだろう躰で


この血のように赤い月

呼吸音が乱れ

逃れることのできない

喪失の森に潜ったように


星影に死んだ恋人よ

慟哭の零れる笑顔で

感情を潰して生きてきた

役に立たない強さは殺して


無気力に呑まれたまま気が付かず

時の流れに脅えなくとも

色んなものが朽ちていく

意味のなくなる世界の空を見つめて


慈しむように祈るように

指を曲げてみたけれど

湧き出すのは一種の崩壊感

君の代わりがいないのならば


虚脱の夕暮れを浴びて

全てを許せるだけの力はなくて

輪郭のないとまどいを

無意識では感じていて


名前なんてなくてもいい

閂を閉ざしたままで

誰であろうとこの地獄の門は開かない

このまま存在が薄れていくだけ


頬に風が薙いだ

次の開闢を廃止し

過ぎし日の傷痕を絶って

懐かしき雛はもう孵らない


無為に繰り返す日々

埃の積もる心のなかで

一人が怖くても

無期限に永い延命


償いも心臓も命さえも玩ぶ

救われない痛みを負って

眠りの森にいつまでも

かよわき君の骸と


神になった一人の少女を

気の遠くなるほど抱きしめて

もはや何んにもなくともかまわない

いつか斃れたとしてもそれでも

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