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魔術教室の代理教官①

ナツメが魔石の調達のため、数日間、魔術教室を留守にすることになった。

代わりにやってきたのは、ナツメの後輩にあたるトーノという青年だ。

物腰が柔らかく、どこか頼りなげな青年。

彼がナツメ不在時の定番代理人、トーノだ。


ナツメと違い、トーノは頻繁に職員室に顔を出す。

「ヴァレンタリア先生ですか?」

トーノの対面の席に座ろうとしているヴァレンタリアにトーノが話しかけた。

「ナツメ、しばらくお休みするので、代理で来ました。トーノです。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします。ヴァレンタリアです」


そして、思い出したようにヴァレンタリアがトーノに詰め寄った。

「トーノ先生。セノくんを絶対に帰らせないでください。今日も私か、ノンちゃんが必ず行きますから」

「はい、わかりました」

柔らかい微笑みを返すトーノ。

日誌には何も書かれていないことを確認したトーノは軽やかに職員室を後にした。



◇◇◇



いつものように二階から小さな机と椅子を持って降りてきたセノは、ナツメが座るべき場所に別の主がいるのを見つけた。

「トーノだぁ」

「うん、トーノだよぉ」

セノの口調に合わせて返事をしてしまい、少し自嘲気味に笑ってしまうトーノ。

トーノは机の上の日誌に手を伸ばした。不在の間に教室で何が起きたかを確認するつもりらしい。

それを見たセノは、一気に彼との距離を詰めた。

鼻先が触れそうなほどの至近距離だ。

久しぶりの再会に、二人はしばらく楽しげに言葉を交わした――



だが、しばらくするとセノはトーノを可愛らしく睨みつけた。

机と椅子を移動させて、トーノとの距離をしっかり確保する。

「ところでナツメは?」

「急用で数日は戻らないよ」

「今度どこかに行く時は連れていくって、約束したのに……」


机の上に組んだ両手へ無造作に顎を預け、不満を隠さないセノ。だが、唐突に話題を切り替えた。

「ねえ。トーノはここに来ない時は何をしてるの?」

「調査だよ」

「何の調査?」

「色々さ。守秘義務があるから、詳しくは教えられないけれどね。……わかる?」

「僕だって守秘義務あるから知ってるよぉ」


セノは背筋を少し伸ばして、さらに踏み込んだ。

「ナツメがどこに住んでるか、トーノは知ってる?」

「僕、ナツメが帰るところ、一度も見たことないんだ。何度も帰るまで待ってたんだけど、どうしても寝ちゃうんだ。だからわからないんだよね」

「……」

「でも、トーノが住んでるところは知ってるよ。今度、遊びに行くね」

セノがさらりと告げた瞬間、空気が凍りついた。


「……いつ調査したんだい?」

トーノの顔から柔らかな表情が消え、真剣な眼差しがセノを射抜く。

しかし、セノはそんな圧力を楽しむかのように、得意げな笑みを浮かべるだけだった。



◇◇◇



放課後、魔術教室にノンがやってきた。

彼女は最近、ヴァレンタリアが多忙な際にセノの訓練を任されるようになっていた。

だが、教室に入った彼女は激しく混乱した。


(ナツメ先生が……いない? 代わりに座っている、この神妙な面持ちの人は誰……!?)

(まさか、ナツメ先生は消されたの? 始末されちゃったの!?)

ノンの脳内では、最悪のシナリオを妄想していた。


その気配を察したのか、トーノの顔が元の柔らかい表情に戻った。

「ノンちゃん、セノはちゃんと二階に居るよー」

(……なんで私の名前を知ってるの? もしかして、ナツメ先生が変装してる? でも口調が違う……)


恐る恐る、後ろの気配に注意しながら、二階に転移する移動棒に向かうノンだった。

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