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Second Outage

なぜ送信元を分ける?

同一人物なら、こんな手間はかけない。

まるで、役割が分かれているようだ。


もし仮にそれが正しいのなら、

私は一人を相手にしているわけじゃない。


Lozxを追うべきか。

それともOrcaの正体を探るべきか。

どちらに動いても、気づかれる。


そして気づかれた時、

向こうは静かに手を打ってくる。


ーーーーーーーーー「Second Outage」ーーーーーーーーーーーーー


11月3日 5時30分


もう後には引けない。

とりあえずLozxの特定を優先しよう。

集団の特定は難易度が高い。そして危険である。


私はTalk forを起動しキーボードに打ち込み始めた。

Who is Lo

ただし数秒後、すべての通信が切断された。


ブレーカーが落ちたのかと思い、私は部屋を出た。

ただ別にブレーカーは何も変わっていない。気のせいだろうか?

部屋に戻ると、ずっと動かなかったスマートフォンが突然かすかな振動を起こした。


画面には「19:00. Second Outage will be initiated.」

二度目の停電、、


送信元はOrca。

私は画面を何度も読み返した。

19:00。

あと何時間だ?


生憎さっき時計を壊してしまった。

壊さなくても問題だったろうが壊しても問題だったのか。

とりあえず時間確認の為に私は外に出た。


外は既に薄暮色に染まっていた。

街のネオンサインが点り始めている。


まだ17時台だ。

あと1時間以上ある。

十分な時間だろう。


「どっかで時計買うかー。」


私は駅の方へ向かった。

人が多い場所なら、リアルタイムで追跡されづらいはずだ。


足音を立てながら歩く。

後ろを確認する。

追跡者の気配はない。


SecondOutage。襲撃となれば相手に隙が出来る。

情報収集には打って付けだ。

問題は私がLozxに監視されていることだ、もし何かあれば現実で襲撃されるかもしれない。

ネットカフェなどがあれば、Lozxも検討が付かないはずだ。


コンビニの前を通り過ぎようとしたとき、

すれ違いざまに男が低く呟いた。


「Beeが言っていたのは君か。」

私はすぐに体が動かなかった。


「伝えろと言われたことだけ伝える。 歌舞伎町が会場だ。」


Bee? 歌舞伎町?

振り返ったが男はもう人混みに紛れていた。

追おうとしたが、姿はない。


長時間の緊張状態でついに幻聴だろうか

ただもしこれが正しいのならば目的地は決まった。


「歌舞伎町へ行こう。」


とりあえず時計が無い為スーパーへ寄ることにした。

スーパーなんかあまり行かない為よくわからない。

しばらく探していると、それらしきコーナーを見つけた。


「腕時計 600円」

財布には千円札と五百円。

600円、、高けえ。

なるべく金銭の消費の控えたいが、万引きと言うのも悪い案だ。

今そんなのに巻き込まれていたらしょうがない。


商品から薄っすらと時刻が。 「18 : 13」

もう時間はない。

私はすかさずカウンターへ向かい店を出た。


駅まであと数分程度。

私は駅へと足を急がせた。


外は涼しく、停電なんて起こりはしないように賑わっていた。

駅まであと少しだ。



切符を購入し、電車に乗り込む。

18時を過ぎた車内は、真っ赤に染まっていた


吊り革に掴まる腕が揺れるたび、

車両全体がゆっくりと軋む。


「Beeが言っていたのは君か」


頭の中で再生される。


一体Beeとはなんだ?

シャチに蜂。私は動物園にでも来ているのだろうか?

だが決定的に違うことは、観察対象は動物でなく、私自身であることだ。


Lozx、Orca、Bee、、。

窓の外、ビルの隙間に夕焼けが沈みかけている。

車内アナウンスが流れる。


「次は――」


現在時刻 18 : 45


ドアが開いた。



歌舞伎町、、、ここから何分だろうか?

あと15分、ギリギリって所だろうか。


駅を出た。

夕日はもうほぼ沈んでいる。


ビルには明かりがつき、道は楽しそうに賑わっている。

あと11分。本当に停電が起こるのか。


後8分。 

「歌舞伎町一番街」と書かれているところに到着した。

ここだ。私は確信した。


後4分。

今日の朝にも同じようなことをした。

あと30分で停電だと。そんな知らせのせいで。



後1分。SecondOutageは開始される。


19:00:00


世界から光が消えた。

かすかに残る夕暮れの光の下で、悲鳴が聞こえる。


「やりやがったか。」

もう清々しいほどである。

さっきまで明るかったビルや建物の光が、全て消えて真っ暗だ。


人ひとりの為にここまでするだろうか?

悲鳴、パニックの中ここまでリラックスできたのは初めてだ。

私はただ呆然の眺めていた。


後ろから、聞き覚えのある声が聞こえた。

「本当に来たんだな。」


後ろを振り向くと、黒いフードに身を包んだ男がこちらを見てニヤっとこちらを見つめていた。

「とりあえず俺の指示に従え。いいな?」


私は状況がすぐに理解できずに彼の指示に従った。


「こっちに来い」


案内されたのは、、、ネットカフェだろうか?


彼がチェックインすると、私も続けて入った。

「ネットカフェすか?」


そう聞くと、彼は黙って頷いた。


個室に入り、彼はソファーに腰を掛けた。

男は、その時ようやく口を開いた。


「急に呼び出してすまないね。こちらも非常事態なんだ。」


「要件は?」

私が聞くと、彼はすかさず返した。


「そんなに急かさないでくれ。自己紹介でもしようじゃないか」

私だってSecondOutageで忙しいのだ。それなのに自己紹介でもしようと言うのか?


「悪いが私も忙しいんだ。なるべく早く切り上げさせてくれ。」

そうすると彼は言った。


「もし俺がOrcaでもか?」

私は思考が停止した。


わざわざ追っていたOrcaが今私の目の前にいるのか?


「厳密には違うがね。」

「まずOrcaシステムは分かるか?」

「分からないならそれも説明しなければいけないな」


彼は一方的に淡々と語ってきた。


「自己紹介を提案したのはあなたですよね?」

私は彼に呟いた。


彼は口を開いた。

「そうだね。」

「俺のことはOrca256と呼んでくれ。」

「君は何と言うんだ?」


名前、、本名を出してはいけない。何かなかっただろうか?

そんな偽名があるわけでもないし、SNSアカウント、、いやないな。

「Grenjaと申します。」 

考えるより先に口が動いた。逆にこれ以外ないのではないか

プロジェクト名、主催者であれば打って付けだ。


「そうかGrenja君。

君が分かっているようにOrcaは単独でない。

「Orca」クラッカー向けの匿名コミュニティだ。

Orcaには必ず数字が振られる。例えば私は256。

君が追っているのは343、つまりロズだろ。」


彼は話を続けた。


「問題は非常事態のことだ。

 ロズが組織を裏切ったせいでBeeがキレたんだ。」


ロズ、Bee、聞きたいことは山ほどある。

「Beeとは誰すか?」


彼は質問に答えた。

「Orca.B。コミュニティの創設者、オーナーだよ。」


「ではロズは?」


「そんなに急がなくてもいいだろう。 だがこれは君に伝えるべきだな。」

「私が今ここに君を呼んだのはロズの命令だ。

 ロズは少なからず君を嫌っている。 

 私は彼に接触しないことを推奨するよ。」


「では私は何をすればいい?」



「ゲームだよ。ゲーム。」

彼は答えた。

「君にはHPが3つ与えられる。 

 攻撃を食らわずに相手、要するにBeeのHPを0にすればよい。」

「ただし追手が来る前にだ。」


「なぜわざわざゲームをするんだ。」


「Beeが暇なんだろうよ。東京都全体を巻き込んだゲームだ。」

「とにかく君はすぐにここを出ていくべきだよ。すぐに追手が来る」


個室のドアを開いた。

「困ったときは343という数字を探して見ろ。そこら中にあるはずだ。」


私はネットカフェを出た。


外はもう真っ暗だ。

明かりの一つもないせいで方向感覚もクソもない。


少し行くと大通りがあった。

相変わらず人々はパニック状態だ。


343、いやまだ必要ない。


ここまで暗いとやる気もなくなる。

暗闇の中で追ってから逃げながらゲームだなんて。


コンビニを見つけた。

明かりはないし人もいないが。


私は炭酸を一本手に取り飲み始めた。

罪の自覚はありますか?と聞かれたらないという訳ではないが

この状況ではもはや正常な判断だろう。


「寒いな。」


クーラー無しで冬の夜。 地獄だ。

外は真っ暗、音と言えば客引きの声と悲鳴だろうか?

コンビニでくつろいでいたら、外で人々が移動しているのが見えた。

何かあるのだろうか? 私は後を追うことにした。


数分歩いている中で、目的地であろう場所を発見した。

ビジネスホテルだ。 エントランスは明かりがついている。 自家発電だろうか。


歩いていても何もない。というか何も見えない。


何か手掛かりがないか耳を傾けるが、当然手掛かりになりそうなことは何もない。


「えー停電、新宿全域らしい。 そうそうマジエグいよねー」

「何がやばいかって、システムがやばい。指名してない子が隣来るじゃん、最初」

「テロらしいぜ? ほんと最近物騒になってきたよなー」

「今何か盗んでもばれないっしょー」


マジで何も意味がない。


そういえば、一つ気になっていることがある。

256は東京都全体を巻き込んだゲームだと言った。

ただ本当に東京都全体であれば国が黙っていない。

過去前例のない攻撃ではないのだろうか、

まあ時間にもよるのか?


現在時刻 19:49分

もう私は何をすれば良いんだろうか


あ。

てかなんであいつ343を探せと言ったんだ?

343はLozxのIDなはず、探してしまったら本末転倒だろうが。


「Lozxとの接触はやめろ。Lozxを探せ。」


接触をせずに探す。

バカ言え、追手を追う奴がいるか。


一方的に情報を得る方法。


    「観察?」


観察者になれと、そういうことだろうか?

数時間で立場が逆かよ。とんだバカだ。


そうすると、今やるべきことは相手に気づかずに見つけることとなるか。

何か有益な情報を得られると良いがリスクもデカい。


「めんどくせえなー」

ぶつぶつ呟きながら闇の中を歩いていた。


それから数分、事態は急に訪れるものだ。

遠くから声がした。


「よー天才君。かくれんぼしてえのか?」


は?

なんなんだよ、少しくらい休ませてくれ。

「今度は誰だよ、」


「ロズと言ったらお前はどうする?」


「......逃げる。」


「リスクヘッジしようぜ?逃げたって変わらないだろ?」


まずこのゴミみたいな状況でできることはなんだ?

戦う=>どうなるか分からない

叫ぶ=>他の騒ぎにかき消されるだろう

逃げる、、まあギリ。


あー、まあぶっちゃけ逃げるしか手段は無いだろう。

さっきのビジネスホテルまで何分だ?

明るく人のいるところであれば変に行動できない。 

そもそも顔を見られたくないはずだ。


私は何も考えず走った。

相手がどこにいるか見えないが声からしてそこまで近くはないはずだ。


心臓を打つ鼓動がどんどんと早くなってゆく。

「ふざけんなよ」


それくらいしか言うことがない。









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