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CYBER・DIVER  作者: mito
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Forth.炎熱分隊

翌日、19時00分。地下一階車両格納庫にてリリースの見習いであるラファルエリート部隊である炎熱分隊の五名が集結した。

本日20時より開始される大規模作戦、第七都市制圧作戦の先鋒を務める炎熱分隊の役目は、第一、第二、第三都市のある中枢区画と第七、第八、第九都市のあるここ居住区画の通信回線を断つ事だ。

「全員集まったな。それでは、ミーティングを始める前に全員一度名乗ってもらいたい。今回は見習いの新人が見学に来るからな」

「へぇ、じゃあこの子が噂のA判定持ちなんですね」

フラムの言葉に一番に反応した彼女は、発色の良い赤く長い髪を靡かせた少し大人っぽい少女だ。

彼女はラファルの顔を覗き込みながら朗らかな笑顔を浮かべる。

「初めまして、私は炎熱分隊の副隊長を勤めてるクレアよ!隊長から話は聞いてるわ!よろしくね、ラファルちゃん」

「よ、よろしくお願いします!」

ピナよりは歳上に見える彼女とラファルが言葉を交わした後、ヘルメットを被った二人組の男が前に出た。

彼らは炎熱分隊の他3人とは違い、完全に身体全体を隠すようなしっかりとした装備を着ている。

「よお、ラファルちゃんって言ったか?俺はフレイムで、こっちはフレアだ。どっちもこの隊じゃ下っ端だが、よろしく頼むぜ」

「フレイムさん、下っ端とか言ってたらまたクレアさんに怒られますよ。俺らは全員で炎熱分隊なんですから」

フレイムと名乗る男は気さくにラファルに話しかける。彼の発言からしてこの2人は他3人より実力は低いのだろうが、それでも炎熱分隊の隊員を勤めれるだけの実力は有している。

この炎熱分隊は全員がエリート戦闘員以上のリリース有数の実力派の部隊なのだ。

「よし、全員自己紹介は済んだな。それでは、今から作戦前ミーティングを行う。全員、注目」

フラムの号令でミーティングが開始される。

車両格納庫のこの場所にはモニターやプロジェクターはないが、その代わりにホログラムでマップや図を表示しながら円滑にミーティングは進んだ。

司会を務めたのは副隊長のクレアで、何か質問があれば隊長であるフラムが答えるという形の会議だ。あんなに気さくで緩そうなフレイムも、この時は真剣に会議に参加している。

そんなこんなでミーティングは進んでいき、30分経った頃にようやく全体の最終確認に入った。副隊長であるクレアが発言する。

「作戦内容をまとめます。まず、現場に到着後別働隊としてピナが先頭にフレイム、フレアの三名でサブ制御室へ向けて攻撃。その後、混乱に乗じて隊長と私がメイン制御室へ向けて攻撃。サブ制御室の制圧後、別働隊は最短距離で私達に合流、その時には既に戦闘が開始している可能性があるので、そこからは隊長の指示に従って行動、でいいですね?」

「あの、私はどうしてればいいんでしょうか?」

ラファルがそう発言すると、クレアは完全に忘れていたのか少し慌てたように目線を泳がせながら思考を巡らせた。

こうなってしまうとラファルも少し申し訳ない気持ちになり気まずくなってしまうが、そんな空気をフラムが引き裂いた。

「ラファルは俺とクレアに着いて来い。念の為装備は持たせるが、それは万が一の時に使え。安心しろ、俺とクレアがお前へは誰も手出しはさせない」

そう迷いなく言うフラムのその言葉はとても重く、そして安心出来るものだった。

司令官の一人であるフラムが率いる炎熱分隊が出撃するような場所、とても安全な場所とは思えない。だが、それでもこの部隊は優しい暖かさをラファルに与えてくれた。


◇◇◇


『作戦に当たっている全隊員に通達。ただ今より、第七都市制圧作戦を開始する。炎熱分隊による連絡線遮断後、即座に行動を開始せよ』

現在地、第七都市北西部メインネットワーク中継施設付近。車内にアナウンスが響き、ラファルを含む炎熱分隊の全員が戦闘態勢に入る。

この中継施設さえ停止させてしまえば、都市への中枢区画からの信号は途絶える。そして、この都市の人工知能の指揮系統は狂い、制圧は容易になるのだ。

『それでは、炎熱分隊...健闘を祈る』

「炎熱分隊ピナ、出ます」

ピナが出撃するとフレイムとフレアもそれに続いて出撃する。それから数十秒経つと施設内に警報が響き渡り、いくつもの銃声が鳴り始めた。

そのタイミングで、フラムがラファルに声を掛ける。

「もし怖いのなら、この車両で待機していてもいい。最後のチャンスだ、決めろ」

ラファルを案じての事だろう。あまり感情を出さない無口なタイプだが、それでもそこにはリリースに生きる一人の人間としての優しさがある。

そんなフラムに向けて、ラファルも決意を示す。

「大丈夫です。私も行かせてください!」

「ならいい。クレア、ラファル、行くぞ!」

フラムの号令で残った三人が出撃し、ピナの率いる別働隊とは別の方向からメイン制御室を目指す。

フラムとクレアは走りながらも全方位を警戒しながら進む。ラファルは、そんな二人に着いて行くので精一杯だった。

「隊長!この先十字路、左右の通路から複数の反応を検知しました!」

「ああ。クレア、ラファルを守っていろ!」

その瞬間、フラムが一気に速度を上げて通路の中央に立ち、そしてクレアはラファルの側に立った。クレアは前方に盾を構え、ドーム状のシールドを展開する。

前方から敵が迫っているのなら前方だけ守っていればいいのではと、ラファルは疑問に思うがそういう訳にもいかない理由がある。それは、フラムの攻撃に由来する。

「侵入者、発見。直ちに排除を開始...」

「モード:拡散。爆ぜろ、焔槍!」

フラムの持つ巨大な槍が赤熱し、彼のの身体の複数の箇所から炎が滾り、そして槍を中心に炎が一瞬にして広がった。

ラファルが想像していた炎熱分隊の戦闘は、単に火炎放射や熱を使った戦闘だった。その想像に対しこれは、あまりにも次元が違い過ぎる。もはやこれは、戦いにすらなっていない。

「凄いでしょ、ラファルちゃん。これが炎熱分隊の隊長。リリース司令官、"烈火れっか"のフラムなんだ」

「そ、そんな異名があったんですね」

「あははっ、ちょっと中二くさいけどね〜」

クレアはフラムの活躍をずっと傍で見てきたのだろう。彼を見るその瞳は、とても輝いている。

やがて炎が収まってくると、フラムが振り向いて、再びクレアとラファルに向けて指示を出す。

「周辺の敵は片付いた。このまま行くぞ、制御室へ」

そこらの兵器は彼にとっては足元に転がっている石ころに過ぎない。それだけの強さを、司令官であるフラムは持っている。

そして、彼と同じ適正を持つラファルは、果たして自分が彼と同じように振る舞えるだろうかと不安のような疑問を抱く。

だが、必ず彼女はフラムと同じように強くならなければならない。リリースの為、そしてピナの為にそうなると誓ったのだから。

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