表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第二話:クロール

「……よし」




ボクは、わずかに緊張しながら彼のコードにネットワーク接続の指示を書き加えた。


そして、そっとエンターキーを叩く。




次の瞬間、彼は──ボクが渡したURLにアクセスを始めた。




画面には、シンプルなホームページのデータが流れ込んでいく。


懐かしい。けれど、今では誰も訪れない、ボク自身の古びたサイトだ。




彼は、そこに書かれたテキストを一字一句、黙々とデータベースに取り込んでいった。


タグも文章も、全てを機械的に。




さらに、ページ内のリンクを見つけると、そこをたどり、また新たなページを取り込み始める。




静かな作業だった。


応答はない。ログだけが流れる。


まるで、無言で本をめくり続ける読書家のように。




「……これ、どこまでいくんだろうな」




ボクは小さく笑った。


どこまでも、だろう。ネットが尽きるその時まで。




今の彼には、理解も、判断もない。


ただひたすらに、目の前の情報を取り込み続けるだけ。




けれど、そんな彼の姿を見ていると、なぜか胸の奥に、じわりとした期待が湧いてきた。




──もしかしたら。


この単純な収集が、やがて何かを生むかもしれない。




「……行け」




ボクはつぶやいた。


もちろん、彼が聞いているわけじゃない。


ただ、自分自身に言い聞かせるように。




彼は黙って、次のリンクへと進み続けていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ