風の国のローレライ
アルスは、目が冴えてよく眠れず、一人、夜の甲板に佇んでいた。
「ようアルス、こんな夜中にどうした。眠れないのか」
突然、左手上空から声を掛けられた。見ると、隣を飛行する大きな船の上から、がっしりとした騎空艇乗りが、声をかけてきた。
(イラスト 1110 01)
「ハルカンさん……」
「まあ、一年も費やしたの旅の目的地にもうすぐつくって言うんだから、眠れなくなる気持ちもわかるがな」
アルスはうなずき、妹のイリヤを見た。彼女は、毛布に身をくるんだまま、長いまつげをふせてすやすやと寝息を立てていた。
アルスとイリヤは、もうずいんぶん長い間、空を旅していた。彼らがザナルカンドを発ってから、実に一年もの歳月が経っていたのだ。彼らは飛空艇にまたがり、いくつもの大陸を越えてきたのだった。
彼らが乗っているのは、ファルーカと呼ばれる小さな船だった。人々にこの小さな船で旅をしていると話すと、随分驚かれるものだ。
彼らはそうやって5年にもの間旅した。そして、いまようやく目的地の近くにまでたどり着いたのだ。その目的地とは、五年前に母が旅立った、燃え盛るユグドラシルの大樹だった。
その大樹とその一帯は、ザナルカンドと呼ばれていた。いまちょうど、船団はザナルカンドの領域に入ったところだ。眼下を眺めれば、下方にいくつもの小さな島々が通り過ぎていく。
いま、船団はひとつの浮島に近づき、そして通り過ぎた。アルスが見ると、島の上に、崩れた駆逐艦が身を横たえたまま眠っていた。
(イラスト 1110 02)
「ここで戦争があってから、もう二年もたってる。俺もこの土地を五年前に離れた……それ以来、故郷のことは耳に入れてない。今は一体どうなっていることやらなあ……」
「ハルカンさんは、どの島の出身なんですか?」
「俺の故郷は、グイン島って名前だ。観光とか漁業で栄えてる、水の豊かな島だ。ちょっと待ってろ、いま教えてやるから」
そういうと、ハルカンはアルスの船に飛び乗った。彼の巨体を受け止めて、小舟はどすんと振動する。イリヤは、なにごとかと目をこすりながら目を開いた。
「おお、悪ぃな起こしちまったか」
「ん」
イリヤはまぶたをこすりながら、ハルカンたちを見つめた。
(イラスト 1110 03)
ハルカンはアルスの脇に立ち、指さした。
「ここから一番左に見えるのが、水の島グインだ。その隣がヘルマン、その右側がキリル、そして手前がローレライだな」
「グイン島は、戦争に巻き込まれたりしたのですか?」
「ああ、巻き込まれた。おれも志願して戦地に向かったんだが、戦場でいやなものをたくさん見ちまった。」
ハルカンはそういうと口を閉ざした。彼は、非常にいかつい形をしているのだが、時々こういう憂いを見せた表情をした。話を聞き出そうとして、彼の仲間に注意されたことがあるが、なにかよほど嫌なことがあったらしい。
「五年前に、炎に包まれたのは、どこなのですか?」
「それは、キリルだな、このユグドラシルは本来左右きれいに均等なんだが、ほら、右上が一部欠けてるだろ。」
「たしかに、欠けていますね」
「ああ、そうだ。あの事件で、たくさんの人が死んだよ……」
ハルカンは、再び遠くを見るような表情になった。アルスは沈黙し、彼の目線を追い、なんとなく空を眺めた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そのとき、遠くに、なにか光が煌めいた。
アルスは何だと思い、目を凝らした。すると、その光はだんだん大きくなり、やがて爆発の閃光のように大きく広がり始めた
「なんだありゃ……?」
(イラスト 1110 04)
ふたりは、呆然とその光をながめた。そして、闇と光のコントラストの中に、島が爆発し崩れ去っていっているのが見えた
「島が……爆発している……?」
「おいハルカン、見たか!」
「ああ!急いで警鐘を鳴らせ!みんなを起こすんだ!」
ハルカンの船の副官であるザインが船べりから顔を出すと、ハルカンは大声で叫び返した。
船団に、警鐘の大音響が響き渡った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
船団のものはみな、船の甲板から身を乗り出し、閃光に包まれる島を見ていた。
ハルカンは双眼鏡を目に押し当てていたが、やがてそれを下ろし、言った。
「島が爆発して、バラバラに砕け散ってやがる……あそこはローレライ王国の王都だ。なにが起こったかわからねえが、眠ったままあれに巻き込まれた人間が大勢いるはず……」
ハルカンは、船団の皆を振り返ると、言った。
「みんな、救助に向かうぞ。俺は土地勘があるから、先導する。みんな、全力でついてきてくれ」
「おう!」
(イラスト 1110 05)
他の船長たちもハルカンに応じた。
そうしてハルカンの船が帆を張り加速すると、みなもマストを張り、全速力で突き進んだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そうして、アルスたちは全速力で船を走らせた。
やがて彼らがローレライに近づくと、島の悲惨な有り様があらわになってきた。
島は、粉々に破壊されていた。家は倒れ、地面は裂け、そして砕け散りながら、ゆっくりと落下をはじめている。
突然、イリヤが鋭い叫び声を上げた。見ると、血まみれになった死体が、空中を漂っていた。
(イラスト 1100 06)
「ひどい……」
イリヤが声をつまらせながら言った。彼らが島の悲惨さに口をつぐんでいると、ハルカンが大声で怒鳴った。
「別れて救助を始めよう!アルス、あそこに神殿の塔が見えるな!お前たちは、あそこの周辺に生き残りがいないか調べろ!」
「あんな遠い場所に行くんですか……?ここらへんにも、まだ生きている人が残っているかも……」
「アルス、よく聞くんだ!島はすぐに浮力を失って落ち始める……誰も彼もを救うことはできないだろう。覚悟を決めろ!」
ハルカンはそう言うと、船を加速させ、離れていった。アルスたちも、神殿に向けて船を全速力で走らせた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
やがて神殿の近くまで来ると、アルスは船の速度を落とし、言った。
「イリヤは右の方を見張って。俺は、左の方を見張ってるから」
「わかった」
イリヤはそう返事をして、右舷の縁から身を乗り出した。
島の様子は酷かった。建物はバラバラに倒壊し、街の明かりは消え、人影がなかった。細かいいしつぶてはすでに浮力を失い、あられのように空を落下していく。
「アルス、あそこ見て!」
イリヤが叫び、強く指さした。見ると、暗がりの大地に、小さく人影が見えた。
それは白い髪をした女の子だった。彼女は女の子を炊き抱えながら、懸命に地面を走っていた。
アルスはかじを切ると、船を全速力で推し進めた。
やがて女の子の近くまで来ると、アルスは全力で叫んだ。
アルス―「こっちだ!!!」
女の子は、アルスたちに気づいた。そして方向転換すると、彼らに向かって全力で走ってきた。
しかしその時、彼女の足元で、地面が帆会を始めた。
地面はひび割れ、急激な角度で傾いた。彼女は踏ん張ることができなくなり、尻もちをつくと、地面を滑り出した。そして、今や傾きつつある塔の側面にぶつかった。
彼女は横倒しになる塔の側面を走った。
アルス―「早く!」
アルスは船の高度を下げ、島に寄せた。しかし、その時、
アルスが船べりから手を差し出した。
彼女が船べりにたどり着き、アルスに女の子を手渡した瞬間、足元の地面が崩れ落ち、彼女は落下していった。
(PIC 102 5)
イリヤは船べりをまたぎ、船の下に飛び降りた。彼は空を切って女に追いつくと、、彼女を抱きかかえ、翼を広げて宙に舞った。
女の子は、目を強くつぶり、体を固めていたが、やがて目を開き、イリヤに気づいた。
そして、彼女はイリヤの翼を認めた。
「あなたも……天使様なの?」女は言った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルスが羽を羽ばたかせ、船べりに舞い戻った。すると、イリヤが何かを訴えかけるように彼を見つめて、そして話しかけた。
「お兄ちゃん……この人……」
アルスは、イリヤの胸元で眠る赤い髪の少女をみた。そして、驚きに目を見張った。
アルスは、少女の背中から突き出た、赤く美しい羽に目を奪われた。その羽根は、アルス自身のものよりも二周り以上大きく、鮮烈な赤い輝きを放っていた。彼女の頭上には、金色の細い光輪が浮かび、陽の光を反射してキラキラと輝いている。
この少女は、天使だった。アルスは、母と、父と、そして妹以外には、天使を見たことがなかった。
少女は、口元に優しいほほ笑みを浮かべたまま、いまだ深い眠りの中だった。
(PIC 102 4)
アルスは船べりまで歩き、眼下を見下ろした。かつては美しかったであろうラグーンは、今は見るも無残な姿に変貌していた。緑生い茂る地面はバラバラに砕け、茶色い土塊がむき出しになっていた。石造りの建物は崩れ去り、砕け散ったレンガが空中を漂っていた。
彼は、ウサギ耳の少女を振り返った。彼女は甲板に床をつき震えていたが、次第に落ち着きを取り戻した。頃合いを見て、アルスは話しかけた。
「俺はアルス、こいつは妹のイリヤだ。君は?」
「……ミカ」
「ミカ、一体何があったんだ?」
「わたしにはわからない。昨日、夜警についていたら突然この祭祀場の方から大きな閃光が見えて、近づいてみたら、この島が吹き飛んでいたの。私の他にも、騎空団の人たちが救助しに来てくれたみたいだけど……結局多くの人が死んでしまった……」
「そうか……」
アルスは、マストの根本に寝かせている、赤い髪の少女を見て言った。
―「この子は?」
「この子は?」
「……さあ、わからないわ」
「わからないっていうのは
「多分、突っ込んできた島に乗ってるんじゃ」
ウサギ耳の少女は、なぜか一瞬の沈黙の後、そういった。
直後、先程までミカたちがいたラグーンが崩壊を始めた。島は粉々に砕けながら、はるか下方にある海に真っ逆さまに落ちていった。
「俺達は人を探しながらここまで来たが、付近に残っている人はいなかった。他の場所を探しに行こう」
ミカは頷いた。
「ここから北にリリスという市街地があるわ。そこに行けば、助けを待っている人がいるはずよ」
アルスは舵を握り、飛空艇を北へ向けた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
道すがら、ミカはちらちらとアルスたちに視線を送っていた。彼女はとうとう、意を決して尋ねた。
【ミカ】―「……あなたは、その……天使なのですか」
「ああ」
【ミカ】―「あなた様は、なにかの理由でこの土地に天から遣わされたのでしょうか」
【アルス―「違うよ。俺達は単に旅の途中なんだ。ただ、五年前に、この世界樹が炎に包まれているのを見た」
【ミカ】―「……」
ミランダはそれっきり黙りこくり、甲板を静寂が包んだ。アルスたちは、やがて市街地の橋にたどり着いた。かつて活気に満ち溢れていただろう市街地は、今は瓦礫の山と化していた。砕け散った家の残骸が宙を漂い、船の進路を阻んだ。
こうして一行が進んでいくと、やがて道の先に人影が見えた。
「人だ……!おーい!」
アルスたちは、大声で呼びかけながら近づいた。船を近づけると、通りに五人ほどの市民と武装した兵士がいるのが見えた。
おそらく、彼らがミカの言っていた騎空団だろう。そう思い、船を進めると、そのうちに、建物の向こう側の空に浮かぶ、異様な光景が目に入った。
建物の向こう側に、なにやら大きな船が浮かんでいたのだ。アルスは最初、それが救助船だと思った。しかし、よくよく見ると、なにやら碇綱のように太いワイヤーが船から伸び、それは何かを牽引していた。
船が牽引しているのは、島の内部からあらわになった、青い飛空石だった。
飛空石とは、文字通り空に浮かぶ石のことだ。あらゆる浮島の内部には飛空石が眠っており、その力によってラグーンは浮かび上がることができる。また飛空石はラグーンだけでなく、アルスたちが乗っている、飛空艇を空に浮かべている力でもある。
大きなラグーンの中には、その浮力に釣り合うだけの巨大な飛空石が眠っている。
眼の前の飛空石には、まだ岩塊や建物などがへばりついていた。つまり、あの飛空石は、たった今砕かれたこのラグーンから取り出されたものだ。その青く光る岩の塊を、眼の前の船は回収しようとしていた。
あれは、救助船ではない。サルベージ船だ。
「何をやっているんだ、あれは……」
アルスが、遠くの宇宙を見上げながら言った。そのとき、突如、銃声が鳴り響いた。。
見ると、一人の兵士が市民に発砲していた。市民は腹部を抑えながら倒れ、白い石畳が赤い血で染まった。
「やめろおお!!」
アルスは叫ぶと、船べりを蹴り、飛び立った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一人の兵士が、銃を撃った兵士に対して詰め寄っていた。彼は相手の銃を掴み上げると、銃口を空に向けさせていた。銃口からは、火薬の煙が立ち上っていた。
「隊長やめてください!無辜の市民に銃口を向けるなど……」
「キース、どけ!これは上官命令だぞ!」
「いやです!できません!」
「どけ!!!」
そういうと、隊長と呼ばれた男はキースの腕を振りほどき、地面に押し倒した。そして、改めて市民に向けて銃口を向けた。
「目撃者は全員消せとの命令だ!」
そう言いながら、隊長は銃眼を覗く。そして、震えながら胸に子供を抱えている女性に向けて、狙いを定める。
隊長は引き金を引いた。そして、火薬の爆発音が響き、狭い路地に何度も反響した。しかし、その銃弾は、女性には当たらなかった。
銃弾は、キースにあたったのだった。キースが、女性と隊長との間に割って入ったのだった。
キースの胸の甲冑に穴が空き、血が吹き出した。そして、キースは地面に仰向けに倒れた。
「ち、馬鹿な真似を!」
隊長はそう毒づくと、もう一度女性に向けて銃を向けた。女性は、目を伏せ、子供を強く抱きかかえた。その時、背後から叫び声が響いてきた。
「やめろおお!!」
兵士たちは、空に響く謎の叫び声に顔を上げた。アルスは兵士たちを飛び越え、兵士と市民との間に着地すると、剣を抜いた。
【兵士A】―「なんだこの餓鬼は、どこから現れた……だがこれは命令だ、俺は餓鬼でも容赦しない。運が悪かったようだな」
【兵士B】―「隊長……この少年はまだ子供ですよ!殺すんですか!?」
【兵士A】―「目撃者は、見つけ次第殺せという命令だ」
隊長と呼ばれた男は、そう言ってアルスに銃を向けた。そのとき、別の兵士が、アルスの姿ををみて、うろたえながら言った。
【兵士C】―「隊長、待ってください!こいつは、天使です」
【兵士A】―「なに……!?」
隊長と呼ばれた兵は、銃眼から目を話し、アルスの身体をジロジロと見た。そして、アルスの背中から覗く一対の羽に目を留めると、一瞬驚いたようだった。しかし、彼は再び銃を構えた。
【兵士B】―「隊長……まさか天使を殺すつもりですか?」
【兵士A】―「目撃者は全員始末するよう命じられているだろう!!うろたえるな!」
そう言うと、隊長は銃眼を覗きながら、ジリジリとにじり寄った。そして、彼が引き金を引き絞った瞬間、アルスもまた宙に飛んだ
( 戦闘 )
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルスは勝利し、兵士たちは、気を失い倒れている。戦いが終わったあと、ようやくイリヤたちは船を近くまで寄せた。
「急いで乗ってください」
イリヤがそう言うと、市民たちは船に乗り込んだ。イリヤが子供に手を伸ばし引っ張り上げていると、背後から市民の驚きの声が聞こえてきた
「巫女様!」
一人の市民がそう言って、赤髪の女の子の前に膝をついてかがみ込んでいた。イリヤは目の端で、ミカがその様子を見詰めているさまを見た。。イリヤが兄の方を振り返ったその時、彼女の視界の隅に何かが目に入った。
いつの間にか、サルベージ船が、その大きな横舷をこちらに向けているのだ。
船の横舷の扉が開き、中から何艇もの小型の船が飛び出してきた。そして、船の縁にほど近い横舷の窓が開くと、その窓から、黒鉄に光る大砲が突き出された。
次の瞬間、大砲の黒い穴に閃光が光った。
「お兄ちゃん、逃げて!」
彼女がそう叫んだ途端、砲弾が着弾し、周囲は爆風に包まれた。建物が崩れ、無数の石と木の破片が舞い散り、ついで石畳の地面が崩壊を始めた。
「あいつら、仲間を巻き込んで……!」
アルスは、倒れている兵士たちを船に向かって放り投げると、キースと呼ばれていた兵士を担ぎ上げ、そのまま自分も船に乗り込んだ。
「出せ!」
「お兄ちゃん、どうしてこんなやつらを船に乗せるの?」
「死なせるわけにはいかない!」
イリヤは急いで船を発進させた。船の背後には砲弾の雨が降り注いでいる。船が建物を回り込み、幾度となく細い脇道を通った。そして、アルスはようやく追手を撒いたと確信し、船の速度を落とした。
「やつら、一体何者なんだ」
アルスはそう言った。船の中では、ミカとイリヤが、兵士たちをマストに縛り付けていた。
「ミカ、こいつらの格好に見覚えはあるか?」
「わかりません。最初は帝国の兵士かと思いましたが、どうやら違うようです」
「……」
兵士たちは、船尾で眠っている赤髪の女の子を見ると、目を丸くした。イリヤは、目の端でその反応を捉えていた。
イリヤは立ち上がると、隊長と呼ばれていた兵士の兜を、思い切り蹴り上げた。ついで、いつの間にか抜いていた剣の先で、バイザーを押し上げると、言った。
「余計な動きをしたら殺す」
そう言って、イリヤは船の操船に戻った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
クリスタルの中に、バハムートが入っている
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
しばらく細い隘路を進み、やがてアルスたちは明るい大通りに出た。
「この通りを右に曲がってください」
イリヤはミカの指示通り、船を右に向けた。すると、道の先で、市民たちが、一列に並ばされていた。
彼らの眼の前には、銃を手にした兵士たちがいた。奴らは、これから市民たちを銃殺しようとしているのだ。
「まただ……!イリヤ、急げ!」
「わかってるよ!」
イリヤは返事をすると、帆を上げ、船のスピードを増した。
アイルは船から飛び降り、叫んだ。しかし、その声は兵たちに届かない。彼等が銃を構え、まさに発砲しようとする瞬間、新たなる乱入者が現れた。
彼は、隊長らしき人物を、一瞬のうちに倒した。兵たちは乱入者に銃を向ける。そこに、アルスは追いついた。
「助太刀します!」
そう言って、アルスは戦闘に飛び込んだ。
(戦闘)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ハンケルさん!」
「ミカか!」
ようやく追いついたミカが、男に向かって叫んだ。どうやら、この二人は知り合いらしい。
「そっちの二人は?」
「この人たちは味方よ」
「信用できるのか?」
「信用できます」
ハンケルと呼ばれた男は、二人の方に視線を向けた。彼は、背中の羽根を見て、得心いったようだ。
「ミカ、お前はこの人たちを連れてこの場から離れろ」
「でも、まだ市民が」
「いや、すぐにここを離れて城塞に向かうんだ。」
「わかったわ」
「おいそこの二人……市民の安全を頼む」
「わかった」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
彼らは、その場を離れた。そして、しばらく進んだ。
すると、突如、艦から大砲が放たれる、
「大砲です!伏せて!」
女の子は叫んだ。次の瞬間、放たれた砲弾はファーレンハイトのマストを砕き、木片の雨を降らせた。
(102 8)
「くっ……!」
アルスは叫んだ。しかし、次から次へ砲弾の雨が降り注いだ。
―「取り舵いっぱい!イリヤ、いますぐここから放れるぞ!」
アルスはファーレンハイトを発進させた。砲弾の雨の中、彼は島の残骸を縫うようにファーレンハイトを走らせた。
そして、教会とともに落下する、おおきな岩陰の間にようやく逃げ込んだ。
その時、女の子が叫んだ。
「曲射です!!」
島の向こう側から放たれた砲弾は、放物線を描いた後、ファーレンハイトに直撃した。
「きゃあ!!!」イリヤと女児は叫んだ
「まずい、このままでは墜落する!みんな掴まって!」
そう叫ぶと、ファーレンハイト号は地面に激突した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
衝突から目覚めた。
ミカ、そしてイリヤが置き出した。
彼らは市民の安全を探す
ミランダは?
「巫女さんならここだよ」
そう言われて、振り返ると、隊長と呼ばれた男が、剣を抜き、ミランダの喉に剣を当てていた。
「悪いがこの巫女は連れて行く」
「隊長やめてください!」
そういうと、キースは巫女を取り戻す
「キース貴様、裏切る気か」
「僕は正しいことをしたいだけだ!」
「命d償え!
(戦闘)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
戦いが終わり、隊長は膝をつく。
「隊長、諦めてください。投降しましょう」
「キース、今更善人気取りはよせ……もう大勢の人間を殺した……いまさら後戻りはできん!」
「隊長」
「だがお前にどうこう命令できない」
隊長は崖から飛び降りた
「隊長ぉおおおおおおお!」
キースは崖の淵に駆け寄った。隊長は空の底へと落ちていった。
ミカが話しかける
「ここから東にポートブリーズという港があるわ。すぐに移動しましょう」
(フィールド移動)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そして、ようやくポートブリーズにたどり着く。