撮影会
森の中にある小人たちの家。そのリビングは、いつもと違う緊張感に包まれていた。
白雪姫は真っ赤なリップを塗り、ドレッサーの前でポーズを取りながら、次々に小人たちに指示を飛ばしていた。
「ねぇ、グランピー!今日のフィルター、どっちがいいと思う?キラキラフィルターか、それともモノクロでシックにいくかしら?」
グランピーはため息をついて、スマホをいじる白雪姫を見上げた。
「どっちでもいいけど、これで最後にしてくれ。明日も仕事が早いんだよ。」
「何言ってるの!これは私の美しさを世界に届けるためなのよ!妥協なんてありえないわ!」
白雪姫は、自信満々にスマホのカメラを再び自分に向けた。
その横で、ドーピーは無言で白雪姫のインスタグラムにログインし、彼女が指示した通り、投稿に「いいね!」を連打している。
スニーズィーは小さく咳をしながら、フォロワー数をチェック中だ。
「ねぇ、バッシュフル!もう少し光を上げて!髪がもっと輝かないと、フォロワーが減っちゃうわよ!」
白雪姫は鏡に向かって笑顔を作り、ポーズを決め続ける。
バッシュフルは顔を赤くしながら、震える手でランプを持ち上げた。
その小さな光が白雪姫の顔を照らすと、彼女は満足げに微笑み、鏡に向かって完璧なポーズを決めた。
「もっと上!そう、そこよ!完璧!」
白雪姫はカメラに向かって投げキッスをし、スマホ画面を確認してうなずいた。
一方、小人たちはそれぞれの「任務」に追われていた。
ハッピーはインスタのコメントに「素敵です!」と次々返信し、グランピーは新しいフィルターを探す係。
スリーピーは疲れ切ってソファに倒れ込み、スニーズィーはまたくしゃみをしながら、次の「撮影アイデアメモ」を整理している。
「こんなの、いつまで続くんだ…」
グランピーがぼそっとつぶやくと、ドーピーが肩をすくめて無言でスマホを白雪姫に向けた。