表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏お伽話  作者: すずかん
プロローグ
1/4

結婚届を持った目覚めの姫


「おお!なんと美しい…!」


王子は感嘆の声を上げた。目の前にはガラスの棺に横たわる白雪姫。彼女の肌は新雪のように白く、頬と唇は鮮やかな赤、髪は漆黒の夜を思わせる。王子はその美しさに心を奪われ、思わず息を呑んだ。


「ええ…白雪姫様は、誰もが認める美しいお方です。」


棺を囲む小人たちは、王子に静かに語りかけた。彼らの目には、姫への愛と悲しみが浮かんでいる。


「どうして彼女はこうなったのだ?」


王子の問いに、小人たちは急にそわそわし始めた。互いに目を合わせ、何かを隠すような落ち着かない様子だ。やがて一人の小人が意を決して口を開いた。


「実は…最近、私たちが継母のお妃様を『美しいね』って褒めたんです。それを聞いて姫が怒り出して…リンゴを大量にやけ食いしてしまい、そのうち喉に詰まらせてしまって…」


小人たちは泣きながら「助けてください」と王子に懇願した。王子は驚きつつも、深く息を吸い、白雪姫の唇にそっと顔を近づけた。


「なんと美しい…」と囁き、あと少しで唇が触れそうになった瞬間――


突然、白雪姫がバッと目を開けた。


「ひっ!」

王子は驚き、後ずさりした。冷や汗が額に滲み、足元がふらついている。


「ちっ、目を開けるのが早すぎたか…」

白雪姫が舌打ちし、不機嫌そうに唇を噛む。小人たちは歓声を上げ、喜びに満ちた声が森の中に響き渡る。しかし、王子は恐怖に震え、後ずさりして逃げようとしていた。


「おい、待てよ。逃げんなって。」

白雪姫が鋭い声で呼び止める。王子が恐る恐る振り返ると、彼女は不敵な笑みを浮かべていた。


「初キスを奪っておいて、逃げるとかありえないでしょ?責任取って結婚しなさいよ。」

白雪姫の手には婚姻届がしっかりと握られていた。


「ちょ、ちょっと待て…」

王子が言葉に詰まっていると、白雪姫はさらににじり寄り、ニヤリと笑った。


「逃げられると思ってるの?私、あなたのこと全部調べてるんだから。お城の住所もSNSも、あなたの好きな朝食までね。オムレツ派だよね?」


王子は冷や汗をかきながら、内心で思った。


「俺はとんでもない女に目をつけられてしまった…」


この恐ろしい女から、もう逃げられないと悟った王子だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ