召喚
2025年4月27日、一章二章統合させる改稿を行いました。誤りなく行ったつもりですが、妙なところがありましたら感想欄でお知らせいただけると嬉しいです。
旧作品の第一章(聖女の章)と第二章(王女の章)を読書中だった方は、恐れ入りますが第一章「出会い」から読み直していただけると話がつながります。
旧作品の第三章は二章となり、変更はほぼありません。
「召喚成功だ!」
星屑のような眩い光がちかちかと明滅する中、薄々瞳を開ければ、そこには大勢の人たちがいた。
全身を覆うローブやマントをまとっている男女様々な人たち。若く見える人もいれば、白い髭を蓄えている人も。目の色も髪の色も多彩で、なぜこんなにたくさんの外国人に囲まれているのかと驚いたそのとき。
「無事、聖女召喚に成功したぞ! 私の、このアウリクス大魔道士の御代で、大陸に安寧をもたらす聖女を召喚したのだ! これで我が名は永久にこのカーマイン聖王国の魔塔の歴史に刻まれることになるだろう! なんと素晴らしい……! さぁ聖女よ、私とともに王家に、民衆にその姿を誇示するのだ!」
言いながらローブに仰々しい飾りをこれでもかとつけた男性が、私に向けて手を伸ばした。
こめかみに白いものが混じった髪、浅黒い肌、爛々とした瞳。身長百五十五センチの小柄な私よりもはるかに大きいその身体。
瞬時に以前の記憶が過ぎる。
『———おまえは俺のモノなんだよ、一生逃げられると思うな!』
すべてを絶望の底に叩きつけるその言葉が頭の中に反響する。記憶の中でも伸びてくる逞しい腕と、目の前のそれが重なったとき———。
「いやああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
叫びとともに鮮烈な色の光がたちまち私の全身から立ち上った。突き上げられる衝撃に呑まれて、私は意識を手放した。