エピソード01 2007年
(正しさを祈りながら〜)
ウォークマンで好きな音楽を聴きながら、信号脇のちょうど良い高さの塀に腰をかける。
(誰もいないみたいだな〜)
朝の澄んだ空気と、車の通らない道路が1人を際立たせる。
私は今でいうスクールカーストの上位層の集まる、サッカー部のマネージャーをしている。
当時はカーストという言葉はなかったが、常に上位層にいるようには、心掛けてたと思う。
三曲目の歌が始まると、遠くから佐山という男の子が走って来る。
佐山はサッカー部のキャプテンで、私の彼氏である。
佐山から告白され付き合って、半年になる。
朝練の日はいつもここで待ち合わせをして、二人で登校することになっているのだ。
佐山はサッカー部のキャプテンだけでなく、学級委員もやっており、マネージャーの私とはお似合いカップルと言われている。
佐山は付き合う前にファンクラブもあったため、付き合いたての頃は嫌がらせなどもあったくらいの人気者だ。
私はウォークマンを止め、佐山が近くに来るのを待った。
「おはよう〜。待った?」
「ううん。」
「よかった。何聞いてたの?」
「ORANGE RANGE聞いてた!」
「いつもじゃん。」
「佐山が好きって言ってたから。」
「まぁみんな好きだもんな〜」
他愛もない話をしながら、遅刻しないように少し早足で中学校に向かって二人で歩いて行く。
(佐山にも置いていかれないように)