本馬基奈=織田信長説
「どうもこんばんは、フクフクの本馬快奈です」
「相方の聖沢洋介です。学会という場所でネタをやるのは初めてなので緊張を隠し切れません」
「さて、私の姉でありタレントの本馬基奈については、皆さんもご存知かと思う」
「いきなり偉そうに話し始めましたけど、残念ながらそこまで有名ではないですね。ほぼ関東ローカルで活動してる人ですからね」
「我が敬愛する姉がここまで皆さまからのご支援を頂いていることには感謝しかない」
「支援というか応援はされてると思いますけど、言い方が大袈裟なんですよね」
「しかし今回、私は日本史の根幹を揺るがしかねない発見をしてしまった。心して聞いてほしい」
「急に話題を変えたんでしょうか?」
「本馬基奈は……織田信長と同一人物である」
「は?」
「識者の中には『四百年以上前にこの手にかけた尾張の大うつけが超絶カワイイお姉さんタレントの本馬基奈と同一人物なわけないだろ! ものの憑きたまへるか!』と憤る方もいるだろう」
「明智光秀でしょその識者」
「私も最初は事実を疑った。しかしいくつもの揺るぎない証拠が本馬基奈イコール織田信長説を実証しているのである」
「もう帰っていいですか?」
「まず本馬基奈の出生地は和歌山県である。和歌山県といえば織田信長が生まれた愛知県と同じく徳川御三家のひとつに数えられた県である」
「でも愛知県との縁はないですよね」
「織田信長は長篠の戦いで鉄砲を使った。本馬基奈もアイドル時代にステージ上で銃を撃つようなパフォーマンスをしていた」
「……」
「織田信長は明治時代に京都市北部のある神社で神として祀られた。本馬基奈は平成時代に横浜市北部のあるライブハウスでネ申として祭り上げられた」
「黙ってても続けるんですね」
「本馬基奈は女性だが、織田信長も女性である。ソースはラノベ」
「えぇ……」
「ちなみにそのラノベでは織田信長に相当するキャラクターに『奈』の文字が使われている」
「だから何なんですか」
「織田信長といえば緑の羽織袴だが、本馬基奈も緑色の衣装を着ていたことがある」
「どっちかと言えば紫がイメージカラーですけどね」
「織田信長は出陣前に湯漬けを食べていた。本馬基奈は登校前に永谷園の鮭茶漬けを食べていた」
「まあ本馬家の朝食事情は知りませんけど」
「私も食べていた」
「知らないよ!」
「さらに数字からも紐解いていく。本馬基奈の生年月日、一九九〇年七月二十一日をバラバラにして合計すると二十九になる。これに本馬基奈のデビュー年である二〇〇八年を和暦に換算した平成二十年の二十を足すと、浮かび上がる数字は五十。織田信長が好んだ敦盛で有名な『人間五十年』と結びつくのである」
「……? えーっと……計算が間違ってる!」
「最後に本学会恒例のアナグラムでチェックメイトとさせていただく」
「初めて聞く慣習ですね」
「まず本馬基奈をアルファベット表記にする」
「はい」
『HOMMA MOTONA』
「Mはホトトギスの天敵なので取り除く」
「文字が天敵?」
『HOA OTONA』
「Tは徳川や豊臣に繋がって縁起が悪いので織田信長のBに変える」
「せめてOかNにしませんか?」
『HOA OBONA』
「最後に細部を整えると……?」
「……」
『ODA NOBUNAGA』
「なんだこれは。たまげたなあ」
「勝手にたまげてろ!」
「これらの理由から本馬基奈は織田信長である。以上証明終了」
「追放されろこの学会!」
「Q.E.D」
「かっこつけるな!」