アンナの中に巣食う闇の正体
アンナの顔中に黒いアザが出現して、全身から漆黒のオーラが放たれた。
「力を貸してあげるよアンナ……こんな天使のマネ事をしているようなやつにやられるわけにはいかないからね……」
「お前、ただの人形ではないのか? お前は、一体?」
シンシアは、アンナの雰囲気が変わったことに驚きを隠せない。
「お前みたいな紛い物の天使に教えるつもりはないよ」
闇を纏ったアンナがシンシアを睨むとシンシアは膝をついて動けなくなった。
(身体に力が入らない……この私が、怯えているとでもいうの?)
「確か、時間を巻き戻せる能力を持っているんだったね。でも、能力自体を使えなくしてしまえば何も問題ない」
闇を纏ってたアンナはシンシアの目の前に移動すると、彼女の頭の上に手をかざした。
「お前の頭の中から能力の記憶を消した。これでもう、スキルを使うことはできない」
そのまま、アンナは怯えるシンシアに口づけするとシンシアの身体を強引に押し倒した。
「さて、お前をいただくとしよう。アンナ、喜べ。この身体を強化してあげるよ」
アンナの身体から出ている漆黒の闇が二人を包み込んだ。
闇はシンシアの身体を吸収して、アンナに取り込んだ。
「ふふ、思ったより上物だったな。おかげでかなりの神聖エネルギーを手に入れることができた」
シンシアから神聖なエネルギーを奪ったことで、成長が止まっているはずのアンナの身体は急速に成長して、大人の女性そのものとなった。
そして、アンナの背中には、漆黒の翼が生えた。
「ふふ、大分身体も成長したな。さて、次は女神、お前を倒すとしよう」
アンナが、大きく成長した自身の胸の下で腕を組みながら満足そうに微笑んでいると、目の前に、怒りを隠せない表情をした女神様が現れた。
「お前、シンシアに何をした?」
「これはこれは、女神様。偽物の天使なら、この私が食べました。とてもおいしかったですよ」
「なんてことを! 絶対に許さないよお前!」
怒った女神はアンナに神聖魔法で攻撃をしたが、アンナは無傷で、何事も無かったように涼しい顔をしていた。
「ふふ、創世の力を持つ女神の力があれば、いくらでも復活させられるじゃないですか? それに、私はあなたに貸しがありますので、返させてもらいますよ」
アンナはクールな表情を崩さずに女神様に話しかけた。
「お前はアンの中にいた魔道獣たちだな。アンを転生した時に、お前たちも紛れ込んでしまったのか」
「さすが女神様、ご名答です。では、あなたがまだ知らないことを一つ教えてあげましょう。アンは最後に、女神様に倒された魔道獣を取り込んでいたんです。あなたに偽女神と罵られた私のことを。だから、私はアンナの中で、ずっと待っていたんですよ。あなたに復讐する機会をね!」




