激怒するシンシア
マグナスの空間転移の能力で、アンナたちは神界の中へと入ることが出来た。
しかし、アンナたちが神界に入った途端、彼女たちが認識できないほどの遠方から、レーザーのように細くて鋭い閃光魔法が、マグナスの心臓を正確に貫いた。
何が起きたのかもわからず倒れ込むマグナス。
そのまま、彼の身体は石化してしまった。
突然石化したマグナスに全員が驚いていた。
「えっ!?」
「マグナス?」
それとほぼ同時に、アンナたちの前方の空間が歪み、空間転移のゲートが出来ると、中からシンシアが現れた。
シンシアは、アンナたちを睨みつけながら話し始めた。
「確か、空間転移の使い手はこの男の方だけでしたね。これで、あなたたちはもうここから戻れなくなりました」
「うわああああああ!」
「マグナス様! マグナス様ぁ! あんた、よくもやったわね! ぜったいにゆるさ……」
怒りでシンシアに飛びかかろうとしたレベッカとジェシカだったが、シンシアが手をかざすと、二人とも、その場で石化して動かなくなってしまった。
「レベッカ! それにジェシカまで……」
「残念ですが、あなたたちをここから帰すつもりはありません。石像にしてもらえただけ、ありがたいと思ってください」
シンシアは、神聖な神界に人間たちが侵入してきたことに、本気で怒っていた。
「私たちはただあなたにお願いに来ただけのに、ずいぶんとお怒りのようですね?」
怒りを押し殺したアンナがシンシアに語りかけた。
「当たり前です。ここはあなたたちのような人形が足を踏み入れていいような場所ではありませんから」
「天使様、下界の人々の願いを聞き入れないと、人形たちからも嫌われますよ?」
「人形の分際で、このわたしに指図するな!」
アンナに挑発されたシンシアは怒りを爆発させた。
「私たちの作った人形が、この私に逆らえるとでも思ったか?」
そう話すと、シンシアはアンナ以外の全ての人間を石化した。
「私に無礼な態度をとった罰だ。このまま全員壊してやる。砕ける仲間を眺めながら、永遠に悔やむがいい!」
「やめろおおおおおお!」
シンシアは石化したアンナ以外の仲間に空気を振動させる魔法をぶつけて、全て破壊した。
「やはりあの時、お前は消滅させるべきだった。子供に転生させて安心していた私が甘かったな。まあいい。お前は、私がこの手で直接消滅させてやる」
「うわあああああああ!」
その時、アンナは、自身の心の奥底から、何者かが表へと這い出してくるのを感じた。




