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シンシアと出会う方法

 マグナスは、ローラシア大陸最大の砂漠である、ガリア砂漠の西側にある、竜の墓場と呼ばれる遺跡を拠点としていた。


「ふふ、まさか女神と直接話し合いに行くつもりとはね。やはり君は面白い子だ。アンナちゃん」


 マグナスが、にこやかな表情でアンナに話しかける。


「この世界を変えられるのは、女神しかいないなら、そうするしかないでしょう?」


 固い表情のまま、アンナはマグナスに返答した。


「それで、彼女のいる神界へと連れて行けというわけだね?」


「その通り。あなたの空間転移の能力なら、たとえ神界に結界が貼ってあったとしても、突破できるでしょう?」


 それを聞いたマグナスは、苦笑いをした。


「まあ、やってみないとわからないが、多分突破は可能だろう。二つの空間を直接繋ぐわけだからね」


「私たちからもお願いします。彼女たちには、本当に世話になっているので」


「私も、他人事とは思えないんです。ローゼンブルグで今も苦しんでいる人たちを、なんとか助けてあげたい」


 レベッカとジェシカも、マグナスに頭を下げた。


「わかっている。だが、大体の座標がらわからないと、わたしも転移が難しいんだ。そういえば、チャネリングという技術で、天使と交信出来る者がいると聞いたことがある。アンナちゃんたちは、そういう人物に心当たりはないかな?天使と交信した時に位置を特定出来れば、なんとかなるかもしれない」


「そういえば、組織のアマネって子が、前にチャネリングで天使と交信できる子がいるとか言ってたわね」


「とりあえず、一度戻ってアマネに話をきいてみましょうか?」


「頼む。もし何か進展があれば、スマートボードで連絡してくれ。すぐにわたしが君たちの元へ駆けつけるよ」


「よろしくお願いします。マグナスさん」


 三人が立ち去ったあと、マグナスはしばらく物思いに耽っていた。


「君は不思議な子だよ、アンナちゃん。その笑顔でみんなを惹きつけて、いつの間にか味方にしてしまう。暖かい日の光のような、そんな魅力があるんだ。そして、もう一つ、底知れぬ闇を心の奥底に抱えている。危ういんだ。光も闇も持ち合わせている君は。もし、君が光を失って、その闇に飲まれてしまったら、本気でこの世界を潰してしまうだろう。それくらい、君は危険なんだ」


◇◇◇


 マグナスとの話し合いが終わり、組織に戻ったアンナたちはアマネから話を聞いていた。


「確かに、私の親友のミランダは、アンク様っていう天使様と交信できるの」


「今から会いに行くことは出来る?」


「もちろん、だってミランダは私の一番の親友だからね。でも、交信してる間、その、スクネくんには、外で待っていてほしいの。お願いできる?」


 アマネは何故か恥ずかしそうな顔をしながらお願いした。


「別に僕は大丈夫ですけど……」


「よかった。それじゃ、ミランダのお店に案内するね」


 アンナたちは、アマネの紹介で、ミランダに会いに行った。


 ミランダは、ローゼンブルグの首都の外れの寂れた商店街にひっそりと店を構えていた。


「なるほど、それで、天使のアンク様と交信がしたいってわけね。いいわよ。交信してあげる」


 そういうと、ミランダは服を脱ぎ出した。


「ちょっと、あんた何してるの?」


「何って、アンク様との交信感度を高めるために、服を脱いでるんだけど?」


 ミランダは悪びれずに答えた。


(なるほど、スクネを締め出したのは、これが理由のようね?まったく、どうして私の前には変態が現れるのかしら?)


「私だって恥ずかしいんだから、そういう顔するの、やめてくれる?」


「ごめんなさいミランダ。そんなつもりは……」


「まあいいわ。おかげで興奮してきた。もうすぐアンク様と繋がると思う」


 その様子を天使のアンクは神界から深刻そうな表情で見つめていた。


「ついにこの時が来ましたね。わたしも覚悟を決めなくてはならない……。本気でシンシア様を説得しなくては……。例え、それでわたしが存在を消されることになってもね」


 アンクは覚悟を決めて、ミランダと交信を始めた。

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