勝てぬなら、勝てるようになるまでエネルギーを奪えばいい
「ケイト、まさかあなたがあいつの姉だったとはね。世界を滅ぼすって? その前にあなたを倒させてもらうよ!」
アンナたちはケイトを取り囲んだ。
(このクロウドとかいう金髪のガキは強い。どうなっているのかは知らないが、体内に信じられないほどの生体エネルギーを蓄えている。おそらくヴォルフラムをやったのはこいつだ。クソッ、こいつを倒すには、まだまだ生体エネルギーが足りないか──)
「悔しいが、お前たちは後だ。そこで待っていろ!」
「待て! 逃がすか!」
攻撃しようとする三人を嘲笑うようにケイトは空高く飛び立ち、三人の目の前から姿を消した。
「ちっ、逃げられたわね。やっぱり空を飛ばれてしまうと手の打ちようがないわ」
「空飛ぶ魔道具みたいなのがあればいいのに」
「彼女はいずれ私たちの所へ戻ってくるわ。それを待つしかないわね──」
三人の攻撃が届かなくなる高さまで飛び上がったケイトは、周囲の生体エネルギーを感知していた。
「バリアントたちが近くまで戻ってきているな! まずはお前たちからエネルギーをいただくぞ!」
ケイトはバリアントのメンバーたちを見つけると、彼らの元へおもむき素早く地上へと降り立った。
「ケイト様、来てくれたのですね。ありがとうございます。見てください。スポンサーたちを全員確保して連れてきましたよ!」
「そんなことはもうどうでもいい。力を、力をよこせ!」
「えっ!?」
ケイトは、帰還したヴィランと、彼らが連行してきたスポンサーたちから、生体エネルギーを吸収していく。
生体エネルギーを奪われたヴィランとスポンサーたちは、干からびたミイラのような姿になっていた。
「まだだ。あのガキを倒すには、まだ力がいる」
「もう少し待っていろ。もっと力を手に入れて、お前たちごと、この世界を崩壊させてやるよ」
ケイトは再度空高く飛び立って行った。
ケイトは地上に人間を見つけると、無差別に生体エネルギーを奪っていった。
「まだだ、まだ力が足りない。どうすれば……。ああ、そういえば、マスターがいたな。あそこに巨大なエネルギーがあるじゃないか。そうだ。あいつから奪えばいいんだ」
ケイトは不敵な笑みを浮かべながらつぶやいた。
ケイトは石化したマスターの元へ向かうと、内部のエネルギーを根こそぎ奪って行く。
「こいつ、石化した状態でも、こんなにエネルギーを蓄えているなんて。すごいわ、これならあいつに勝てる。待っていてヴォルフラム。姉さんが必ず仇を取ってあげるからね」
完全にエネルギーを奪い尽くしたケイトは、自身の身体を女神のような姿へと変化させた。
「これでいい。これだけ力があれば、いつでもあのガキを倒せる。あいつを倒して、この世界を破壊して、新しい世界へと作りなおすんだ。そして、ヴォルフラム。姉さんが必ずあなたを復活させてあげるからね」




