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バリアントの三姉妹との戦い

「その顔は私たちと戦おうって顔ねえ。残念だわ」


「私たちね、子宮の中に魔道獣っていう魔物が寄生しているの。その魔物が完全体まで成長したら、ヴォルフラム様からご褒美がもらえるのよ」


「私たちは魔道獣を成長させるために、村人から生体エネルギーをもらっていたの。それなのに、あなたは私たちの邪魔をするっていうのね? 許せないわ」


 バリアントの三人は、体内に寄生している魔道獣を成長させるために、村の男たちを操って生体エネルギーを集めていた。


 ローゼンブルグで頻発していた失踪事件は、バリアントたちが魔道獣を成長させるために引き起こしていた。彼らは失踪者から生体エネルギーを奪うことで、体内の魔道獣を成長させていたのだ。


 バリアントのボスであるヴォルフラムは、配下のバリアントたちに、魔道獣を完全体まで成長させたものに望みのものを与えると話して、魔道獣を早く成長させるように仕向けていた。


「うふふ、ウサギさん。もうわかってると思うけど、私たち、魔法を無効化できるから、魔法は効かないわよ。これはね、魔道獣から私たちにプレゼントされた能力なの。あなた、もう勝ち目はないけど、どうするの?無駄だろうけど、逃げてみる?」


(魔法を無効化できるっていうのは言い過ぎよ。おそらくハッタリだわ。でも、魔法が効きにくくなってるっていうのは事実ね。おそらく、魔道獣ってやつの影響で、こいつらの魔力の絶対量がかなり増えていて、それで魔法に対する耐性もあがっているんだろうね。それなら──)


 アロウラは、背中に背負っていた槍を手に構える。

 これは、以前に手に入れたウーツ鋼のナイフを素材にして、槍に造り替えたものである。魔法研究所には錬成用の素材がたくさんあったため、アロウラはうまくウーツ鋼を加工して槍にすることができた。


「魔法が効かないから勝てないって? そう思うなら試してみなさいよ。三人まとめて相手してあげるわ」


「まってアロウラ。私たちも戦うよ」


 アンナたちが洞窟の奥へと走ってきた。


「アンナ、クロウド、来てくれたの? どうして?」


「遅くなってごめんねアロウラ。だって、僕たちはもう家族だからね。誰か一人でも欠けるのはごめんなんだ。だから、三人で戦おう」


 思いがけないクロウドの言葉に、アロウラは思わず胸がいっぱいになり、泣きそうになる。


「二人とも、ありがとう。もう、負ける気がしないわ」


 アロウラは二人を守るために、気持ちを入れ直した。


「あはは、お子様が二人増えたところで、私たちに勝てると思うの?」


「バカねえ、むしろ足手まといになるじゃない」


「ま、私たちはこれで三対三で戦えるからいいけど。戦うからには、少しは楽しませてよねえ?」


「二人とも気をつけて。彼女たち、三人とも魔法に耐性があるみたいなの。それに、お腹の中に魔物を寄生させてて、その魔物から力を得ているみたい」


 それを聞いたアンナはいきなり三人を閃光魔法で攻撃する。閃光魔法は途中で三つに分裂して、ヴィランの三人を直撃した。


「あらあら。いきなり攻撃するなんて、お行儀の悪いお嬢さんだこと」


「だから言ったでしょ。私たちに魔法は効かないって」


 閃光魔法で攻撃されたにもかかわらず、三人は何事もなかったかのように笑っていた。


「確かにあまりダメージを受けていないようね。まあ、大した問題じゃないわ」


 こうして、バリアントの三姉妹と、アンナたちの戦いが始まった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 瞬殺しようとしての先制攻撃が効かないとなってからのアンナちゃんがとても楽しみです。どう打開するのか、苦戦したらしたでのそんな姿もとてもかわいいのではないかと勝手に喜んでいます。アロウラさん…
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