05. 好き、大好き
ルドヴィクは、すごく気を遣って抱いてくれた。
優しく、だけど私が慣れてくると、少し強引に。
きもちいい、うれしい、すき、だいすき――
溢れる想いを言葉に出来てたかは分からないけど、だけど縋るように伸ばした手をしっかりと握り返されて、そして強く抱き締めてくれる。
「ルド……」
「愛してる、エミーリア」
「――――あ」
耳元で落とされたその名前に、蕩けていた意識が途端に冷えた。
――そうだ。
私は今「エミーリア」で、
ルドヴィクは結局「エミーリア」を、抱いてるんだ
そう思ったら、心がすぅっと冷たくなったような感じがした。
「――エミーリア?」
大丈夫か? と覗き込まれて、私は慌てて微笑む。
「ルドヴィク、好き」
シーツに落ちてしまいそうになった手に力を込めて、ルドヴィクの背に回す。
その広くて分厚い胸板に顔を押し付けて、ぎゅっと目を閉じて零れそうになった涙を堪える。
「好き、大好き。もっと……もっと、して?」
もたらされる苦しいくらいの快楽に、私はただ夢中になった。
縋り付くように抱きついて、感じて、高められて――
そうしてその交わりの終わりを迎える頃、私の意識は闇に引きずり込まれるように薄れていった。
――ごめんなさい
その謝罪がエミーリアに向けてだったのか、ルドヴィクに向けてだったのかは、
自分でも分からなかった。