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079_閑話_悪党の末路

「ゲッスよ!これはどういう事でおじゃるか!」


「私にも予想外でございました。まさか『マードック・ザ・ワイズマン』が動いているだなんて。」


ここはナプールの一等地にある豪邸の一つ、ナプール財務部長ダリオ=ガメンスキーの邸宅である。

ゲッスはこの家の主であるガメンスキーに呼び出された事に内心辟易していた。

ゲッスは変態だが決して無能ではない。今、自分とガメンスキーが会う事がどれほど危険な事なのかは重々承知している。


だが目の前のガメンスキーは無能だった。このガメンスキーは親の七光りだけで役人になった穀潰しで、大商会から賄賂を受け取る事しか能がない害虫だ。

自分に火の粉が降りかかりそうになった瞬間、こうしてゲッスに泣きついて来たのである。


「ゲッスよ!そなたに考えはあるのでおじゃろう!マロは牢屋行き等ゴメンでおじゃるぞ。」


「勿論でございます。裏口に馬車を用意してございます。まずはそれに乗りほとぼりが冷めるまでお隠れ(・・・)になって下さいませ。」


「うむ、後の事は任せたでおじゃる。」


「ハハァッ!!」


こうしてガメンスキーはゲッスに促されるまま、自分の護衛と共にその場を後にする。


「……ふぅ~、色々便利だったから利用させて貰っていましたがもう用済みですね。

私達もそろそろ出なくては。タヌカさん、行きますよ。」


「はい、ゲッス様。」


ガメンスキーを見送ったゲッスが虚空に向かって声を掛けると狸獣人の美女、専属秘書のタヌカが音もなく現れる。


「タヌカさん。首尾は?」


「滞りなく。」


「ご苦労様です。では参りましょう。()()の方々を待たせるわけには参りません。」


この短い遣り取りの後、ゲッスとタヌカは月のない街の中へと消えていく。


………


その日の夜、バヤオ=ゲッスの邸宅にて火事が発生。

そこで狐獣人の男性と狸獣人の女性の遺体が発見された。

そして次の日の朝。ダリオ=ガメンスキーは馬車を強盗に襲われ遺体で発見された。

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