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072_2d10でSANチェック

「貴様は!この前、吾輩に難癖をつけてきた黒髪のガキ!」


「うわぁ~。スイカの皮の匂いがすると思ったらあんたでしたか。」


ズンダダが経営する喫茶店『ゴージャスずんだ』に敵情視察に来た僕とゼブラさんだけど、敵の首魁ズンダダ=コービットこと禿デブウサジジイに遭遇した。

しかし相変わらず視覚でも聴覚でも嗅覚でも臭そうな佇まいだな。もう、五感全てが不快感を訴えてるんだけど。

禿デブのいきなりのご挨拶に対して僕は全力のしかめっ面で答える。

それに対して顔色を青くする取り巻きと失笑する一部の店員。おい、さっきの態度の悪いクソ店員。テメェは仮にも従業員なんだから爆笑するんじゃねえよ。

まったく、こんなところにもDQNがいるだなんて。こいつの存在をいち早く知れてよかったわ。こいつがもし近づいて来ても追い払えるようになったから。

さて、僕が余計な事に思考を割かれていると、禿デブが肩を怒らせながら、歯槽膿漏になってそうな口から言葉を吐きかける。


「ふぅ~、今回は客として来たか?本当は目にモノ見せてやるところだが、吾輩の店に金を落とすなら大目に見ておいてやろう。

それより、そっちのシマウマ獣人だ。吾輩は貴様に用がある。」


「ん?俺っちの事か?」


禿デブに話を振られたゼブラさんが如何にも興味なさげにクッキーをかじりながら受け答える。

禿デブはその態度に若干気に食わない様子だったが、ひとまず会話のテーブルにつけた事には満足した様で、勧められていないのに勝手にゼブラさんの横の席に座る。

ちょっと、近いんだけど。なんか湿気とか加齢臭とかヒドイから退散したいんだけどな。ゼブラさん、逃げてもいい?あぁ~、やっぱダメですよね、ちょっと目がマジなんだけど。

そんな嫌そうな雰囲気をありありと振りまく僕とゼブラさんを無視しながら禿デブが黄色い色がついてそうな息を吐きながら話を切り出す。


「シマウマ獣人、貴様はあの小娘の店に『スイートポテト』を搬入しておるな。」


「あぁ…確かに俺っちが入れてるけど。」


「それを小娘の店ではなく吾輩の店に入れないか?報酬は小娘の店の3倍出そう。」


…この禿、絶対バカだろう。今、禿デブがやってるのって犯罪教唆だぞ。スイートポテトはゼブラさんの私物じゃないんだ。これでゼブラさんがデブの誘いに乗ったら、窃盗罪もしくは業務上横領罪だ。しかも一発でその罪が発覚するレベルの極めてお粗末なやつ。

えっと、なんかゼブラさんがすっごくいい笑顔してるんだけど、これってあれだよね。獲物が罠にかかった的な奴だよね。でも禿デブはそれに気づかず話を続けてるよ。


「どうだ、報酬だけで不満なら若い女もつけよう。吾輩の手にかかれば選り取り見取りだぞ。」


「ほぅ、それは少しそそられるねぇ。」


うわぁ~、ゼブラさんがナチュラルクズのツラになったよ。ホントにこんな大人にはなりたくないよね。禿デブもゼブラさんよりキモいクズのツラになりながら、話に乗っかって来たし。


「なるほど~、さては貴様もなかなか好きモノのようだな。ちなみに貴様の好みはどんな娘だ。」


「俺っちは二十歳(はたち)くらいの可愛らしくてボインのリス獣人がタイプかな。」


「ほう、やはりまだまだ若いなぁ。吾輩は妙齢で大人の色気があるスレンダーなウサギ獣人が好みだ。」


おい!このクズ!それって完全にスフィーダさんじゃねぇか!でもスフィーダさんってボインだったんだ。獣人さんのボインとか見分けつかねぇよ!!

ちなみに僕のタイプはボインで優しい大人の女性だ…これってスフィーダさん!いや、だから分かんねぇ~ての~~!!僕の好みはどうでもいいんだよ!

それから禿!テメェもなにしたり顔で自分の好み暴露してんだよ。しかもその条件ってもしかしてラビリさんとかだったりしないだろうな!

うわ~、キモッ!超キモッ!叔父が姪に色目使ってるとかありえねぇわ。僕はラビリさんの事、子供にしか見えなかったから分からなかったけど、そう考えるとこいつ今すぐブッコロばした方が良さそうだな。

取り敢えずこれをラビリさんに知られたらSANチェックものだから黙っておこう。

さて、僕が2d10で何とかSANチェックを切り抜けたところで、キモクズの片割れゼブラさんが話を続ける。


「話は分かった。ここじゃちょっと人目につく。場所を変えて話そうぜ。俺っちちょっと安酒が飲みたい気分なんだ。」


「ほぅ、昼間から酒とは優雅だな。まぁ吾輩の口には合わないだろうが、たまにはまずい酒も悪くないだろう。」


「そうと決まれば、善は急げだ。口うるさい黒髪のガキと付き合うのにも辟易してたし、この辺で鞍替えするかな。」


そうわざとらしく宣言しながら、ゼブラさんが僕の耳元に顔を近づけなにやら耳打ちする。


「・・・・・・・・・・」


「………」


僕はその底冷えがする様な低く静かな呟きに思わず背筋が凍る。


「よっし、じゃあズンダダの旦那。俺っちの知ってる店で祝勝会がてら一杯やろうぜ!」


「まぁ、部下に度量を見せるのも上に立つ者の務めだな。払いは吾輩が持とう。」


「おっ!流石御大尽様!太っ腹!!」


禿デブを囃し立てながらその場を後にするゼブラさん。

その背中を見送る僕は思わずため息をつく。


「はぁ~、あの禿デブ…死んだな。」


ゼブラさんが耳打ちした言葉。それは、


『ワリいけど、孤児院の様子見て来てくれるか。ゴミはゴミ箱に放り込んでおくからよ。』


だった。よく分からないけど禿デブはゼブラさんの逆鱗に触れてしまったようだね。

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