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067_チート能力者クズミ様

「さぁ、クズミさん…色々説明してもらおうと思いますけどいいでしょうかねぇ~。」


「コンヨウさ~ん!アウト~~!!その顔は病み上がりの人に見せちゃいけないやつですよ!!」


「えっと、これは…どういう状況なのじゃろうか?」


「…さっきの天使のような少年は幻だったのか…」


えっ、僕は回復したクズミさんに事情説明を求めて、爽やかな笑顔を浮かべているだけなのに、なんでみんなそんなに引きつった顔をしてるのかな?

これじゃ天使じゃなくてペテン師だって。Hahaha~~~h!!騙される奴が悪いんだよ。おっといけない、思考が逸れちゃったけど、状況を説明しようか。

僕らが食事を終えてすぐにクズミさんが目を覚まして、食事が出来る程度に回復していたので、取り敢えず『鳴子銀時』とお店の人に分けて貰ったミルクを飲ませて、人心地着いたところで事情聴取と言うわけだね。

さっきのやり取りの後、僕とクズミさんの間にパフィさんが割って入り、ペテロさんがクズミさんに状況説明をしていた。


「なるほど、ワシがいない間にそういう事になっていたんじゃな。スフィーダちゃんや子供達には迷惑を掛けてしまったのぅ。」


えっと…今話して初めて分かったんだけど、どうもこのミミズク獣人のクズミさん、普通にいいお爺ちゃん神父さんみたい。

借金の経緯を確認したけど、建物のローンの支払いが滞って、質の悪い地上げ屋に立ち退きを要求されたのがそもそもの発端らしい。

その為の支払いが100万フルールと生活費に20万フルールと言うのが借金の振り分けらしい。

しかもゲッスは口では「返してくれればいつでもいい」と言っておきながら、契約書には期限を切って無茶な条件を書いていたらしい。

これは想像だけどサインの時に渡された契約書が二重になっていて、クズミさんに気づかれない様に無茶な内容の契約書にサインをさせたのだろう。


どうしよう、お金は一部じゃなくて全部孤児院の為に使われてたよ。お金を持ち逃げしたと勝手に決めつけてたからとっ捕まえれば問題解決だと思ってた。

そういえばクズミさんが悪い事をしている、って言うの完全に僕の偏見だった。クズミさん、今まで散々悪口言ってごめんなさい。

さてこれからどうしたものか、っと考えてたんだけど。


「コンヨウさん。別に問題ないじゃないですか。ラビリさんが融資してくれる予定なんですから。」


「あっ!そういえばそうだったね。」


色々あり過ぎて忘れてたけど、パフィさんの言う通りもう借金の問題って解決してるんだった。

後はゲッスがどう出るかだけど、クズミさんがこっちの手元に居て、ゲッスに監禁されていた事を証言すればかなりのダメージを与えられる。

そしてスフィーダさんに対する人身売買の契約書でトドメ。ついでに地上げ屋もゲッスの仕業だってなれば完璧なんだけど、それは調べてみないと分からないね。

さて、これでゲッスの方はケリがつきそうだ。

そんな風に考えているとクズミさんの方から静かな声が届く。


「コンヨウ殿、何から何まで本当に感謝に絶えない。ワシも何か礼が出来ればよいのじゃが。」


「それでは、まずは商業ギルドでの証言をお願いします。それが無事に終わったら孤児院に行ってスフィーダさん達を安心させてあげて下さい。」


僕がそう言うとクズミさんは渋い顔をした。


「いや、ワシはコンヨウ殿とそのお仲間にお礼がしたいのじゃ。わしには『大豆製品加工』というあまり役に立たないスキルしかないが、大豆油くらいなら作れるぞい。」


「えっ!?…『大豆製品加工』ですって…」


これってミルさんの時と同じパターンじゃない。まさかこのお爺ちゃん神父もチートスキル持ち。一応聞いてみよう。


「あのぅ~、クズミさん、いやクズミ様。スキルを使った時の詳しい状況を教えて頂いても?」


「……えっと、いきなりどうしたんじゃ?コンヨウ殿?」


「アッ!コンヨウさんがまたクズな事考えてます。」


ちょっとパフィさん、失礼だよ。別にいっつもクズな事を考えてるわけじゃないよ。時々しか…結構な頻度しか…大体しか考えないよ。

さて、僕の事はどうでもいいんだよ。それよりもクズミ様、説明よろです。


「えっとのぅ。大豆に手をかざしてスキルを使うと頭に文字が浮かぶんじゃ。

確か『大豆油』『トウニュウ』『キナコ』『ナットウ』『オカラ』『ユバ』『ミソ』『ショウユ』『トウフ』だったかのぅ。

もっとも大豆油以外は何の事か分からんから作った事がないがのぅ。」


「ちなみに大豆油はどのくらいの時間でどのくらいの量作れますか?」


「大豆と同じ重さをほぼ一瞬でできるぞい。」


ヤベェ~!!この人もミル様と同じスペックの持ち主だ!!よし、今から全力でゴマを擦ろう。


「あの~、クズミ様。こんな風に言うのはちょっと心苦しいのですけど、もしお礼がしたいと仰るのでしたら、この件が片付いた後にスキルで作ってもらいたいものがございまして。」


「えっと、別に構わんが…なんかこうも態度がコロコロ変わると怖いのぅ。」


「気にしちゃダメです。あの打算に満ちた汚い笑顔がコンヨウさんのデフォルトですから。」


「…拙者、パフィ殿がそんなに人の事をボロクソ言う姿、初めて見たぞ。」


「コンヨウさんは基本的にはダメ人間ですので。」


ちょっとパフィさん。初対面の人に最悪の印象与えるの止めて頂けますか~。なんかペテロさんも今まで見た事がないくらい表情豊かに引いてるんですけど。

クズミ様~、僕悪いコンヨウじゃないよ。だから僕にお味噌とかお醤油とかお豆腐とか作って下さい。マジでお願いします。

こうしてこの事件における最大の収穫、『大豆製品加工』スキル持ちのクズミ様と知り合えた僕。よっし色々作ってもらうぞ。目指せ和食の完全再現。

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