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063_毒殺天使パフィちゃん

「コンヨウ君!正座!」


「…はい。」


ラビリさんのお父さんのコービットさんの治療を終えた後、僕を待ち受けていたのはドクさんのお説教だった。

ゼブラさんに『芋文』で連絡をしたところ、あのダメシマウマ、あろうことかヒヨリさんだけじゃなくてドクさんまで連れてきやがった。

お陰で僕はこうしてコンコンとドクさんに怒られているわけだ。クソッ!あのシマウマ、微妙に顔が笑ってやがる。

せめてもの抵抗で全力でガンくれてやりたいところだけど、それをするとまたドクさんを怒らせてしまうので黙ってこの状況を受け入れるしかない。

それから正座で30分間、迷惑にもラビリさんのおウチの前で一頻り説教を受けた僕がヘロヘロになったところで漸く解放される。


「はい、もう勝手な事はしませんのでどうかお許しください。」


「…本当に分かったんだろうか。ネイチャンさん、どう思います?」


「多分、あんまり分かってないわね。今後も要監視ね。」


「全く同意だな。お前がいない間、俺っちがどんなに苦労した事か。

お前が『芋文』で色々と雑用吹っ掛けてくるからよ~。」


うるせぇよ、ダメシマウマ。テメェーがスフィーダさんをエロい目で見ていただけだって事は昨日監視して分かってんだよ。テメェーが孤児院のガキどもにスフィーダさんのおっぱいについて熱く語っていた事はまるっとお見通しなんだよ。

それにちょっと雑用をお願いしただけなのに、この言い草だよ。まったく、テメェーは何かさせてないと本当にダメシマウマなんだから。


さて、八つ当たりはその辺にしてと。もう単独行動は出来なくなったけど、どうしようかな。まぁ、ゲッスに関しては大体情報は手に入っているからもういいし、ズンダダに関しても今回の件で実行犯が割れればお終いだろう。

だってどう考えてもズンダダの差し金だもん。証拠はあるのかって?バカだな~、なければ作ればいいんだよ~。いや、冗談だからね。だからみんな、心を読んでゴキブリを見る様な目で見るのは止めて下さい。

全く、どうしてみんな僕の心を読めるのかな?パフィさんに読心術でも教わったのかな?

まぁいいや、せっかくだからパフィさんのウェイトレス姿でも拝みに行こう。きっと文字が読めなくてバイトする嵌め(誤字にあらず)になっているはずだから。


「では、『ラビアンローズ』に行きましょう。もうすぐ開店時間でしょうし、そこで現状について確認しましょう。」


「…あぁ、そうだね。こっちも報告したい事があるしね。」


「だな。誰かさんは人の事をダメシマウマだと思ってるみてぇだしな。」


こうして僕はドクさんとゼブラさんにジト目で睨まれながら『ラビアンローズ』に歩き出すのであった。

だが、ここで僕らは驚きの光景に出くわす。


「…これは、一体なんでしょうかね?」


「多分、パフィちゃんだな。」


「これほどとは…」


「私もびっくりだわ。」


そこには武器を持ったチンピラ共、20人以上の屍(死んでませんけど)と、それを転がしながら満面の笑みでこちらに歩み寄るエプロンドレス姿の可愛らしいモフモフパフィさんの姿があった。

毒殺天使パフィさんの姿を見た僕は顔を引きつらせ、一気に襲って来た疲労感と必死戦う。あぁ、前世で愛飲していたエナジードリンク(試供品)が懐かしい。


「あっ!コンヨウさん!お帰りなさい。その様子だとドクさんにコッテリ絞られましたね。」


「ただいま、パフィさん。多分僕が疲れてるのはドクさんとは関係ないところだよ。」


「へぇ~、そうなんですか?じゃあ、ぼくがお説教しても大丈夫ですね。」


「いえ!ドクさんに怒られてとっても疲れているから勘弁して下さい。」


身の危険を感じた僕は流れる様な動作で土下座対応。最近僕ってこればっかりだね。

では立ち話もなんだから、お店の中に失礼しますかね。店員パフィさんの案内の下、店の中へと移動する。

本当はお客様としてパフィさんのバイト姿を拝みたかったけど、迷惑になるといけないのでお店の人のご厚意で控室を借りる事にした。

みんなが席に着いたところでまず最初に口を開くのは僕だ。


「最初に確認したいんだけど、パフィさん。あれ、どうやってやったの?」


いや、気になるよね。多分ヒヨリさんがラビリさんの自宅に呼び出された後に襲撃があったんだろうけど、パフィさんのガススキルであれだけの大人数を一度に相手取るのは難しいはずだ。

でもあのチンピラ共は一瞬で意識を刈り取られてみたいだし、かなりの濃度の匂いガスを浴びてるはずだ。パフィさんのガススキルが成長したのかな?

そんな事を考えているとその答えが呆れた顔をしたパフィさんから返ってくる。


「コンヨウさん。自分が渡したモノの事、もう忘れたんですか?」


「僕が渡したモノ…もしかして『ガス強化』が付与された『甘納芋』?」


「そうです。あのお芋を食べるとガスの量が増えるだけじゃなくて操作もしやすくなるみたいなんですよ。

しかもガスの生成量が増えたからそれを制御する為に『ガス操作』スキルを常に使っていないといけないので、制御自体もうまくなったみたいです。

それであのガラの悪い人達の鼻っ面にピンポイント爆撃が出来る様になりました。」


ほぅ、まさかあの焼き芋にそんな効果があったとは。これなら前回のシマトラ組の時みたいな乱戦状態でも対処可能だね。

ますますパフィさんが強くなってしまった。こりゃいよいよ独り立ちの時が近いな。後は文字を覚えるだけだね。

次は僕の報告だね。


「僕の方は商業ギルドで調べた事とゲッスを尾行した時の事だね…」


ここで、僕は商業ギルドでゲッスの不正の証拠の一部は手に入れたけど、始末するには一歩届かなかった事。

マイトさんにお願いして孤児院とゲッスの取引を無効にして貰えるよう法的な手続きを進めている他、色々と『頼み事』をしている事。

同じくマイトさんにはズンダダが無茶な買い占め行為を行おうとした際に警告して貰える様にお願いしている事。

ゲッスはどうやらどこかにクズミ神父を監禁して始末しようとしており、クズミを発見し証言をさせればゲッスにトドメを刺せる事。

ズンダダがラビリさんの父親に手を掛けようとした可能性が高く、その証拠を突き止めればズンダダもお終いだという事について説明した。

それを聞いたみんなの反応はというと、


「コンヨウっち。お前怖いな~。」


「全くね。たった3日で大商人2人を始末する為の下準備を整えるだなんて。」


「こんな事が出来るなんて完全にヤバい人です。」


「すまない。何とか真人間にしたかったんだけど、私の力が及ばなかったようだね。」


「えっと…みんな、ヒドくない。」


「ヒドくない!!!!」×4


解せない。僕は真面目に正義のために悪党を地獄へ叩き落とそうとしているだけなのに。

別に禿デブが嫌いだとか公然わいせつ罪がキモいからっていう動機じゃないからね。勘違いしないでよね。

さて、ズンダダのトドメについてはラビリさんに任せるとして、こっちはゲッスだね。

そう思っていると最後はドクさんからの報告みたいだ。


「さて、私は昨日、ゼブラさんからクズミ氏の持ち物を受け取って、彼の居場所の割り出しを行った。

どうもこの街から少し離れた森小屋に監禁されているようだ。細かい場所はペテロさんからバックルさんに伝わっているはずだから今日、明日中にはケリが付くと思うよ。」


マジか、この人達。確かに探索はお願いしたけど早すぎるし、ついでで始末出来るとかおかしすぎるでしょう。

分かっちゃいたけどウチの集落ヤバいよ、ヤバいよ~。いかん、思わず取り乱してしまった。

落ち着け、何か見落としは無いか…バックルさん達がやられる可能性は…ないな。むしろ相手が死なないかの方が心配だ。

よし、ゲッスの死亡確定まであと一息だ。僕は何もやってないけど。

これでゲッスもズンダダも報告待ちか。勝負は明後日以降だな。


「状況は分かりました。取り敢えず今日のところは大人しくしておきましょう。」


「だな。さっきのチンピラ共もナツメっちに頼んでしょっ引いてもらったし、どっちの差し金かは分からないけど少なくとも黒幕の罪状は一つ増えるだろうしよ。」


「でも具体的にはどうするんだい?私とネイチャンさんとゼブラさんはお昼過ぎには集落に戻ろうと思うけど。」


「そうですね。僕もここでバイトさせて貰いますか。パフィさんだけ置き去りにするわけにはいきませんし。」


「つまり、コンヨウさんはぼくの後輩という事ですね。分かりました。先輩としてタップリこき使ってあげます。」


「はぁ、お手柔らかにね。」


「それじゃ、私達はお客様になりましょうか。私も都会のスイーツとか食べてみたいし。勿論コンヨウ君の奢りでね。」


「くっ!仕方ありませんね。じゃあゼブラさん以外は奢りますね。」


「なぁ、コンヨウっち!なんでいちいち俺っちをハブるんだよ!」


いや、それはやっぱり人徳の差ってやつだと思うんだけどな。

ネイチャンさんはドライフルーツとハチミツと果実酒がたっぷり練り込まれたスポンジケーキを食べてご満悦の様子。

その時ドクさんもブランデー入りのパウンドケーキをメニューから発見し、それを満足気に頬張っていた。

ゼブラさんについてもあんまりジト目で見て来るものだから、結局砕いたナッツがタップリ練り込まれた甘さ控えめのホットケーキを奢るはめになってしまった。

その総額実に12000フルール。うわぁ~、この前と合わせて約26000フルール。僕ってこの店にカモられてるのかな?


ちなみにここのバイトについてだけど、スイートポテトの開発者で視察にやって来た、って言ったら二つ返事でOK貰っちゃった。

どうやら僕の特徴についてはヒヨリさんから店員の皆さんに伝えられていたみたいなんだ。

でも、普通にバイトしているだけなのにやたら感心されてしまった。そしてそのせいなのかパフィさんに終始ジト目で睨まれていた気がするけどなんでだろう?

まぁモフモフのお姉様方と可愛い妹分と一緒に仕事出来たからよしとするかな。

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