表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/362

061_決して抱いてはいけない疑問

「コンヨウ君。かくれんぼかしら?」


「あっ!ネイチャンさん。どうして分かったんですか?」


さて、昨日ゲッスを尾行しておおむね調査は終了させた僕なんだけど、今日はデブ禿ウサジジイのズンダダ周りを監視する為にコービット商会の本店近くまでやって来ていたんだけど、ネイチャンさんに捉まってしまったんだよね。

結構離れたところから見てたんだけど、どうして分かったのかな?


「コンヨウ君、甘いわよ。私のスキル『診察』の効果をもってすれば個人の特定なんて朝飯前なんだから。

それより、昨日ドクさんに会ったけど、一体何をしたのよ。随分怒ってたみたいだけど。おかげで昨日やる予定だったあなたの診察は出来なくなるし、ラビリさんのお父さんの診察も一日ズレちゃうし。」


「あちゃ~、ちょっと単独行動がしたくって、茶目っ気タップリで一時離脱したんですけど。」


「あなたの冗談って結構笑えないから自重しなさい。」


「はい…気を付けます。」


ネイチャンさんの穏やかな口調の中に隠された割と洒落にならない怒りに素直に返事をする僕。

これはデッドライン一歩手前だ。僕の優秀な小市民センサーがそう告げる。

きっと他のみんなもこんな感じなんだろうな。後でみんなにゴマ擦っておかないと。

僕は自分の保身に脳みそをフル活動させ、ネイチャンさんと雑談をしながらコービット商会へと向かう。


「ところで、今日はネイチャンさんお一人ですか?」


「えぇ、街に入るまではペテロさんに護衛して貰っていたんだけど、街中ならそれなりに安全だし。」


「そうですか。ネイチャンさんはまだズンダダにもゲッスにも面が割れていないですからね。」


「そういう事。でも今あなたと会ったせいでそれも怪しくなったでしょうけどね。」


「そうですか。じゃあ、僕に声を掛けない方が良かったんじゃないですか?」


「コンヨウ君、そういうところよ。ドクさんが怒るのは。」


はて?今の会話のどこに怒られる要素があったのかな?

敵に知られていないというアドバンテージを捨ててまで僕に話す価値は低いって言っただけなのに。


「分からないって顔ね。いい、私達にとってはズンダダもゲッスもあなたに比べれば些末な事なのよ。

あんな小悪党、捻り潰そうと思えばやりようはいくらでもあるんだから。」


「えっ!だって相手は大商人ですよ。僕みたいな(サイコパスな)奴でもない限り、一般人が相手取るのはちょっと大変なんじゃないですか?」


「あなたみたいな奴って言うのは気になるけど、私達はあの無主地を不法占拠しているならず者の集まりなのよ。

しかもほぼ全員がスキル自慢のね。これだけ言えばあなたならもう分かるでしょう。」


そうだった。あそこの人達って使いようによっては、僕より遥かにヤバいスキル持ちの人達ばっかりだった。

僕が納得したところでネイチャンさんは呆れながらこう続ける。


「だから、私達をもっと頼りなさい。あなたが何者でも私達はあなたの味方なんだから。」


「………」


この言葉に僕は無言で返事をする。ネイチャンさん、頼りになる事と頼る事は別問題なんですよ。

そう心の中で呟いたところでコービット商会本店に辿り着いた。お出迎えはラビリさんだ。


「あら、コンヨウさん、いらっしゃい。そちらの方が?」


「初めまして、ネイチャンよ。ラビリ=コービットさん。」


「はい!ラビリ=コービットです!ナイ「おっと、私はネイチャンよ。」」


うわぁ~。なんかあのラビリさんが凄いテンパってるよ~。きっとあれだ、出来る女同志で分かるオーラ的なサムシングでネイチャンさんを格上だと判断したんだ。

そしてネイチャンさん。ちょっと名前を噛んだだけでそんなに鋭いツッコミ入れる必要ないと思うんけどな~。

僕がお姉様方の遣り取りを呆然と眺めていると、ネイチャンさんが何やらラビリさんに目配せをして話を促す。


「コホン、ネイチャンさん。本日はわざわざご足労頂いてありがとうございます。父の元に案内いたしますのでご同行お願いします。」


その言葉と共に、ラビリさんが初めて見せる緊張の様子に僕が唖然とする中、3人でラビリさんのお父さんのいる自宅へと向かうのであった。



ラビリの心の中


『ちょっと、ふざけんじゃないわよ!なんで生ける伝説『医仙ナイチンゲール』がここにいるのよ!

あの人の調合する薬を求めて権力者達が今でも血眼になって捜索しているって言うのに。

しかもそれって20年以上前からでしょう。あの人どう見ても20代後半だったけど、一体歳いくつなのよ!!』


この絶対に持ってはいけない疑問を心の中で呟いた瞬間、ラビリは背中に突き刺すような絶対零度のオーラを感じた気がした。

この悪寒が気のせいである事を切に願うラビリであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ