052_疲れ知らされずの身体
「こんにちは…ってゼブラさん、こちらにいたんですね。」
「いたんですね…じゃねぇよ!俺っちあれからずっとラビリの姉御にこき使われてるんだぜ!少しは労えや!!」
焼き芋販売が終わり『スイーツショップ_ラビアンローズ』に来た僕とドクさんは早速ゼブラさんと合流できたわけだけど。ゼブラさんが元気そうで安心した。その調子でキリキリ働いて下さいね。
ちなみにペテロさんにはパフィさんを呼びに商業ギルドに行ってもらった。もうすぐしたらパフィさんとも合流できるだろう。
ちなみに今はお客さんとして来ていて、売り上げに貢献中。ほら、僕ってついさっき20万フルールほど儲けて小金持ちだし、日頃の感謝を込めてドクさんにここのメニューをご馳走するつもり。
ゼブラさんはお金持ってるんですから、食べたきゃ自分で食べて下さいね。
などと考えていると、早速パフィさんを連れたペテロさんが戻って来た。
「コンヨウさん、書類のお返事貰ってきました。詳細はこの手紙に書いてますので確認をお願いします。」
「うん、お疲れ様。取り敢えず、みんな注文しちゃってください。ゼブラさん以外は奢りますから。」
「コンヨウっち、テメェ~って奴は~!」
「いや、だってゼブラさん、お金持ちだし。」
なんでお金持ちにわざわざ奢らないといけないわけですかねぇ?何故かキレ出すゼブラさんと苦笑いを浮かべる他のみんな。おかしいな~。僕、別に変な事言ってないよね。あぁ、ゼブラさんがごねて話が進まないので仕方なく全員分奢る事にした。
どうやらスイートポテトは既に売り切れのようだ。
僕はパウンドケーキのイチゴジャム添えに紅茶セット、パフィさんはハチミツたっぷりのホットケーキと紅茶セット、残りの3人は甘さ控えめのナッツ入りのクッキーと紅茶セットを注文。
このパウンドケーキ、バターの代わりに植物油を使っているみたいだ。思ったよりふわふわで美味しい。イチゴジャムの甘味と酸味もいいアクセントになってる。
でもそのお値段がちょっと…合計で13400フルール。これって庶民の食事に換算すると約40食分だね。こりゃ金持ちにしか手が出んわ。
ちょっと切ない心境になりながら、まずは状況確認からだね。今来たばかりのドクさんとペテロさんに状況説明しないと。
「実は……」
「……なるほど、つまり私達にはその神父を追って欲しいわけだね。」
「神父の名前はクズミです。追えそうですか?」
「彼の持ち物でもあれば問題なく追えるよ。あと似顔絵でもあればより確実だね。」
「分かりました。スフィーダさんに聞いてみましょう。」
よし、流石ドクさん。早速調査に入って貰おう。では次はパフィさんに確認だ。
「次にパフィさんの方は何か危ない事とかなかった?」
「いえ、特には…コンヨウさん、少し心配しすぎじゃないですか?」
「そう…ペテロさんから見てどうでしたか?」
「…確証はないが、数人怪しい奴が尾行していた。」
「!!!」×3
「……」
やっぱりか。でもちょっと拙いな。あんな馬鹿げた条件で金貸しをする商人と店の前で平然と騒ぐDQNが相手だもんな。ろくな事しないとは思っていたけど、予想より動きが早い。問題はゲッスの方かズンダダの方か、はたまた両方の可能性もあるって事だよね。
こっちも早急に調査する必要がありそうだな。次はゼブラさんの報告だ。
「こっちの買い出しは無事に済んだぜ。砂糖に小麦粉に卵にハチミツに果物にナッツ。あちこち買い物に行って出来る限り買い集めたから暫くは平気だろう。
でも、長期戦になったら厳しいかも知れないぜ。なんか手は打ってるのか?」
「ご心配なく。多分ですけど1週間持てば僕らの勝ちですから。」
「例の商業ギルド宛の手紙か?」
「はい、マイトさんがよっぽど馬鹿じゃなければ大丈夫でしょう。」
よし、流石ゼブラさん。伊達にスフィーダさんへの下心で動いていない。この人は色々ダメ人間だけどやる気を出してさえくれれば有能だもんな。
でも追い詰められたズンダダが暴発する可能性もあるし、警備を固めるように忠告が必要だね。出来ればパフィさんを配置したいけどちょっと人手が足りないな。これはラビリさんに相談だな。
そして最後にマイトさんからの手紙の確認を、っと……よし問題なさそうだ。流石マイトさんは賢明だ。
僕が手紙を読んでいると、パフィさんがこちらの顔を不安そうに覗き込んでくる。僕はそれに笑顔で応じる。
「どうやら問題なさそうだよ。マイトさんには違法な契約書の失効についての相談とズンダダが馬鹿な事をする可能性についての注意喚起をしていたんだけど、対処したいから会いに来てくれってさ。」
「そうなんですか…でも凄いです。コンヨウさんはどうしてそんなに法律に詳しいんですか?」
「いや、これってドクさんに習った事だよ。パフィさんも隣で聞いてたでしょう?」
「えっ!そうなんでしたか!」
「ははぁ、無理もないよ。あんな内容質問してきて一発で理解できるのはコンヨウ君くらいだよ。」
そんなもんなのか~。今話したのって以前僕がドクさんの授業で質問した内容なんだよね。
詐欺にあった時にそれを立証する方法と対処法についてだったけな。そしたらそれに関する法律をドクさんが教えてくれたんだよね。
あの時のパフィさんは…秒で撃沈してたね。そりゃ覚えてるわけないや。しかしドクさんって凄い博識みたいだね。他の人は法律なんてチンプンカンプンみたいだし。
じゃあ、大体話も出尽くしたし問題点を洗い出してみよう。
・ゲッスに対する対策…借金については金策にて対策、おそらく3~4日で問題なく完了するだろう。ただしその前に相手が暴発する可能性があるので警備を固める必要あり。
・神父クズミ捜索について…こちらはドクさんとペテロさんが対処。スフィーダさんからクズミの持ち物を借りられれば、すぐにでも発見可能との事。似顔絵もあればより確実だがこちらはあればいいかな程度。
・ズンダダとの喫茶店対決について…スイートポテトの売り上げは順調、材料買い占めについても事前に対策完了。このままいけば売り上げでは勝てるだろうけど、後は相手の出方次第。強硬手段に出た時の為に警備を固めておきたい。
そんな考え事をしていたんだけど、なんだかみんなの様子がおかしい。特にドクさんが焦っている。
「コンヨウ君、今日はもう休みなさい。顔色が真っ青だよ。」
どうやら、スキルと頭の使い過ぎで僕の体調は相当悪いみたいだ。相変わらず疲れに鈍感な身体だなぁ。全然キツイと思わないから気づかなかった。
「そうですね。悪いけどパフィさん。店員さん呼んできてくれるかな。お会計を済ませるから。」
「…分かりました。ちょっと待っててください。」
「コンヨウっち、取り敢えず俺っちに掴まれ。その様子じゃ一人で歩いて帰るのは無理だ。」
「…拙者も肩を貸そう。」
僕はゼブラさんとペテロさんに掴まりながら会計を済ませて、その場を後にする。
またみんなに心配を掛けちゃったね。この借りはその内返す…から…
この直後、僕の視界は黒に包まれた。




