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036_いざ、決戦の地へ

「取り敢えず、干し芋500本でいいでしょうか?」


「…もう用意しちゃったんですか?」


宴会が終わった次の日、つまり僕らがナプールから集落に帰る日。

僕は早速書類を作成し、ゼブラさんを連れて朝一でスフィーダさんの孤児院までやって来ていた。

僕らの不自然なほど早い仕事に呆気に取られるスフィーダさん。その当然の反応をスルーしながら素知らぬ顔で話を進める僕。


「はい、ちなみにこれから商売をするのでしたら、すぐに商業ギルドに許可を取ってきますけど?」


「えっと、じゃあお願いしましょうか。」


「やる気があって結構です。では行きましょうか。ゼブラさんも手続きの仕方覚えておいて下さいね。」


「分かってるよ。これからは俺っちがコンヨウっちとスフィーダさんの仲介役をやるんだからな。」


ホントその通りだよ。さっきからスフィーダさんをエロい視線で見て黙り込んでるけど、あなたの仕事は干し芋を運ぶだけじゃなくてギルドとの手続きとか、在庫管理とか色々あるんですから。


実はその為にゼブラさんとも契約をしている。ゼブラさんに干し芋の輸送とその他の雑務をしてもらう代わりに干し芋の利益の内の25%つまり1本あたり50フルールがゼブラさんに入る様になっている。

つまり一本売れるごとにスフィーダさんに100フルール、ゼブラさんに50フルール、僕に50フルール入るようにしている。僕だけ仕事してないって?ほらスキルでお芋出してるじゃない。特殊技能に対する報酬ってやつですよ、これ。

ちなみに輸送費25%って高く感じる人もいるかもしれないけど、この世界ってモンスターとか盗賊とか普通にいるし、一家に一台軽トラとかないから、村同士の輸送費って結構高くつくんだよね。モンスターが跋扈する魔境の森を突っ切って街まで行って貰って、そのついでにお使いも頼めるとなれば、ゼブラ運輸はかなり破格と言えると思う。

さて、話を戻そう。商業ギルドに着いた僕らを対応したのはアズラさんだった。


「おはようございます、コンヨウさん。本日はどのようなご用件でしょうか?」


「実はマイトさんにはあらかじめ話を通しているんですけど、例の区画をお借りしたいと思いまして。」


「えっと、聞いておりますが今日からですか?」


「はい、ですので書類をお願いします。」


「畏まりました。」


そんな遣り取りの後、アズラさんはすぐに申請書を持ってきてくれた。

そこで僕は使用期間を取り敢えず1ヶ月にしたのだけど、その時アズラさんが、


「あの、月単位でお借りするのでしたら長期契約にすれば割引が効きますよ。

そこの区画は元々貸出禁止でしたので、一応形だけという事で100フルールで貸し出していますが、割引にすれば日当たり50フルールに値下げ出来ます。

ですので月当たり1500フルールで口座引き落としで毎月更新という事で如何でしょうか?解約時にはひと声お声がけして頂くだけで大丈夫ですので。」


「それはいいですね。面倒な事務処理が省けますし。」


「はい、紙代と人件費も馬鹿になりませんので。」


あっ!本音が出た。でもお互い手間が省けるからいいか。作っててよかった預金口座。

この遣り取りにゼブラさんとスフィーダさんがキョトンとしていたので、ギルドでの手続きが要らなくなった事だけ説明しておいた。


その後、スフィーダさんとゼブラさんと一緒に屋台の移動と商品(干し芋500本、約50キロ)の搬入を済ませ、その場を後にする。

その時スフィーダさんに聞いた話だけど、あのガキどもも交代で店番をするようなので、人手は十分みたいだ。

自分の食い扶持は自分で稼ごうとする精神、素晴らしい。でも文字とかは覚えておいた方がいいぞ。

今度ネイチャンさんにお願いして教材を貸してもらおう。今はパフィさんと集落の子供がお勉強に使ってるから無理だけどその内ね。

だってほら、僕のビジネスパートナーが騙されて、損害を被ったら巡り巡ってこっちにも被害がくるかも知れないじゃない。自衛って大切だよね。


さて、次行ってみようか。確かコービット商会だったっけな。あのウサギ少女ラビリお嬢さんが紹介してくれたお店で買い出しだ。それから買い物も重要だけど、別にとある重大な目的がある。


ともあれ、まずはパフィさんとエレフさんに合流だ。2人とは市場のすぐ近くの広場で合流する予定で、そこは問題なかったんだけど、ちょっと様子が変だ。

何か串焼きを買い食いしてるんだけど、朝ごはん僕達と一緒に食べたよね。しかも尋常じゃなくデカイ、ジャンボ焼き鳥だし、思わず僕でもドン引きするレベルだよ。そんな食道楽を満喫している2人に僕が声を掛ける。


「お待たせ。2人共、美味しそうですね。」


「アッ!コンヨウさん。これはぼくのお給金で買ったものですからね。でも欲しいのでしたら一口だけあげますよ。」


「コンヨウ君、お構いなく~。ちょうど屋台の料理を楽しんでたところだから~。ちなみに僕のはあげないからね~。」


「期待してませんよ。パフィさんも自分の分は自分で食べていいからね。それじゃ、行きましょうか。」


「そうだな。とうとう俺っち達の集落のアレが世に出るのか。」


「それは今日の結果次第だけど~、きっとうまく行くと思うよ~。」


こうして、僕は予期せぬところで得たコネを利用して、集落初の一大イベントを決行するべく、その歩を進めるのであった。

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