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025_リスの獣人と広告活動

「んじゃ、ここからは自由行動だな。」


商業ギルドでの手続きが終わり、みんなで一旦宿屋に戻った後、ゼブラさんの一言で街での自由時間が始まった。

この後の行動だが、僕とパフィさんは街を見回りながら市場の下見に行く予定。

エレフさんは街の料理屋をはしごしながら料理研究と視察、ゼブラさんは酒場で情報収集をしながら一杯引っかけるとの事。

まったく情報収集目的じゃなければ、ゼブラさんは完全にダメ人間だよね。いや、この場合ダメシマウマなのかな?


そう言うわけでその場は解散となり、各々が行動に移る。

僕とパフィさんはまず街の古着屋さんでパフィさんの服を探す。

パフィさんも集落で住むようになって45日が経過し、服が少しずつ傷んできていたからだ。

ちなみに今パフィさんの手元には15万フルールあるらしく、古着屋で2組ほど服と下着を購入。その額およそ10万フルール。服の大体の相場をあらかじめ聞いていた僕が見立ててみました。

えっ!女の子の下着を選ぶ変態男ですって?パフィさんって僕から見ると10歳くらいの妹みたいなものだし、それに獣人さんだし。

もふもふで可愛いのは認めるけど、そういう感情は生まれないかな。僕はロリコンでもケモナーでもありませんから。

パフィさんもその事については特に気にする事もなく、むしろ喜んでくれたし問題ないと思いますよ。


その後、市場に辿り着いた僕らは途中の屋台で焼き鳥などを買い食いしながら、目的地である商売の予定地まで辿り着く。

そこは市場の隅の方で大通りから少し離れており、しかも裏路地に近い為、立地としてはあまりいいとは言えない場所だった。

ちっ!あのクソ受付!何が『お値打ちの良い場所がありますよ。』だよ!新人をカモりやがったな!確かに払いを渋った僕の方にも問題はあるかも知れないけど。

まぁ、そんな風に毒づいていても仕方がない。何とかこの売れ残り区画で焼き芋を売る方法を考えないと。

そう思案しながら、ふとした拍子に裏路地の方に目を向けるとそこには…


「これは…」


「おいおい!なんの冗談だよ!全く!」


行き倒れだぁぁあああああ~~~!!!!


これは…リス?かな。栗色の毛並みのリス獣人のお姉さんが行き倒れている。

マジでやめてくれるかな!これから食べ物の商売をしようと思っている人間の前で行き倒れるのは。

お店は目の前にあるのにお金が無くて何も食べれない…みたいな。そういうの前世の事を思い出してマジで鬱になるからやめて欲しいんだよね!

仕方ない。ちょっと気付け代わりに焼き芋の匂いだけでも嗅がせてやるか。えっ!食わせないのかって?それは相手の出方次第だよ。


「『食物生成(焼き芋)』!!『紅音姫』発動!!」


僕が生成したのは今回売りに出す予定の一つ、『紅音姫』だ。今回はこれと『甘納芋』の二つを売り出す予定。

価格設定は『紅音姫』が200フルールで『甘納芋』が350フルール。エレフさんによるとこれでも安いくらいで、味さえ知ってもらえれば十分に売れる額との事。

僕は早速、焼き芋をリス獣人さんの顔に近づける。すると身体がピクリと動き、リス獣人さんが緩慢な動きで芋の方に顔を向ける。


「あの…見ての通りの行き倒れなんですけど、それ、貰ってもいいんですか?」


「いいですけど、お金とかありますか?」


「ちょっと!コンヨウさん!行き倒れのお姉さん相手に酷くありませんか!!」


おっと!やっぱりと言うべきか、優しくて甘ちゃんのパフィさんから早速非難の声が飛び出した。

ダメだよ、パフィさん。支払い能力がある相手にただでモノをあげちゃ。お金があるならしっかり搾り取らないと。あっごめんなさい。勿論適正価格内での話ですよ。だからパフィさん、そんなゴミを見る様な目で僕を見るのはやめてください。

ホントに最近のパフィさんはなんか遠慮が無くなって来たな。まぁいい傾向なんだけどね。

僕とパフィさんがそんな遣り取りをしていると、リスのお姉さんがちょっと力の無い声でこちらの質問に答える。


「えっと~…お金はないんですけど。それをくれたらその分何か別のモノで返しますので。」


「例えば…」


「…身体とか?」


「却下!!!あんた、絶対僕の事、腐れ外道か何かだと思っているでしょう!」


「行き倒れにお金を要求するような人間、そう思われて当然です。」


うっ!僕のガラスのハートにパフィさんの言葉のナイフが突き刺さる。

えっ!防弾ガラスか何かなの?って、うるさいよ!そんな事より話を進めよう。


「じゃあ雇用契約をしましょう。取り敢えずこの焼き芋はあなたにあげますので、それを食べてから頭が働く様になったら考えてみて下さい。」


「はい…ありがとうございます。」


そう言って僕はお姉さんにお芋を渡すと、お姉さんはゆっくりと芋をかじり始める。

最初の一口目はゆっくりだったが、それを口に含んだ瞬間に目を見開き、それからは一心不乱で焼き芋のを口に運び、あっという間に完食する。


「ふぅ~、1日ぶりの固形物。本当にありがとうございます。しかしとっても美味しい焼き芋ですね。」


「どういたしまして。その様子だともう大丈夫そうですね。では雇用契約の話をしましょう。」


「もしかして、わたくしをいやらしいお店に売り飛ばす気ですか?」


「やめてくれるかな!!あんたの発言のせいで僕の株価はストップ安なんだよ!見ろよ!パフィさんの視線が虫けらを見るみたいになってんだろうが!」


ヤバい!こいつに喋らせると元々無い僕の評判が更に地に落ちる事になる。さっさと要件を言おう。


「まずは質問です。僕らは先ほどの焼き芋で商売をしようと思っているのですけど、売れそうですか?」


「はい、こんな美味しい焼き芋食べた事ありませんから。きっと売れると思います。」


「そうですか。でも正直僕には少し不安がありまして。」


「不安?ですか?」


「はい。この焼き芋は確かに美味しい。でもこのお芋も僕達も知名度が無くて。いくら美味しくても知ってもらえないと売れないでしょう。」


「はぁ~…言われてみればそうですね。」


よし、相手が状況を飲み込んだようだ。ここで僕はパフィさんに質問をして見た。


「ねぇ、パフィさん。僕は獣人さんの事がよく分からないんだけど、君から見てこのお姉さんは美人かな?」


「ちょっと!本人の前で失礼ですよ!なんでそんな質問をするんですか!!まさか!!」


あっ!確かに失礼な質問だったかもしれないけど、まさか!!ってさっきのいやらしい店とかのくだりって継続中なの?

やんないからね!僕はお巡りさんとかに目を付けられるのが怖い小市民なんだからね。それより急いで誤解を解かないと、本当にお巡りさんのお世話になりかねない。


「えっとね。僕がやろうとしてるのは宣伝、広告と言われるものだよ。」


「宣伝?広告?」×2


二人共ここまで説明したのに僕の意図がいまいち分かっていないようだ。仕方ない、ここはかみ砕いて説明するか。


「うん、要するに商品を多くの人に知ってもらって、それで沢山売ろうって言う事。

例えば今回の場合、僕の焼き芋を食べたお姉さんが街の人に『この焼き芋すっごく美味しいんだけど、明日どこそこで売りに出されるらしいよ。』って触れ回るわけ。

美人のお姉さんが美味しそうに食べているものならみんな興味を持つでしょう。」


「つまり、わたくしは客寄せパンダと言う訳ですか?」


「正解。そこでさっきの質問になるんだけど。パフィさんから見て、このお姉さん大丈夫そう?」


ここでパフィさんもようやく質問の意図を理解してくれたようで、すぐに返事をしてくれた。


「はい、お姉さん、とっても可愛らしい人ですし、焼き芋をとっても美味しそうに食べてましたので、大丈夫だと思います。」


よし、パフィさんのお墨付きを頂いたぞ。後はお姉さんの意思確認だな。


「ではパフィさんのおメガネに適ったという事で、僕としてはお姉さんに仕事を依頼したいと思うのですが、如何でしょうか?」


これを聞いたお姉さんは目を輝かせながら僕との距離を詰め、そして僕の手を握る。


「ありがとうございます。その仕事、一生懸命頑張らせて頂きます!」


「では交渉成立ですね。僕はコンヨウです。そしてこっちはパフィさん。」


「わたくしはスフィーダです。よろしくお願いします。コンヨウ君、パフィちゃん。」


こうして焼き芋販売パーティーに新たな仲間、リス獣人のスフィーダさんを加え、僕らは焼き芋の広告活動を開始するのであった。

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