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022_スキル強化と新メニュー

『今回のスキル強化は何に致しますか?』


なんか頭の中に声が響いて来る。これは夢の中かな。

スイートポテトの事で頭がいっぱいだったから忘れていた。確かに未完成品ではあったけど、こちらに来て初めての甘味だったから。それに凄い美味しかったし。おっといけない。思い出したら涎が出そうになった。今はスキル強化に頭を使わないと。


さて、目の前には黒い空間とカタログが置いた机と椅子がある。

早速、カタログの確認だ。

取り敢えずの候補は以下の通りだな。

・調理法追加…調理法に新たに茹で芋、ふかし芋、干し芋を追加。調理工程の指定を持っている場合は(サツマイモの)マッシュポテト生成や茹でる前の水と芋の生成などの複合使用も可。

・特殊効果付与…生成したお芋を食べる事で様々な効果を付与できる。力、速さ、持久力、スキルなどを強化するものや、睡眠、毒、麻痺などの状態異常系など色々あるが、一つずつ習得する必要がある。

・生成場所指定…今まで手元でしか生成できなかったお芋を視界に入る範囲、もしくは指定の座標に生成できるようになる。

・生成量増加…一日に作れる焼き芋の量が倍増する。現在一日に500個程度のところが1回目では1000個、2回目では2000個、3回目では4000個という具合に増えていく。

・ガス強化…おならが出やすくなる。


うん、最後のガス強化考えた奴、怒らないから手を上げなさい!絶対にギャグでやっただろ、これ。でもパフィさんがいるからあながち使えないスキルじゃないのが腹が立つ。

まぁ、それは置いておいて、まず一番実用的なのは生成量増加だろうね。要するにいっぱい作れるようになるって事だから。もっともこの強化無しでも少しずつは作れる量は増えるみたいだけど。

次に調理法追加もかなり優秀なんだよな。特に干し芋と茹で芋が手に入るのが大きい。干し芋は保存がきいて軽いから保存食や商売をする時に便利だし、茹で芋は水を作れるようになるのが大きい。ふかし芋派生のマッシュポテトも手間抜きにはいい。

特殊効果付与については先送りだな。毒とか麻痺とか眠りとか、モンスター狩りのゲームに出てきそうな異常ステータスを食べ物につける趣味とかないし、僕みたいに素で弱い人間を強化しても仕方がない。

生成場所指定はちょっとトリッキーな使い方はあるけど他のやつとの組み合わせが必須になってくるよね。


「よし、今回は最初の予定通り調理法追加で行こう。」


ぽちっとな。


『スキル強化、調理法追加を実行します…アップデート完了。これにてスキル強化設定を終了します。どうぞ、お目覚め下さい。』


おっと、夢の世界が消えていく。そして目の前が明るくなり、僕は目を覚ます。


…どうやら今は日の出直後の様だね。最近はなんだかよく眠れるようになった。

体重もきっとここに来た時より増えているだろう。それでも普通の人に比べたら痩せているんだけどね。

最近の僕は飢餓状態も脱した事だし、おかずも手に入る様になったので、食べすぎ防止のためお芋は一食当たり2つまでにしている。

ちなみに獣人さん達はカロリー消費が人族より多い為一食に3つほど必要だ。ただしパフィさんとエレフさんは大喰らいみたいで一度に6つは食べる。エレフさんは象で大きいから分かるけど、パフィさんって成長期なのかな?


これは余談だけど、現在この集落には僕とパフィさんを合わせて32人とお芋が必要な牛が3頭(とお芋が要らない仔牛も2頭)いる為、一日のお芋の消費量はおよそ300個。それにプラスして30個ほどエレフさんスイーツで使用する為、日当たり330個ほどのサツマイモを生成する必要がある。

僕の一日あたりのサツマイモ生成量は500ほどなので一応余裕はあるけど、何かあった時に対応が難しい。


さて、我が集落の食事情の説明も終わった所で、パフィさんを起こして朝ごはんにしましょうかね。

今日はせっかくなので調理法追加で作れるようになったもので料理を作ってみることにした。


使う材料は調理法追加で新しく作れるようになったマッシュポテトとベーコン、それからミルさんに作ってもらったチーズとネイチャンさんに分けて貰った香草。

そしてエレフさんのところに行って石窯を借りる。ちなみにレシピと引き換えに調理器具を貸してもらえるように交渉済み。

調理法はいたって簡単。マッシュポテトとベーコンとチーズをお皿に敷き詰めて石窯に入れて焼く。そして焼き上がった所に香草を散りばめれば、サツマイモとベーコンのチーズ焼きが完成。

面倒だったら別にマッシュポテトにする必要もないけど、僕の場合手間0で作れるし、その方が石窯に入れる時間が短くなって燃料節約になる。さて説明はここまでにして焼き上げていこう。

ただし僕はまだ火の調整とかできないので、エレフさんに手伝ってもらう事にした。お礼は完成したお料理とレシピという事で、とお願いしてみたら、


「よし~、今作ろう~!すぐ作ろう~!チーズって初めてだから楽しみだよ!どんな味がするんだろう~!!」


と料理人の血が騒いだのか、僕よりハイテンションになっちゃったけど、気持ちは分かるのでそっとしておく事にした。

さて、そろそろ焼ける頃かな。そう思ってエレフさんの方に目を向ける。


「よ~し~、言われた通りきつね色になったけど~、こんなもんでいいかい~?」


「はい、バッチリです。では香草を振りかけて…よし、ウチで頂きましょう。」


こうして美味しい匂いが漂う大皿を持ったエレフさんと僕がウチへと戻る。するとそこには、


「なんですか!そのおいしそうな匂いがするお皿は!!もしかして朝ごはんですか!!」


「ははぁ、おはよう、パフィさん。うん、これが今日の朝ごはんだよ。それからまずはエレフさんにご挨拶ね。」


「ハッ!すみません!エレフさん、おはようございます。」


「うん、おはよう~。早速頂こうか~。」


「いただきます。」×3


こうして僕、パフィさん、エレフさんの3人の食事が始まった。

今日の献立はメインのサツマイモとベーコンのチーズ焼き、付け合わせにエレフさんが持ってきてくれたスイートポテト、飲み物は牛乳。量が足りない人の為にはお好きな焼き芋。

朝から結構ボリューミーだ。でもこの2人は村の中でも特に食いしん坊だから、きっと全部ペロリと平らげた上に焼き芋も2、3個食べるんだろうな。

そんな事を考えながら早速新作のベーコンチーズ焼きを口に運ぶ…これは…


「う……うま~~~~いぃぃぃいいいいいいぃぃい!!!」×3


「チーズの濃厚な乳のうま味、ベーコンの肉のうま味と塩気、サツマイモの甘味が混然一体となって押し寄せて来る!」


「そのままだとしつこくなりそうなベーコンとチーズの脂身をサツマイモが絶妙にコントロールしています!」


「塩気!うま味!甘味!と来て~、また塩気!うま味!甘味!とどこまでも後を引く味わい~!そして散りばめられた香草の香りが更に食欲を引き立ててくれるよ~!」


……もぐもぐ……もぐもぐ……

一通り感激した後は、全員ひたすら無言で料理にかぶりつく。そして暫しの時が流れ…


「ふぅ~~ッ!!ごちそうさまでした~~~!!」×3


そこには恍惚の表情を浮かべながら、お腹をさする僕とパフィさんとエレフさんの姿があった。

そんな幸せ真っ只中にいる僕にエレフさんが真面目な口調で僕に話を切り出してくる。


「ねぇ~、コンヨウくん。このレシピ、本当に貰っていいの~。」


「はい、このレシピを一番有効利用できるのはエレフさんですから。」


「う~ん。ありがたいけど、それだと君お得意のギブアンドテイクの精神に反すると思うよ~。

だってこのレシピを使って、料理屋を開くなり、料理人に売るなりすればかなりのお金が手に入ると思うよ~。」


わぁ~、黙って貰っておけばいいのに…ここの人達は本当にお人好しだ。

でも僕の考えは少し違う。今回に限って言えばギブアンドテイクの天秤を測り間違えていない。何故かと言うと。


「エレフさん。ぶっちゃけ僕ってレシピは持ってますけど、作る技量が無いんですよ。

だから料理人であるエレフさんと仲良くなって、色々便宜を図ってもらえる様になった方が僕としては利益があるんです。

エレフさんに料理法を伝えて、それを研究して貰って、よりおいしい料理を作ってもらう。

そして僕にもそれをおすそ分けしてもらう。それが僕にとっての一番なんですよ。

これでも僕はエレフさんの料理人としての腕と心意気を高く買っているつもりです。もっとも素人の僕が偉そうに言う事でもありませんがね。」


「……」


なんかエレフさんが黙り込んじゃった。やっぱりちょっと偉そうだったかな。肩がプルプル震えているし…もしかして怒らせちゃったかな?


「分かりました~!

僕はコンヨウさんに貰ったレシピを元にたくさん料理の研究をして~、美味しい料理をたくさんコンヨウさんに食べてもらうと誓います~!!」


「…は、はい。よろしくお願いします…」


「あぁ~あぁ~、コンヨウさん。自分の発言には責任を持って下さいね。」


なんか僕の手を握って来たエレフさんが、凄い勢いでまくし立てて来るんだけど。パフィさん、なんでそんなに呆れた顔してるの?

まぁ、エレフさんがお料理を研究して村に美味しいものが普及すれば、それだけでみんな幸せなんだし、よく分からないけどめでたしめでたしっと。

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