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015_ポンコツオカンに教育的指導を

「よし、次は牛乳の確保だね。」


これはエレフさんとスイーツ革命を起こそうと誓った次の日の朝の事。

僕はある事に気づいた。芋だけじゃスイーツ作りとか無理じゃね、って事に。

それと同時に一つ思い出した事がある。牛獣人のミルさんが酪農をしているという事を。

そこでまずは牛乳の確保だ。そうすれば乳製品が作れるようになってスイーツ作りは格段に進むし、新しい料理のバリエーションも増える…かもしれない。

ぶっちゃけ乳製品の加工方法とか知らないんだけどね。ただ、焼き芋と言えばあれが欲しい。というわけで集落のみんなに朝ごはんの焼き芋を配りながらミルさんの家までやって来た。


「おはようございます。朝ごはんのお芋をお届けに参りました。」


「あっ!コンヨウはんにパフィちゃん。おおきに~。さあ上がってぇな。」


僕とパフィさんは挨拶もそこそこに家の中に入る。

そこにはベッドで横になっているミルさんの旦那さんのバックルさんと3人の子供達がいて、こちらに笑顔で挨拶をしてくる。


「おう、コンヨウのにいちゃんにパフィのお嬢ちゃん。いつもおおきにな。」


「お芋の兄ちゃん。おはよう。」


「パフィちゃんもおはよう。」


「お芋~お芋~。」


うん、みんな元気そうで何より。バックルさんは先日のイノシシモンスターのせいで怪我をして療養中だったけど今日はもう平気みたいだ。

どうやらネイチャンさんのポーションを受け取ったようだ。それに子供達も元気で本当にホッとした。

この3人は村に来た時、特に衰弱が酷くて自分でご飯が食べられないほどだったから。こうして元気に焼き芋を強請ってくる姿を見ると涙が出そうになる。

おっと、感傷に浸っている場合じゃない。お腹を空かせた子供達と病み上がりの元怪我人に早くご飯を渡さないと。


「じゃあ、ご飯にしようか。『食物生成 (焼き芋)』。」


今回は、みんなにお芋の感想を聞くために『鳴子銀時』『紅音姫』『甘納芋』の3種類をそれぞれ1つずつ渡す。

ミルさん一家の反応はというと


「ウチはこの真ん中のやつが好きやね。甘さが程よくてしっとりしてて。」


「俺は最初のやつやな。甘さがあっさりしていて食べやすい。」


「オレは最後のやつが甘くて好きやったわ。」


「ウチも~」


「僕も~」


なるほど、ミルさんは『紅音姫』でバックルさんは『鳴子銀時』で子供達は『甘納芋』っと。

やっぱり大人にとっては『甘納芋』は甘すぎるみたいだな。おやつならいいけどご飯時には不向きみたいだ。

甘いのが好きな子供には好評みたいだけど。あと『紅音姫』と『鳴子銀時』は甘いモノの得手不得手で好みが決まるみたいだね。

よし、アンケートも済んだ事だし本題に入ろう。


「ミルさん、実は今日は相談があって来たんですけど。」


「相談?コンヨウはんがウチに?」


「はい、実は集落で作れる食材を増やそうと思っていまして、ミルさんは酪農をしているそうなので。」


この僕の発言にミルさんは少し困った様な顔で答える。


「実はねぇ。ウチの牛さん達、最近ミルクの出が悪うてねぇ。それに草もあんまり食べてないみたいなんよ。」


ん?草の食べが悪い?これはちょっと気になるな。もしかすると。


「すみません。少し牛達を見せて貰っても…」


「えぇよ。案内するさかい、ついて来てぇな。」


こうしてミルさんの案内で牛舎までやって来たのだが…


「う~ん、これはなかなか…」


「………」


そこには弱り切ってやせ細った牛達の姿があった。それを見たパフィさんは呆気に取られ、僕は思わず口を塞いだ。そりゃそうだよね。世話をする人が瀕死だったんだからこうなるよな。


「なぁ、みんな元気がないやろぉ。なんでかなぁ。」


えっ!この人なんでか分からないの?この人マジで酪農家なの?仕方ない、牛乳の為だ。アドバイスとお手伝いをするか。


「ミルさん…牛舎のお掃除はいつしましたか?」


「あっ!そういえば5日くらいしてへんわ!オトンが怪我をしてからその事で頭がいっぱいやったから。」


まぁ、そういう事情なら仕方がないか。そりゃ掃除していない牛舎に入れられていたんじゃ食欲も出ないだろう。掃除は一日だってさぼっちゃいけないんだ。それに牛達の身体を拭いてあげたりもしないといけない。本当は家族総出でしないといけない仕事なのに、主力であるミルさんがバックルさんの看病に手を取られたんじゃ牛達にまで手が回らなくなるわけだ。

それから草を食べさせていたと言うのも気になる。ここも少し突っ込んでみるか。


「ミルさん、牛達の食事は草と言っていましたが他には?」


「ん?草だけやけど。」


「………」


僕は思わず言葉を失った。そりゃ牛乳が出なくなって当然だわ。それでも黙っていては話が進まないので気力を振り絞って話を続ける。


「ミルさん…牛乳が出なくなった原因は栄養失調とストレスです。牛は草だけだと栄養が足りなくなるんですよ。」


「えっ!ホンマかいな!そういえば少し前までは草以外に飼料を食べさせていたような。」


「………」


この言葉に僕はまた言葉を失う。この人、すっごいアバウトに酪農やってる……


なめんなよ!!クソが~~~!!!生き物から食料を頂いてるんだぞ!もっと真剣にやれよ!もうこれは教育的指導だ!!この酪農家もどきを徹底的に教育してやる!!


なんで僕が酪農について知ってるかって?あのクソみたいな前世の環境から抜け出す為にありとあらゆる本を立ち読みしたからだよ!だから結構くだらない知識とかたくさん持ってんだよ!文句あるか、ダボが!

あっ!ミルさんとパフィさんがビビってる。またしてもクロキコンヨウになっていたみたいだ。でも今回は僕も遠慮はしない。牛乳の為なら鬼にでも悪魔にでもなる所存だ。


「いいですか…ミルさん。牛は生き物なんです。ご飯が足りなかったり、環境が不潔だったりするとストレスを感じて衰弱する。そうすると必然的に牛乳が出なくなる。

これから村の手の空いている人達全員で牛達の環境を整えます。あなたの教育もそこで徹底的に行いますので…か・く・ご・して下さいね。」


「ひいぃぃぃぃ!!!お手柔らかにお願いします!!!」


「パフィさん。ドクさんに声を掛けて暇な人達を集めて。僕はその間この人を教育するから。」


「はいぃぃいい~!すぐに行ってきます!」


こうして集落の人全員を巻き込んでの牛乳確保計画が発動した。そして丸1日使って牛達の環境は無事に整備された。

また牛達の栄養失調を改善するために『食物生成 (生芋)』で『ノンブランド』の芋を大量に出して食べさせてあげた。

それからミルさんの教育中に判明した事なのだが、今まで牛達が無事だったのは子供達3人、兄のバン君と姉のルクちゃんと弟のラック君がしっかり世話をしていたからみたいだ。

どこの世界でも親がポンコツだと子供は苦労するよね。この子達には仕事の後、ご褒美に『甘納芋』を多めに渡してあげた。

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