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014_焼き芋大試食会

「エレフさん。ビジネスパートナーとして僕が持っているお芋の品種を全て見せておこうと思います。」


「えっ~!ホント~?是非お願いするよ~!」


「あっ!ぼくも…いえ、なんでもないです。」


ここで僕はエレフさんにお芋の試食会を提案した。

エレフさんは大喜びでその話に乗っかったのに対して、同席していたパフィさんは何やら言葉を詰まらせていた。

あぁ、僕が普段からギブアンドテイクの精神を語っているものだから遠慮しているのか。ここは僕が助け舟を出すべきだな。


「パフィさん。料理人じゃない一般の人の意見も欲しいから君にも是非とも食べて欲しいんだけど、協力してくれるかな。あとドクさんも呼んできてくれるかな。意見は多い方がいいから。」


「はい!分かりました。」


なんかとても嬉しそうに走り出していったな。モニターは多い方がいいからね。

本当はあと何人か呼べるといいんだけど、流石に力の使い過ぎで倒れるわけにはいかないから、今回は他の人には遠慮してもらおう。

何でドクさんを呼んだかって?ほら、あの人って『嗅覚強化』スキルで僕らの安全を守ってくれているし、まとめ役として頑張ってくれているから。

ちょっとしたお礼、これもギブアンドテイクかな。そんな事を考えながら待っているとエレフさんが僕に人の良さそうな笑顔で話し掛けてくる。


「コンヨウ君は優しいんだね~。パフィさんが遠慮しない様に色々考えてくれているんだね~。」


「違いますよ。彼女は大切な僕の護衛ですし、ドクさんは集落の安全と秩序を守ってくれる人です。

安全というかけがえのない資源を守ってくれている人達に相応の報酬を支払っているだけですよ。」


「うん~。そう言う事にしておくよ~。」


う~ん、あれは信じていない顔だな。人が良い人間とか僕にとっては反吐が出る存在なのに。

僕は良い人じゃなくて正しい人でありたいだけなんだけど。まあいいか、そろそろ準備を始めるか。

アツアツより少し冷めた方が味もしっかり分かるし。そういうわけで『食物生成 (焼き芋)』発動!!


「おぉ~~!!何もないところからお芋が~~~。」


そう言えばエレフさんにこのスキルを見せるのは初めてだったね。そりゃ驚くよな。

僕が作れるお芋の品種は現在5種類。まあ僕が作るんだから当然僕が食べた事がある品種しか作れないわけであって。

品種の紹介は2人が来てからにしよう……と思ったら早速来たみたいだ。


「コンヨウさん!ドクさんを連れてきました。」


「やぁ、コンヨウさん。なんでもお芋の試食会をするそうで。わざわざ呼んでくれてありがとう。」


「いえいえ、これから先生になってもらうわけですし、そのお礼も兼ねて。準備は出来てますので早速始めましょう。」


僕の目の前には5種類10個の焼き芋が並んでいた。1種類2つずつでそれを半分に割ってみんなに手渡す。

あくまでも試食だから丸々一個は多いだろうからね。


まず一品目は『ノンブランド』。要するに何の変哲もない普通のサツマイモだね。

僕が転生直後に食べた焦げた焼き芋がこれだ。今回はちゃんと石焼きだから普通に美味しいと思うけどね。

さて、みんなの反応は?


「う~ん、ホクホクしていてあっさりとした甘みのお芋ですね。」


「美味しいけど普通~と言った感じだね~。」


「そうだね。普段使いには良さそうだけど、売りに出すとなると少しパンチが弱いな。」


うん、まあ本当に普通のサツマイモだし、こんなもんだろう。

では次はこいつだ。『鳴子銀時(なるこぎんとき)』。上品な甘さとホクホク食感が特徴だ。


「あぁ、さっきの焼き芋よりホクホク感が強くて、甘いのにすっきりしている感じです。」


「う~ん、これはお料理とか主食に良さそうだね~。」


「うん、私はこのくらいのあっさりした甘さが好きかもしれないね。」


なるほど、これはご飯用にいいと。そしてドクさんに好評。甘いのが苦手な人もいるだろうしこれくらいの甘さがいいって人も結構いるかも。

じゃあどんどん行ってみよう。次は『紅音姫(べにおとひめ)』。しっとり食感と強い甘味が特徴。


「おぉ~、前の2つより更に甘いです。それにしっとりした食感で食べやすいです。」


「これは~万能選手って感じだね~。そのままでもいいし、お料理にしてもおやつとしても使えそうだね~。」


「これは上質で使い勝手もいい。今までの中で売りに出して一番良さそうなのはこれだね。」


なるほど、高級サツマイモとしてこれを売り出すという手もありと。

それじゃ今回のメインその1『甘納芋(かんのういも)』。ねっとり食感と糖度40を超える濃厚な甘みが特徴。


「いよっ!待ってました!この蜜が滴り落ちる甘さ!やっぱりぼくはこれが一番好きです!」


「さっきも貰ったけど~これの甘さはピカ一だよね~。これだけでお菓子として売り出せそうだよ~。」


「う~ん。確かに美味しいけど味が強すぎてたくさんは食べられなさそうだね。私は前2つの方が好きかな。」


やはりと言うべきか。甘いモノ好きの人には好評で、甘いのが苦手な人にはいまいち。焼き芋をスイーツとして出すならこれって感じかな。

じゃあ最後に今回のメインその2。今回初登場『絹甘(きぬあま)スイート』。甘味はさっきの『甘納芋』より抑え目だけど、シルクの様に滑らかな舌触りが特徴。


「これは、甘いのにすっと口の中に入っていく感じですね。ぼくこれも好きです。」


「これは…凄いよ~!強いのにしつこくない甘さ~!滑らかでサツマイモ独特のベタツキを感じさせない舌触り~!存在感を残しつつ口の中で溶けていく様なはかなく繊細な味わい~!

どれを取っても一級品~!まさにスイーツになる為に生まれて来た様なお芋だよ~~~~!!」


「…なにやらエレフさんが興奮しているが、先ほどよりくちどけがよくて食べやすいね。

先ほどのお芋が濃厚な甘さを極めたものに対して、こちらは繊細な甘さを極めたと言った所かな。」


なるほど、剛の甘さと柔の甘さと言ったところか。エレフさんが凄い事になっているけど全員に好評っと。

どれも使い道がありそうで何よりだ。そう考えているとエレフさんが若干血走った眼で僕に詰め寄って来た。

なんか怖いんだけど、一体何だろう?


「ねぇ~!これってもしかして生の状態で出したりできないのかな~?」


「えっ?生…ですか?そういえばコンヨウさん。今まで焼き芋しか出した事ありませんよね。」


「これだけ凄いスキルなんだ。流石に材料は難しいんじゃないのかい。」


「………」


うん、やっぱり料理人のエレフさんなら原材料が欲しくなるよね。

でも僕のスキルは『食物生成 (焼き芋)』。普通に考えて生の芋は無理だよね…ここに来た時のままだったらね。


「作れますよ。生のお芋を出せばいいんですよね。」


「えっ!出来る(んですか)(の~)(のかい)?」


「はい、『食物生成 (焼き芋)』+『調理工程の指定0%』!!」


…………

あっ!みんなフリーズしちゃっている。そりゃそうだよね。『食物生成 (焼き芋)』で生芋出しちゃったんだもんね。

これって以前女神様にバージョンアップして貰った『調理工程の指定』を使って調理してない状態で出したんだけどね。

『食物生成 (焼き芋)』の能力の範囲内で生の芋を出す事も可能になっちゃうわけ。これで生の芋を販売する事も可能になるかもね。

ただし、スキルで作ったお芋がどれくらい持つか検証が必要だからすぐに生での販売は無理だけどね。

ちなみに既に検証用の生芋を一つ作って家の片隅に転がしている。虫に食われない様にだけ気を付けないとね。

さて、みんな黙って埒が明かないから僕から声を掛けるかな。


「エレフさん。取り敢えずそれぞれ10個ずつ作りますので色々実験してみて下さい。

ただし食べ物を粗末にするのは僕の信条に反しますので、必ず作った物はエレフさんが食べるなり、誰かに食べて貰って感想を聞くなりして下さい。」


「…うん、分かったよ~。自分でお願いしておいてなんだけど、君って本当に凄いんだね~。」


こうしてみんなが目を丸くする中、偉大なるスイーツ革命の小さな一歩が確実に踏み出されたのであった。

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