第3話『目的と住み家を求めて』
前回までのあらすじ…的な何か。
チュートリアル戦闘後に謎の男と出会った。
(まあ、終始名称部分が???の伏字のままでしたがwww)
謎の男が一時的にパーティに加わる形となり、初めてダンジョンに入りそのダンジョン内のボスに勝利してダンジョンを攻略した。
(多分、その人がいたからそこまで苦戦無く突破出来た様な気がしますがwww)
ある街の前で謎の男と別れ、男主人公と転生神はその街の中へと入って行った。
(さてさて、これから何を見る事になるのでしょうかねぇ~www)
俺達はチュートリアル戦闘を終えた後、謎の男と一時的に協力して森のダンジョンを突破し、この街の前までやって来た。まあ、その男とは街に入る前に向こう側の諸事情で別れたのではあるが。…それによって、ある意味気になっていた事が聞けずに終わってしまったが、そこを今気にしても仕方ないだろう。
俺達は街に入ると、道なりに進みつつ街内を見学していた。この街は外周を囲う様に装甲の様な物が張り巡らされていて、街の出入口になる部分だけそれが無くてゲートの様な何かが設置されている感じの外見をしていたが、中をじっくりと見学してみると様々な店や施設などが揃っていて非常に住みやすそうな印象の街であった。
男主人公「自由に出入り可能な場所は一通り見て回ったが…。」
転生神 「結構広い街の様ですねぇ~(笑)」
俺達は最初にゲートを通って入って来た辺りまで戻って来ていた。ちなみに、一通り見て回ったと言っているが、どの建物がどういう役割のある施設なのかとかは一切理解は出来ていない。というのも、実際には外からふらっと見た感じなだけなので分からなくても当然だろう。…まあ、これは祭りの出店を見て回っている様な感覚に近かったかもしれない。
そして、この最初に入って来た場所に戻って来ているのも、色々と道に迷った挙句、適当に歩いていたら偶然に戻って来れていたという様な感じだった。
俺は何とか最初の所まで戻れたと心底安心しつつ冷や汗をかいている状態であるが、この転生神は普通に迷子も含めて楽しんでいた様な感じである。
男主人公「とりあえず、最初の場所には戻って来れたが…。」
転生神 「そうですね、これからどうしましょう?」
男主人公「最初の街に来てからやる様な事って何かあるっけか。」
転生神 「それは、人によって違うと思うので何とも。」
確かに彼女の言う通りだ。目的やらが異なっているのに全員が全く同じ行動をするという事はあり得ないだろう。この場合、俺達は初心者冒険者なのだから、それにあった行動をしてみるのが一番なのかもしれない。そこで、それが何なのかを考えてみる事にする。
男主人公「まずは何から始めるかだなー。」
転生神 「何か良い考えでも浮かびますー?」
男主人公「…………………………。」
俺は少しの間、考えてみるがこれと言って良い考えは出てこない。
男主人公「何とも…。」
転生神 「それなら、まずはギルド協会に向かいませんか?
ほら、あの人の言ってたじゃないですか、まずそこだって。」
男主人公「そういや、そうだったなー。」
何故、そんな大きなヒントをすっかり忘れていたのだろうか。まあ、原因として言えるのは、おそらく、この街内を歩き回って迷った事による焦りだろうけど。
いずれにしても、それが思い出せた事は非常に大きいだろう。彼女の言う通り、ここはまずギルド協会に向かうとしよう。そして、謎の男から聞いた通りに受付係に相談してみるとしよう。…と、そう思ったのは良いのだが。
男主人公「そのギルド協会って、どこにあるんだ…?」
転生神 「そ、それは私に聞かれても分かりませんよぉー…。」
この質問には流石の転生神も苦笑いだった。まあ、考えてみれば当然である。彼女はこの世界の全知全能の神では無いし、そもそも元々この世界にいた訳でも無い。さらに言えば、この街の住民でも無いので知らなくて当然だ。
転生神 「とにかく、誰かに聞いてみるとかどうです?」
男主人公「交渉やらは苦手なんだが…?」
転生神 「これは交渉じゃないんですけどもねぇ…(笑)」
彼女の返しは的確だった。俺はぐうの音も出せない。とりあえず、自分がストレスのかからない方法を先に取る事にしようか。
男主人公「そういや、この街って地図とかあったっけか?」
転生神 「んー、どうでしたっけ?」
お互いにそれの有無に関しては覚えていないようである。まあ、一通り見て回ったと言っても、俺は迷子状態であった為、そこら辺の事まで気を配る事なんて出来なかったし、彼女は色々なモノを度々見てこそはいたが、そこら辺の事は気にして無かった感じだったしで、地図の有無なんぞ互いに覚えている訳が無いな。
男主人公「とりあえず、地図を探してみるか。
見つからなかったり、それを見ても分からなかったら
街内の暇そうな誰かを呼び止めてギルド協会の場所を聞こうか。」
転生神 「それじゃ、そうしましょうか~(笑)」
そういう訳で、俺達はまず街の地図を探す事に決めた訳だが、どこからどういう風に探索すれば見つかるのかは分かっていなかったりする。それに気づいた転生神がこう語りかけて来る。
転生神 「そういえば、どうやってそれを探すんです?
何か見つけられるような当てがあったりするんですか?」
男主人公「当てになるかは不明だが、
そういう物は大きな通りに沿って歩けばあったりしそうだから…。」
転生神 「あー、なるほどー。」
ちょうど今立っている場所は、この街の大通りの一つである為、この道を道なりに進んで行けば地図があるかもしれないと俺は考えていた。
転生神 「それじゃあ、それで行きましょう~!!」
男主人公「じゃあ、行くか。」
彼女もこの案に賛同した感じだったので、まずはこの案を採用してみる事とする。俺達は道なりに進んで行き、街の地図を探すことにした。少し歩いて行くと、大きな建物の前に行き着いた。そこで俺はその辺りを見渡してみる。
男主人公「ここら辺にあったりしないだろうか。」
転生神 「あっ、これじゃないですか?」
俺が辺りを見回している間に転生神が地図を見つけていた。俺は彼女の元に行き、その地図を見てみる。やはり、地図で見てもそうだが、この街はかなり大きいという事が分かる。
男主人公「なるほど…現在地がここで、ここがそうで。」
俺はこの地図から、あらゆる施設の場所やらの位置関係などを理解していた。それに夢中になっている俺の姿を見た転生神が路線を元に戻してくれる。
転生神 「あのー、それでギルド協会の位置は分かりましたか?」
男主人公「あー、悪い悪い。
こういう物を見ると夢中になる質でな?」
転生神 「それは前から存じておりますよー?」
男主人公「あぁ…そういやそうか。」
彼女は俺の現実世界での事も知っているから、この事を知っているのは何らおかしくは無い。まあ、何もこの事だけでは無いけどもな。
男主人公「…で、ギルド協会の場所だが。
どうやら、この建物がそうらしいな。」
俺は地図から目を離して、正面にある大きな建物に目を向ける。そう、地図を探す為に大通りを歩いていて行き着いた先にあった大きな建物が例のギルド協会の建物だったのだ。それを知ってからだと、この建物の近くに街の地図があるのは納得が行く配置だ。ちなみに、このギルド協会は街の中で中央に位置する場所に建てられているという事も地図を見て分かってはいる。
転生神 「既に辿り着いていたみたいな感じですかねぇー。」
男主人公「まあ、完全に偶然なんだどな。」
転生神 「とりあえず、中に入ってみましょうよ~!!」
男主人公「そうだな。」
俺達は話の流れのままギルド協会の中へと入っていった…。
俺達はギルド協会の中に入って来た。とりあえず、通路を塞がない様な所まで移動をして、エントランスを見渡してみると、飲食スペースやコミュニケーションを取れる様な場所やクエストが貼られている板やら色々なモノが目に入って来た。当然だが、それら全てを処理しようとすると処理が追い付くはずも無いので、この時の俺達の中ではかなり広くて色んなモノが揃っているギルド協会だな程度の解釈となっていた。
転生神 「結構な数の人がいますねー。」
男主人公「これは過疎って無いサーバーと同じぐらいいるな」
転生神 「あー、何となく分かる気がしますね。」
まあ、簡単に言うとガラガラでは無いという事だ。だからと言って、満員という訳でも無いという感じで、ちょうど良いぐらいの人の数という感じだろうか。…人によってその密度やらの認識は異なって来るだろうけどもな。
男主人公「さて、とりあえずは案外係の人に話せば良いんだっけか?」
転生神 「そうですね、あの人はそう言っていましたね。」
男主人公「とりあえず、それらしきカウンターに行ってみるか。」
転生神 「場所、分かっているんですか?」
男主人公「ん…あー、そういう案内系のカウンターは、
入ってすぐの所とかに設置されてる事が多いからなー。」
それは建物だけの話じゃなかったりもするが、現実世界では建物に関してだと大半の施設の建物がそういう感じの配置になっていた。今はそれを元にして探してみるしか無いだろう。
男主人公「とりあえず、それらしい所に行ってみるとしようか。」
俺はとりあえず、入って来てから正面に位置している場所にあるカウンターへと向かう。転生神は俺の後について来る。そして、俺はその目的としていたカウンターの名前まで辿り着いた。…さてと、どう話を切り出そうか。
??? 「どうされました?
何がお困り事でもありますか?」
男主人公「え?」
??? 「私はここのギルドの受付を担当しております。
当ギルドやこの街の事に関する相談なら遠慮なく。
また、それ以外にも冒険についての疑問点なども遠慮ならさず。」
最初の言葉をどう出すか悩んでいたら向こうからこちらに会話をしてくれたので、俺は正直驚いていた。だが、これで聞きたい事が聞きやすくなった。俺は元から話そうとしていた内容を切り出した。
男主人公「えっと、私達は冒険初心者なんですが…
一緒にこの街の近くまで同行してもらった人から、
冒険をするなら身分証みたいな物を持っておくのが良いと聞いて…。」
俺は、たじたじになりながらも何とか聞きたい事を聞いてみる。無意識のうちに敬語で喋っている為、明らかにこういうのが慣れていないという事が分かる。
受付嬢「冒険初心者の方ですね。
プロフィールカードの作成の依頼ですね。
それでしたら、まずはギルドに登録していただく必要がありますが?」
どうやら、会員制のカードが何かなのだろうか。いや、それよりも気になっている事がある。
男主人公「プロフィールカード…?」
そう、俺達が聞いたのはそんな感じのでは無くて、身分証明証みたいな感じのネーミングだった様な気がするのだが。
受付嬢「プロフィールカードは、個人証明証の事です。
これがあれば、どこでも自分のステータスの確認などが行えますよ。」
転生神「もしかして、周囲の皆さんが持っている端末の様なやつですか?」
受付嬢「はい、そうです。
正確には端末では無く、電子モニターに分類されると思いますが。」
転生神「まあ…似た様なもんじゃないですかー。」
電子モニターという事はパッドみたいな感じの扱いになるのだろうか。確かに、周りを見てみるとそんな様な感じの扱い方をしている様にも見えるが。
男主人公「それで、それを貰う為にはギルドに登録する必要があるのでは?」
受付嬢 「はい、その通りです。」
転生神 「会員登録みたいな感じでしょうかねぇー?」
受付嬢 「登録と言っても、そんな大層な事をする必要はありませんよ?
やっていただく事はプロフィールカードを使うにあたって、
自身のIDをギルド側のサーバーに記録していただくだけです。」
ギルドのサーバー、つまりはデータベース内にという事だろう。この言い回しだと、カード自体の受け取りには何も必要無くて、必要となるモノはその受け取ったカードに記されている自分のIDをギルドに預けるという行為ぐらいという事だろう。
受付嬢「当然、ギルド側にIDを預けているからといって、
日々、監視や管理の対象になったりするという事はありません。
ですが、何かあった際には、我々が迅速に対応が可能となります。」
つまりは、こちら側の自由を保証した上で最悪な時は力を貸してくれる適なアレであろう。
受付嬢 「ただ、レベルなどのステータスやクエストの履歴などの情報は、
ギルド内の検索端末を使用する事により他の方に公開されますが。」
転生神 「まあ、自分のカードのIDを預けている訳ですからねー。」
受付嬢 「それによって、他の方々がクエストに行く際に
パーティへの召集や同行依頼などが来る可能性はありますね。
ただ、それを受けるか否かはご本人の自由なので安心して下さい。」
男主人公「つまり、依頼を受けている側の意思が最優先されると?」
受付嬢 「はい、そういう事になりますね。」
この理屈は、俺達だけでなくこの世界で生きている人達で且つプロフィールカードを作成していて、そのIDをギルドに預けている人達全員に言える事なのだろう。まあ、他のギルド間とかになって来ると多少の例外があったりはしそうだがな。
受付嬢「後は、その方が召集や依頼を出せない状況であれば、
そういった事が可能になるまで出来ない様にこちらで調整致します。」
転生神「そんな状態に時ってあるんでしょうかね?」
受付嬢「一番、身近になるモノだと…
既に他のパーティの召集を承認している時とか、
後はご本人がそういうのを求めていない時とかでしょうか。」
なるほど、自分達でそういう設定をする事も可能という事か。
男主人公「ちなみにですが、本人がそういう設定をした場合、
それってギルドはどうやって把握しているのですか?」
受付嬢 「それは簡単ですよ。
前もってIDを預けて貰っているので設定内容は連動しますから。」
男主人公「あー、なるほど。」
確かに、ギルドに自身のプロフィールカードのIDを預けているのであれば、そういう様な設定やらの自動連動は簡単に行われるのは不思議では無いか。
受付嬢 「プロフィールカードの事に関しては、
他にも色々とサービスや機能がありますので、
口頭で聞くよりは実際に利用されてみないと分からないかと…。」
転生神 「そんなもんなんですかねー?」
受付嬢 「プロフィールカード本体にも、
使用方法などの事が記載された
説明書の様な機能もありますので、ご安心ください。」
男主人公「なるほど、実にデジタル端末らしい。」
俺が話を聞いて納得していると転生神が最終確認の様な事を言って来る。
転生神 「どうします?
プロフィールカード作ってみますか?」
男主人公「そうだな、あって損はしないだろうし作るか。」
俺達は、そのプロフィールカードを作る事にした。
受付嬢「分かりました!!
では、お二人のプロフィールカードを用意しますね。」
受付嬢は後方にある物入れを漁り始める。すると、何かを思い出したかのように、こちらに向き直り話し出す。
受付嬢「言い忘れていましたが…
このギルドでプロフィールカードを作ると、
所属しているギルドがここになり、マークもここのモノになりますが。」
正直、俺達はそこら辺の事に関してあまり気にしない質なのだろう。特にそれの何が問題なのだろうという表情をしていた。それを見た受付嬢がさらに詳細を語ってくれる。
受付嬢「あー、冒険者の方々は、
プロフィールカードを作るギルドを自由に決められるんですよ。
なので、他の街のギルドでもこれを作る事も可能ではありますが?」
転生神「それをして何が変わるんですか?」
転生神の率直な質問である。
受付嬢「確実に違いが出るのは、カード内に表記されるマークですね。
後は、人に寄りますがギルドと自分の相性の問題とかでしょうかね。」
なるほど、そこら辺を気にしたり拘ったりしている人からしたら重大な問題だろうな。だが、俺からしたら前者は特に気にしないし、後者に関しては入る前からは分からないので、そこを考えてもどうしようも無いだろうという結論に至っている為、このギルドで構わないという状態である。なお、転生神もそこら辺の事は拘ったりもしていないので答えは同じだ。…というよりも、双方が互いがいないとダメだろうから、そこら辺のアレで別々にはならないだろう。
転生神 「あー、そこら辺は特に気にはしませんねぇ~。」
男主人公「同じだな。
後者に関しては最初から分からないから。
そもそも考える基準の中にはおけない感じだが。」
受付嬢 「それでは、こちらのギルドに登録という形でよろしいですか?」
俺達の反応を見て受付嬢はそうこちらに確認をする。俺達はその言葉に同時に頷いて返した。
受付嬢「分かりました!!
それではプロフィールカードを用意しますので、お待ちください!!」
そして、彼女は再び後方にある物入れを漁り始める。そして、少し待つと彼女がカウンターの上に二つの電子モニターを置いた。色は背景が青色の物と背景が桃色の物だった。まあ、完全にどっちがどっち様に用意されているのかは一目瞭然である。
受付嬢「少々、お待ちくださいねー。」
彼女は双方の端末を色々と操作する。よくもまあ、同時に二台の端末をスピードを一切落とさずに操作する事が出来るものだなと俺は思いながら見ていた。
そして、数十秒後が経過したぐらいで彼女はその作業を終えて、こちら側の対応を再開する。
受付嬢「はい、これでモニターの初期設定は終わりました。
後は、お二人が触れていただければ自動的に自分の物になりますよ?」
彼女は二台のモニターをこちら側に差し出して来た。俺達はそのモニターを手に取る。俺が青色の方で転生神が桃色の方を無意識に手に取っていた。まあ、用意していた方と逆のモニターを手に取っていたら受付の彼女が制止していたかもしれないが、まあそういう事は起こらなかったという事だ。
俺達がモニターを手に取ると、モニターが俺達の事を認識して自動的に処理を行って行く。そして、双方のモニターの画面がとある状態の所まで進んだ。すると、ここで受付の彼女が俺達にその画面での操作方法を説明する。
受付嬢「その画面まで行ったら、条文を読んで
一番下にある項目にチェックを入れて同意すると押して下さい。」
どこかで何かを契約する際によくやるような手続きの方法と同じである。ちなみに、読む様に言われてた条文は、IDをギルドに預ける事によって、どの様なサービスなどが利用可能になるのか…などの先ほど彼女が喋っていた事とほぼ同じ内容のモノであった。
俺達は律義にその条文を全て読んだうえで最終項目にチェックを入れて同意ボタンを押した。
受付嬢「はい、これでプロフィールカードと当ギルドが連携されました!!」
俺達が同意ボタンを押した後、近くにあった端末を操作しその後、連携作業が完了した事を彼女は俺達に伝えて来た。
受付嬢「これで様々なサービスが受けられる様になりますよー?
後は、モニターの外見などの設定も自由に行えますので、
自分の好みになったモニターカスタマイズを行ってみて下さい。」
その様な機能があるのかと思う俺達二人。
受付嬢「それでは、これから良い冒険者ライフをお楽しみ下さい!!」
最後に受付の彼女は、こういう世界観の受付の担当が言ってくれそうなセリフを言って俺達を送り出してくれた。まあ、俺達もその流れに合わせて案内カウンターから離れギルドの外へと出て行くのであった…。
ギルド協会にて身分証明証ならぬプロフィールカードを獲得した俺達は、次はどうしようかと考えつつ街中を歩いていた。もうこの時には俺達は既にしれっとプロフィールカードの見た目や個人設定内容などの編集を済ませていた。
転生神 「さて、これからどうしますかねー?
プロフィールカードも手に入った訳ですしー?
これから先の事なんて、何も考えていませんでしたよ。」
男主人公「そうだよな…。
だが、これを見ていて色々と気になった事が出て来たんだよなー。」
転生神 「ん、何です?」
彼女のこの言葉がキーとなり、ここからは俺の質問タイムが始まる事になる。
男主人公「まず一つ目に、この世界ではHPやMPの項目が無いけど?」
転生神 「あー、それならこのカードに記載されている
体力がHPと同じで、余力がMPと同じ様な感じですよー?」
男主人公「それじゃあ、この補助って項目は?
この位置にあるのって大概が運って項目な気がするが。」
転生神 「補助は名の通り補助系統のスキルを使った際に、
補正としてその効果値を高めてくれる項目ですよ?
分かりやすいのだと、それが高いと回復効果量も多くなるとか。」
どうやら、攻撃用のパラメータ以外にも補助スキルへ直接的に影響してくるパラメータ値も存在している様である。ちなみに、他の攻撃力や魔力、防御力や抵抗力などは容易に想定が可能なので聞く必要は無かった。
あえてここで解説しておくとすると、攻撃力は物理ダメージ系統の攻撃やスキルを使用した際に影響してくる値で、魔力はその逆で魔法ダメージ系統のそれらの行動を行った際に影響してくる。防御力は物理ダメージ系統の攻撃を受けた際に影響してくる値で、抵抗力はその逆で魔法ダメージ系統の攻撃を受けた際に影響してくる値である。
ちなみに、気力という項目もあるのだが、それはいわゆる第三ゲージと言われているモノと同じであり、特定条件下以上の効力を持っている行動を行う際に余力と同時に必要となって来る値である。なお、カードの説明によると、この値に関してはバトル以外の時には自動的にゼロになるという仕様らしい。つまりは、普段の生活の気力とは別モノであると考えておくと良いのだろうか。
まあ、そんな事よりも気になっている事は他にもあるので、それも彼女に聞いてみる事にする。
男主人公「各パラメータで気になっていた部分の仕様は分かった。
それにしても、体力の数値と余力の数値が多い気がするのだが…。」
プロフィールカードで見ると、俺の体力の値は四桁存在しており、余力に関しては三桁存在している状況である。これらの項目がどれに値している様な項目であるかは先ほど聞いたので分かるが、それが分かったが故にこの数値はどうなんだと思ってしまう。すると、転生神から意外な言葉が返って来た。
転生神 「多分、多くは無いんじゃないですかね?
私も桁数は同じですし、この世界の人達は皆そんな感じなのかと。」
男主人公「それだとレベル上がったりしたら数値が凄い事に…。」
転生神 「ならないですよ。
だって、体力と余力に関しては、
レベルによって成長する概念はありませんから。」
男主人公「ん?」
何だか、もの凄く重要な仕様を聞いた気がする。だから、他の事よりもそれがどういう事なのかを真っ先に聞く必要があるだろう。
男主人公「つまり、それは…どういう?」
転生神 「え、言葉通りの意味ですよ?」
男主人公「じゃあ、体力と余力は初期値そのモノが最大値って事か!?」
転生神 「まあ、それがこの世界の仕様上そうなりますねー。
あー、安心して下さい、他の六つの数値は上昇しますから(笑)」
男主人公「まあ、それについては安心した。
…というよりも、それが普通な気がするが!?」
転生神 「その普通という概念に囚われていない
項目があるのもまた面白いじゃないですか(笑)」
何だろう、彼女のこの言葉で俺がその概念でパラメータの事を考えていた事が馬鹿らしくなった。確かに、普通のままだと現実世界にいた時と何ら変わらない感覚かもしれない。この世界は現実とは勝手が違うんだ。つまり、現実世界でこういう様な世界観で出てきていたモノと、この世界でのこういうパラメータの勝手が違っていて何がおかしいのだろうか。…そう考えると特に違和感が湧かなくなった。
転生神 「まあ、後に装備とか何かで補強出来たりするかもしれませんし、
一概に一切その部分の数値が変動するとは言い切れませんがね(笑)」
男主人公「それは、その時までのお楽しみってやつか?」
転生神 「はい、そういう事ですね(笑)」
本当に後からのお楽しみが好きな転生神だ事。まあ、俺からしたら悪くは無い事もあるのだがな。
男主人公「そうか、じゃあ次に何をするかを考えるか。」
転生神 「聞きたい事は良いんですか?」
男主人公「さっきの君の言葉を聞いて、
聞く必要は無いだろうと感じられるモノばっかだったからな。」
転生神 「そうでしたかー。」
俺達は無言のまま歩き続ける。そして、少し歩いた所で今度は転生神が俺の方に聞きたい事がある様であった。
転生神 「そういや、スキルの欄は見てみましたか?」
男主人公「え?」
転生神 「ほら、ここに来るまでの戦闘で、
自分のタイミングで扱えなかったスキルがあったじゃないですか。」
男主人公「あー、そういや…そうだったなー。」
俺はプロフィールカードのスキルの項目を見てみた。すると、攻撃スキルと補助スキルに幾つかのスキルが記載されている事に気づく。
男主人公「戦闘時に使えるスキルが幾つか表示されてるな。」
攻撃の方のスキルに関しては未だに使った様な感じがしないモノだけだったが、補助系統のスキルに関しては、対象者の攻撃力を上げるモノだったり、対象者の防御力を上げるモノだったり、対象者の行動能力を向上させるモノという様な明らかに発動した事のあるモノと同じ効果を持ったスキルが表記されていた。ちなみに、他の補助スキルとして対象者の魔力を上げるモノや抵抗力を上げるモノ、さらには補助能力を高めるモノなども記載されていた。…これ、パラメータの六種類を全て強化出来る分の補助スキルを獲得している事になるのではないだろうか。
後は、単体回復能力もあるらしいが、それは完全に所有しているモノだとは思っていなかったので、意外過ぎて目が点になるレベルだった。
転生神「わーお、沢山使える支援スキルがあるじゃないですか~。」
ふとモニターを見た転生神がそう反応する。
男主人公「全くもって自覚の無い物が大半だけどな。」
転生神 「でも、これで戦闘中に使える様になったんじゃないですか?」
男主人公「どうだろうな、その時が来たら試すか。
…っていうか、あまり人のモニターを見ない様にな?」
ここで一応、覗き見をしている行動について釘を刺しておく。まあ、そんな事よりも俺がこれだけのスキルを使えるという事に関しては内心まだ驚いているが、いつか使う時が来たらその能力の確認は出来そうだ。
そして、こういう話をしていると俺も転生神のスキルに何があるのか気になって来る。
男主人公「そういや、君の方は使用可能スキルはどんな感じなんだ?」
転生神 「モニターの中身は見せませんよ!?」
男主人公「…心配する必要は無い、覗かないから。」
お前が言うのか、という様な言葉は必死に抑えて俺はそう言って彼女を安心させる。彼女もそれを聞いて安心したかのように息を吐く。
男主人公「それで…実際に内容はどんな感じだった?
そちらは自分が自覚している様な感じだったのか?」
転生神 「案外そんな感じですかねぇー?
でも意外と攻撃関連のスキルも私は多数持っているみたいです。」
まあ、軽く彼女の現段階での表示されているスキルは、例のフィールド能力を支援スキルにした感じのモノと、防御力関連の広域支援スキルとそれと同じ範囲の抵抗力強化スキル、そして同じ範囲系の補助能力強化スキル、単体回復と全体回復スキルが支援系統としてあり、攻撃系統としては光属性のスキルと魔法系のモノが幾つかある感じである。…明らかに分かるのは俺よりも圧倒的に全てにおいて優れているという事だな。
ちなみにだが、スキルの効果を見てから知ったが、無属性の攻撃に関しては、物理系・魔法系・射撃系・斬撃系などの系統に分かれている様なスキルもある感じであった。これもまた、この世界観の仕様の一つなのであろう。
男主人公「やっぱ、君は万能なんじゃないだろうか。」
転生神 「そんな事は無いとは思いますけどねぇ~(笑)」
俺の言葉を転生神は速攻で跳ね返す。まあ、本人がそう思っているならば、そうなんだろうが、例のフィールド能力だけじゃなく、強化や回復などの支援も出来て火力になる様な攻撃スキルを持ち合わせている時点で相当のスペックだと思うのは別におかしく無いとも思うが。
俺はそんな事を感じつつ、プロフィールカードのページを別のページへと切り替えた。そして、そこで今更感が漂う事に気が付いた。そして、それを彼女に聞く事にした。
男主人公「そういや、今更気づいたんだが…
もしかして、この世界には名前という概念が無いのか?」
転生神 「えぇ、ありませんよ?
正確には、固有名称がほぼ存在しない感じでしょうか。
例えば、人の名前とかスキルの詳細名称とかがそれになりますね。」
やはり、そうか。道理でプロフィールカードのどこにも俺の事を表すような文字列が見受けられない訳だ。ちなみに、二つ名が入力される様な項目があるが、そこは空欄のままであった。説明を読んた限りだとワードを組み合わせて自由に作れる様な感じらしいが。
転生神 「まあ、固有名称が無いという感じなので、
ギルド協会の様に建物の種別やモンスターの種別とか、
アイテムやスキルの種別とか、そういうのにはありますよ?」
男主人公「なるほど…ちなみに、基準とかってあるのか?」
転生神 「うーん、それは…この世界観のご都合主義によるかと。」
男主人公「なるほどなぁー。」
つまり、モノによっては固有名称にほど近い様な名称が出て来たとしても、それはあくまでも種別的な名称みたいな感じで認識されている内容として出て来る訳だ。要は、そこまで硬く気にする様な必要は無いという事だろうな。
転生神 「あれ…もしかしてですけども、
名前が無い様な世界に行くみたいな事、話し忘れてましたっけ?」
男主人公「さあ、どうだったかなぁー。」
正直、俺も詳しくは覚えていない。あの空間では話が流れる様に進んで行ったし、この世界に来てからは正直この街に来るまでは息つく暇も無い様な展開だった訳だしな。でも、後輩の転生神が転生の儀式の時に、コードか何かでこの世界の事を『名も無き世界』とかって言っていた様な気もするな。…まあ、俺の記憶に間違いが無かったり、内容が捏造されたりしていなければの話になるがな。
もし、これが正しかったとしたら、この世界観を表しているそのコード的な何かには納得が行く。こういう意味合いがあったのだな…という納得がな。
男主人公「まあ、考えていても仕方無い事だろうし、
これもこの世界の仕様の一つだと考えれば良い感じかな。」
転生神 「まあ、そういう事になるでしょうね~。」
俺は「なるほどな。」と思いながら、モニターを操作しながら、街の曲がり角辺りまで進んで行く。そして、その曲がり角の先からは一人の少女が何か急いでいる感じで走って来ている。…あー、このパターンは。
俺は、曲がり角の場所まで来てようやく先から足音が迫って来ている事に気づき、不意にそちらに視線を向ける。先から走って来ている少女には、いきなり曲がり角の先から人が現れたという形になる。お互いにその姿を視認して「あっ…。」となったが、時既に遅しである。
誰もが予想出来たであろう通り、俺とその少女はまともにぶつかり合い、お互いに後方に転んでしまう。なお、その時の音は戦闘で相手にダメージを耐えている時に聞こえたいた音と大差無いレベルのモノだったのだが、今はそんな事はどうでも良いだろう。
転生神「だ、大丈夫ですか!?」
転生神がスッ転んだ二人両方にそう語りかける。
男主人公「あぁ、こっちは問題なさそうだが。」
俺は視線をぶつかってしまった少女の方に向ける。その少女は派手に尻もちをついている様な感じだった。
転生神「あのー、大丈夫ですか?」
転生神が再度、彼女に向かって気遣う。俺も立ち上がり倒れた彼女の元へと近づく。すると、ここで彼女がその言葉への反応を見せた。
???「えっ、あ…あー、だだだ大丈夫です!!」
何だか、やたらこちらを見てオロオロされているのがよく分かる反応だった。
転生神 「そんな、オロオロされなくても…(笑)」
??? 「急いでいてちゃんと前を見てなくてすみません!!
私がちゃんと周りを見てたら、ぶつからなかったでしょうし…。」
男主人公「いや…こちらに至っては、
完全にながらの行動だった訳で…大変申し訳ありませんでした。
ですから、明らかにこちら側の方がアレだとは思うのですがね…。」
確かに、この場合どちらかに大きな非があったかという事になると、確実にモニターを弄りつつ話しながら歩いていたこちら側であるのは明白である。だから、向こう側に謝られると複雑な気持ちにはなる。
すると、転生神が彼女にさらに語りかける。
転生神「本当に大丈夫です?
体力ゲージが結構減っていますけども?」
どうやら、たまたま彼女のプロフィールカードの内容が目に入ってしまったらしい。それを聞いた俺はふと自分のカードの体力ゲージを見てみる。すると、俺の方も多少なりとも体力が削れている様な感じだった。
???「だ、大丈夫です…!!
元々、急いでいて走っていたので、それで減ってるだけかと。」
彼女は少しよろけながらも自力で起き上がる。この子は終始オロオロとしている。もしかしたら、彼女は知らない相手と会話をしたりするのが苦手なのかもしれない。
???「そ…それじゃあ、私は先を急いでいるので!!
心配してくれてありがとうございます…そして、すみませんでした!!」
彼女はそう言いながらペコペコと頭を何度も下げた後、この場から逃げるかのように走り去って行くのであった。
転生神 「あらららー、行っちゃいましたねぇー。」
男主人公「何か、すごい申し訳無いんだがなぁ…。」
俺は頭を思わず頭を抱える。明らかにこちらに非があるのに、向こう側にあそこまで頭を下げられてしまうと、もうどうしようも無い様な申し訳無さが残る。
転生神「ま…まあ、大丈夫そうだったので良かったじゃないですか(笑)」
とりあえず、転生神は俺の心情を察したのかそういう言葉を口に出していた。まあ、忘れて良いという訳では無いが、今はそれの事については考えない様にしようか。
男主人公「そう…だな。
さて、それよりも…これからどうするか。」
俺はしれっと話を最初の話題へと戻す。そもそも、俺達は歩きながら何を考えていたかというと、プロフィールカードをギルドが獲得した後、何をするかを悩んでいたはずだ。そして、それは今になっても解決はしていない状況だったはずでもある。
転生神 「ひとまず、アナタの体力を回復しましょうか。
先ほど、あの子とぶつかった時に減っていますので。」
男主人公「そういや、そうだったっけか。」
すると、ここで数秒間沈黙の間が続く。
男主人公「…で、どうやってやる訳?」
そう、回復しましょうと言われても、どうやってスキルを使えば良いのか分からない。そもそもだが、取得しているスキルが戦闘時以外にも使えるモノなのかという問題もあるが。
転生神 「え…普通に使えませんかね?」
男主人公「その…使い方が分からないんだが?」
転生神 「あぁー、こういう感じにやれば出来そうですよ?」
彼女はそれの方に手を広げた。すると、彼女の手の周りに不思議が光の様なモノが漂い始めた。それが何なのだろうか感じつつ、ふと自分のプロフィールカードに目を向けると自分の体力の数値が回復していた。
男主人公「あっ、回復してる。」
どうやら、彼女の先ほどの行動は回復スキルを発動させた行動だったみたいだ。そして、俺の言葉を聞いて彼女はその行動を終了した。
転生神 「でしょう?
こんな風な感じで発動させられると思いますよ~?」
男主人公「…………………………。」
転生神 「どうしました?」
男主人公「いや、使い方が分からないままでさ?
使う時にスキルを唱える訳でも無くてさ、
感覚的操作みたいな感じで使っていた感じだったし?」
そう、彼女が回復スキルを発動した時の行動はあったとはいえ、それもどことなく本人の感覚的な感じの動きであって詠唱なども行っていなかったのだ。
転生神 「んー、でも実際にそんな感じでしたよ?
ほら、チュートリアル戦闘の時も同じ感じだったじゃないか。」
男主人公「あー、確かに。」
あの時は、何回か彼女に補助系のスキルを使って貰っていた記憶がある。持続回復もフィールドを発動させる時もそうだったが、その時も詠唱や決められた様な行動なんてモノは無く、その都度それらの行動内容は違っていた様な気がする。
だから、実際に感覚的にスキルと使えるという事に関しては、納得が行くかもしれない。おそらく、全てのスキルにおいてそうである訳では無さそうだが、支援系統の内容に関しては、そんな感じで使用するケースが多そうだなと俺は感じた。攻撃系統のスキルなら実際にその行動を行って使う事になるのだろうかという想像もしていたりはするが、それはその時に分かるだろう。
転生神「まあ、アナタもあの子も
あれによって体力がゼロにならなくて良かったですね~。」
何か彼女から意味深な言葉が聞こえて来た様な気がするのだが。
男主人公「ん…それは一体、どういう?」
転生神 「あー…だって、この世界観では
自分の体力がゼロになったら、動けなくなってしまいますから。」
男主人公「ん?」
さらに、重要な事をさらっと言っている様な気がするのだが。
転生神 「あれ?
これも話してませんでしたっけ?
不老不死なので体力がゼロになっても死にはしません。
ですが、その代わりにその条件下になったら動けなくなるんです。」
男主人公「…そうだったのか。」
転生神 「まあ、体勢に関してはその時その時によって違ってきますがね。」
男主人公「なるほど…。」
正直な話、今までにこういう様な話があったのかは既に覚えていない。まあ、覚えていたとしても、さっきの言葉を聞いた時点でリアルタイムでは忘却の彼方に飛んで行ってしまって思い出せはしないだろうな。
それよりも、この話をしていて俺はふと思い出した事があった。
男主人公「まさか…あの戦闘の時に君が俺の体を起こしてくれた時って?」
転生神 「はい、あの時のアナタはいわゆる戦闘不能状態になってましたね。」
男主人公「やっぱりか…。」
大方の予想はしていたが、あの時の俺の体力はゼロになってしまっていたらしい。そして、あの時の俺を起こしてくれた転生神の行動はその状態から戦闘に復帰出来る様にしてくれたという事になるので、復帰関連の支援スキルだったという事になるだろう。もしかしたら、支援系のスキルは日常的に行う様な行動も、それの一部として影響してくるのかもしれないな。
男主人公「改めてあの時はどうも…。」
転生神 「気にしなくて良いですよ~(笑)
だって、あの時にそれが出来たのは私だけだった訳ですしー?」
男主人公「まあ、そりゃそうか。」
確かに、あの時の俺は自発的に持っているスキルを発動出来ない状態でもあったし、自分にどういうスキルがあるのかも分かっていない状態でもあった。そもそも、戦闘不能になっている時点で他の人しか俺を支援する事は出来ない状況下だったから、何らおかしくも何とも無い。
転生神 「ま、とりあえず体力も回復しましたし、良かったじゃないですか。」
男主人公「いやまあ、君がしてくれたんだけどね?」
転生神 「あ、結果的にそうなりましたねぇ~(笑)」
そう、最初は自分でやろうとしていたが、話の流れでいつの間にか自然な形で彼女に回復をしてもらっていた。すると、ここで俺はふと根本的な疑問が脳裏に浮かんだ。
男主人公「…そういえば、回復スキルって自分に使えるのか?」
転生神 「頻繁に使っているイメージはありませんねぇー。
バトルの中でなら、まあ見なくは無いですけども。
あまり、普段の行動中に見る事は少ない様な気がしますね。
確か、この世界観の中だとそんな様な感じだった気がします。」
男主人公「なるほど。」
彼女はあの空間で転生神としての職務を行っていた時は色んな世界線を見てきていたのだろうが、あえて今自分達がいるこの世界の仕様を元とした形の話をしてくれたのだろう。
転生神 「ま、こんな話は今はどうでも良いじゃないですか~。」
男主人公「こ ん な 話。」
転生神 「えぇ、それよりも
これから何をするか考える続きをしましょうよ~!!」
俺の反応に対してはフルスルーで彼女は話題を最初の内容に戻した。
男主人公「そうは言われても、
特に次にやろうと思えるモノが浮かばないんだよなー。」
転生神 「あららー、どうしましょう?」
彼女がそう言うという事は、彼女の方もこの先に何をやるかのプランは浮かんでない様である。俺達は少しの間、その場で考えを巡らせる。しかし、これと言ったモノは何一つ浮かばなかった。
ここで俺はとある場所の事を思い出す。そう、こういう困った時に頼れる様な場所、それは街のギルド協会だろう。
男主人公「とりあえず…
もう一度、ギルド協会に行ってみるか?」
転生神 「ギルド協会ですか?」
男主人公「あぁ、困った時の何とやら…ってやつだ。」
転生神 「なるほど~。」
そうは言っても、初っ端から切り札級のカードを切っている様な気もするが、まあこれ以外に解決法が無さそうだし、今はギルド協会に頼る事としよう。
男主人公「それじゃ、行くか。」
俺達は再び、ギルド協会を目指して歩いて行くのであった…。
俺達はギルド協会までやって来ると中に入り、何の迷いも無く受付に向かう。
受付嬢「あら、先ほどの方々ですね?
一体、今度はどうされました?」
どうやら、一度来ただけの俺達の顔を覚えてくれている様な感じだった。まあ、冒険者の支援を行っている施設の受付だから、そこら辺の記憶力などは凄いのかもしれないな。
男主人公「プロフィールカードを入手した後、
初心者冒険者がやった方が良い様な事ってありますかね?」
俺はドストレートに今の悩みを伝える。こんな、ざっくりとした様な質問を受付にしても大丈夫なのだろうか…そうも思えて来る。
彼女は考え込んだ後、机にあるパソコンを操作する。そして、何かの画面を見つつ反応を返す。
受付嬢 「そうですね…
その方々によりますが、
例としてぐらいなら幾つかは提示できますが…?」
転生神 「例ですかー。」
男主人公「よろしくお願いします。」
俺は速攻でそれを依頼する。俺達の方にはプランが一切無いのだ。向こう側が提示してくれるのならば、それは例であったとしても構わない。それを元に決めるなり、最悪はそれと全く同じ様に動くという事も手段の一つとして使えると考えているからだ。
すると、俺の返事を聞いた彼女は、俺達に例を提示する。
受付嬢「では、お伝えさせていただきますね。
一つ目は、宿を見つける事ですかね?
自分達が休める場所を見つけておかないと後々困りますから。」
確かに、冒険者としてデビューしたからと言って、常時フィールドやダンジョンで生活をする様な冒険者はそうそういないだろう。どこかで宿を見つけて泊まって行動をするなり、自分達用の宿みたいなモノを見つけておいて、いつでも帰って休める様な場所を確保しておく事は大切であろう。
受付嬢「二つ目は、戦術学校に入る事でしょうか。」
転生神「戦術学校…?」
受付嬢「戦術学校は、バトルの知識を得られる施設です。
座学から実践など様々な方法で学ぶ事が可能です。」
戦術学校は名の通り、戦術を学ぶ施設という事らしい。座学から実践となると、現実世界の教育機関と大差無い様なスタイルだ。そういう意味では変に混乱せずに色々な知識が学習出来るかもしれない。
受付嬢「ちなみにですが、戦術学校を利用すると
学生寮を使用するか否かを選択出来る様になります。」
転生神「学生寮ですか。」
つまり、こちら側の道に行くとしたら、戦闘関連の知識などが得られるのと同時に、ある意味では固定の宿みたいな空間も提供されるという感じか。まあ、学生寮ってのもあるので、同室の相手との関係性とかは生活に存分に関わって来そうだが、それに関しては利用してみてからしか分からないので、今は考えないでおくとしよう。
男主人公「他に例は?」
受付嬢 「今の二つが一番大きな例ですかね。
冒険者以外の事をやっておられる方々は、
基本的に自分が住む場所は固定で持っておられますので。」
男主人公「こういう事を相談しに来る事は無いって事ですか。」
受付嬢 「そういう事になりますね。」
確かに、今まで街中で見て来たショップや他の施設には、併設されている建物があったり、そもそも施設そのものが大きな建物になっていたりするので、それらの中の一部が専用の住居になっているという事なのだろう。もちろん、それ以外の機能を持った部屋も幾つも存在していて、施設によって中身は用途に合わせた感じのモノになっているだろうけども。
とりあえず、先ほどの二つが冒険者がよく取っている行動になっているのだろう。例に挙げられていて且つ数が少ないという事は、ここを利用している数多くの冒険者達はそういう様な行動を取っているという事になるだろう。
転生神 「んー、どうしますー?」
男主人公「とりあえず、何も浮かばなかった
俺達からしたら、この二つの例は有力なモノだな。」
そう、ゼロだったプランが二つにまで増えたのだから有力なモノである。
男主人公「ありがとうございます。
お陰様でこの先の事は何とかなりそうです。」
受付嬢 「また、何かありましたらご利用下さいませ。」
とりあえず、俺達はそのまま流れでギルド協会の外に出て行くのであった…。
俺達はギルド協会から出て来ると、まずは邪魔にならない所に立ち止まった。そして、今後の展開について話し出した。
転生神 「これから、どうするつもりなんですかー?」
男主人公「あぁー、一応こうしようかな的なのは浮かんだけど?」
まあ、そうは言ってもギルド協会の受付の彼女から聞いた例を丸パクリではあるのだがな。
転生神 「本当ですか~?
それじゃあ、これからどうします?」
男主人公「とりあえず、俺としては戦術学校に行こうと思う。」
転生神 「戦術学校ですかー。」
男主人公「あぁ、今までの俺達の戦闘での事を考えると、
少しでも戦闘についての知識やらを知った方が良いと思ってな。」
転生神 「確かにそうですねぇー。
安定していたなんて事は言えませんからねー。」
森のダンジョン攻略時には謎の男がいたから多少まともだった様な感じもしてはいたが、それはあくまでも彼がいたからそうであった可能性が高い。そういう意味では、俺達二人だけのスペックを正確に理解出来る戦いはチュートリアル戦闘の時以外には無い訳である。当然、そのチュートリアル戦闘では、チュートリアルじゃなかったら、どうなっていたであろうレベルであり、戦闘に関する知識やらなんぞは何も持ち合わせていないに等しい状況だったはずだ。…まあ、今はその時よりは少しはマシになっているかもしれないが、それでも他の冒険者達と比べると足元にも及ばないレベルだろう。
そのため、俺はそこら辺の事も座学及び実技で補強出来て且つ宿を探す心配が無くなるであろう方向を選んだのである。
転生神 「…それで、その戦術学校って、どこにあるんです?」
男主人公「それは今から調べる感じだな。」
俺達は先ほど見ていた地図を見に行く。さっき見た時に色んな施設の場所やらについては理解はしていたが、毎回都合よく記憶したモノが確実に出て来る様な事など多くは無い。その為、俺は確認がてらもう一度この地図を見に来たという訳である。
男主人公「ギルド協会はここだろ?
戦術学校の場所はここだから…。」
俺は現在地と目的地との位置関係を記憶する。そして、実際に進む道の方向を見て、その情報を照合する。
転生神 「無事に行けそうですかねぇー?」
男主人公「まあ…大丈夫だろう。」
流石に今回は大丈夫だろう。ただ、実際に一度この街で迷子になっているのは変わりないので不安になるのは分からなくも無い。だが、その時は今の様に目的地の位置などが分かっていなかったはずである為、仕方ないと言えば仕方ない。
男主人公「とりあえず、向かうか。
…うん、記憶から消えてしまうよりも前にな。」
俺達はひとまず戦術学校へと直行する事にした…。
ギルド協会から、そこそこ歩いた後、俺達は地図で見ていた通りの所へとやって来た。おそらく、ここが例の戦術学校であっているはずである。
転生神「結構、大きな施設みたいですねぇ~。」
俺達は戦術学校の建物を外から見渡していた。一方向からしか見れていないが、それでも幾つもの建物が敷地内にある事が見て分かる。おそらくこの建物一つ一つが何かしらの機能やらを持っているのだろう。
男主人公「さて、中に入るにはどうしたら良いのだろうか。」
転生神 「うーん、何かそういう様な人とかいないんですかねー?」
物凄い、ふわっとした言い方ではあったが、俺には彼女が言いたい事の意味が分かっていた。おそらく、受付や守衛なる役割をしている人が入り口辺りにいないだろうかという意味である。
とりあえず、俺は辺りを見回してみる。すると、この学校の正門の様な場所が目に入った来た。
男主人公「とりあえず、あそこに行ってみるとしようか。
多分、あそこがこの学校の入り口かもしれないし。」
転生神 「そうですねー。」
俺達はその正門らしき所まで移動する。そして、俺はその位置から学園の中の方に視線を向ける。まあ、偶然なのか見事に誰一人、見ていたラインには人はいなかったが、一つだけ収穫した情報はあった。
男主人公「あった、この学校の守衛室だ。」
まあ、そうは言っても、おそらくこの学校にある守衛室の一つであるという認識が正しいであろう。この大きさの敷地だ、とても一つだけで事足りるとは到底思えないからな。
男主人公「とりあえず、あそこで話をしてみるとしようか。」
転生神 「大丈夫なんですか?
何か変に勘違いとかされませんかね?」
男主人公「まあ、余程の事が無い限りは、
そういう事になるケースはそうそう無いとは思うが。」
そういう事を言われてしまうと不安面も出て来る。確かに、この学校を利用していない者がいきなり入って来たら、何者だと思われる可能性は無くは無いが、現状だとそこぐらいしか、今の俺達の考えを伝えられて内部の者と連絡を取り合い、答えを出してくれる様な所は無いだろう。まあ、この街を治めているギルド協会とか、正式に他の施設の者だと分かっていたり、事前に用事がある事を連絡している者達に関しては、話は別で普通に中に入ったりしても問題は無いだろう。いわゆる外部からのお客さんというやつになるからな。だが、俺達に関しては、現状だとそういう類いのどれでも無いので、まずは学校の奥に進める許可を貰う所から必要になってくるだろう。
男主人公「とりあえず、事情を話してみるとしようか。」
俺達は守衛室の前にやって来た。しかし、見た感じ誰の姿も見受けられない。
転生神 「誰もいないんですかねぇー?」
男主人公「さて…どうしたものか。」
俺は守衛室辺りをじっくりと観察する。すると、押して鳴らす式のベルの様な物があるのが目に入った。
男主人公「そういう事か。」
俺は、「ふっ。」と軽く笑った。
転生神「どういう事です?」
俺のその反応と何かに気づいた様子を見て彼女は疑問符を浮かべている。
男主人公「ここにベルみたいな物がある。
おそらくだが、これを鳴らせば誰か来るのかもしれない。」
転生神 「なるほど~。」
俺はそのベルの様な物を押してみた。すると、当然っちゃ当然だが辺りにそれの音が鳴り響いた。そして、それから数秒後であった。
???「何かご用ですかなー?」
カウンターの向こう側からひょこっと何か機械の様な物が姿を現したのであった。それを見た俺は「何だコレは…。」という様な反応になる。転生神の方はよくあるきょとんとした表情になっていた。いや、てっきり人が現れると思っていたのだが、まさか機械が姿を見せるとは。
???「聞こえて無いのかね?
何かご用があるのですかなー?」
改めてそう投げかけられて俺達は素を取り戻す。
男主人公「いや、あの…その、
この戦術学校のサービスを利用させていただきたいのですが?」
素は取り戻したとはいえ、それでもまだ目の前の光景に俺は戸惑っている。
???「うむ、当校のサービスを利用したいとな?
時にお主ら、プロフィールカードは持っているかね?」
俺達は話の流れに従って、ギルド協会から貰った自分達のプロフィールカードを目の前に出した。ちなみに、このプロフィールカード、使わない時はその存在を消す事が可能になっていて、使いたい時などに感覚的に自分の近くに出すという事が可能となっていて、これらの操作は当然だが何度でも使用可能だ。…うん、そうじゃなかったら、非常に面倒な事にしかならないだろうしな。
???「あい、双方のプロフィールカードを確認。
今から案内のモノを呼ぶから少々お待ちなされ。」
すると、目の前で機械が機械を弄るという光景が始まった。おそらく、この世界観ではこういう機械も人達と共存して生きているのだろうから、こういう光景は不思議でも何でも無いのだろう。
そして、それから少しして事態は先へと進む。
???「どうやら、案内役がやって来た模様。
ここから先は、その案内役のモノに従っておくれ。」
そこまで説明すると、その機械はまたひょこっとカウンターの下側に姿を隠したのであった。何で、わざわざそんな事をして待機しているのだろうと俺は疑問にしか思っていなかったが、案内役の担当の姿を見てその理由がすぐに分かった。
??? 「へい、お待ちどう。
守衛の方から呼ばれて来た案内役です。」
男主人公「なるほど…そういう事だったのか。」
俺はその案内人の姿を見て思わずそう言う。転生神はこちらに対して疑問符を浮かべた様な表情をしている。俺は彼女にあの言葉が出た理由を説明する。
男主人公「ほら、さっきまで担当してくれていた機械だが、
出て来る前と役を終えた後だと姿が台の下に隠れただろ?」
転生神 「そうですけども、それが何か?」
男主人公「何で、わざわざそんな行動をと思っていたんだが、
今、目の前に現れた案内役の姿を見てそれの合点が行ったのさ。」
転生神は改めてその案内役のモノを見てみる。そして、ある事に気づく。
転生神 「あー!!」
男主人公「そういう事だ。」
つまり、どういう事かというと、この案内役の存在も機械なのだ。そして、そのサイズは一メートルあるか無いかぐらいの高さで、縦長の長方形の様な形をベースとしている様な感じだ。まあ、横幅はその半分ぐらいだろうか。あえて例えるとするならば、出前を取った時によく見るアルミの箱の様な感じである。そして、そのボディの底面の左右にキャタピラが取り付けられている様な感じでもある。当然だが、ボディ側面の中心当たりから腕部の様なパーツが双方共にあり、何かレーダーの様なヘッドパーツも装着されている。…まあ要は、出前でよく使われるアルミの箱の様な容姿をしたロボットである。
当然、そのサイズからしてあの守衛室のカウンターの高さには身長があっていない為、待機している時はそれに姿が隠れてしまっているのである。つまり、対応する時にひょこっと出て来たのは、何かの台にでも乗るという作業をしていたのだろう。…っていうか、案内人も人じゃなくて機械だったとはな。まあ、守衛で対応していた機械も案内役とは言っていたが、案内人とは言っていないかった辺りがソレなのかもしれないが。
???「これより、アナタ方を案内しますので、ついて来て下さい。」
案内役は頭部のパーツを回転させながら、こちらに近づいて来た。何だろう、この動き方、どことなく愛嬌を感じさせるのでは無いだろうか。まあ、それは人それぞれだろうけども。
???「それでは参りましょう。」
案内役の機械は先行して行く。俺達はそれの後に黙ってついて行く。そして、少し歩くと何やら掲示板の様な物がある所で案内役の機械は動きを止めた。俺達もその動きに合わせて、その地点で足を止める。
転生神「これは…地図ですかね?」
???「ご名答、これは本校の全体図であります。
ちなみに、地図でいう現在地点はここでありまする。」
何気に話の流れに乗せて現在地の場所を俺達は伝えられる。それよりも、この地図を見る限りだが、この学校だけでも様々な機能を持っていそうでもあるなと感じた。
授業を行う授業棟があるのは当然として、その棟も幾つもあるようだ。もう一つあって当然である教員棟も存在している。そして、寮も幾つか存在しているし、食堂や売店などの建物もある。何か、この学校から出なくても日常最低限の事は、ほとんど出来てしまいそうなぐらいの設備が整っている様にも思えるレベルだ。…うん、正直これは短時間では説明しきれない様な感じである。
???「さて…まずは、どこから説明をしましょうかねぇー。」
案内役の機械は一番最初に案内する場所を選定している。個人的に一番最初はここのサービスを利用する為に必要な事項を済ませられる場所に案内するのではと思ってもいるが、ここはこの案内役の采配に任せてみよう。外部の者よりも内部の者の方がここについての事は詳しい可能性が高いからな。
そして、それが行われて少し時間が経過したその時、学校にあるスピーカーから何やら放送が聞こえて来た。
放送「実技訓練場にて、緊急事態発生!!
実技訓練場にて、緊急事態が発生!!」
明らかに切羽詰まった様な感じの放送が校内に響き渡った。文字通り緊急事態が発生してしまった様である。学校内で起こる様な緊急事態とは一体何なのだろうか。
転生神 「何か起こったみたいですねー。」
男主人公「詳しい内容は何一つ言っていないけども、
何か分からないけど嫌な予感しかしないんだが?」
??? 「状況を知る必要がありますな。
ここは、現地に向かうとしましょう。」
え、行くの!? こちとらまだ、この学校のサービスを利用する前の段階であって、一応この学校を案内してもらっている身なのだが、そんな状況の俺達もその緊急事態が発生した場所に行く必要があるというのだろうか。
男主人公「それって私達もついて行く必要性は…?」
転生神 「まあでも、何が起こったかは気になりません?」
男主人公「いやまあ、多少は気にはなるが…。」
??? 「ならば、決定。
さあ、いち早く現地に向かうとしましょう。」
いや待て、こちらはまだ行くとは一言も言っていないのだが。しかし、そんな事を言っていられる様な状況では無かった。案内役の機械は一目散にその現地へと進み始めたのである。
もう、こうなってしまうとその機械の姿を見失ってしまって、知らない土地の中でまた迷子染みた事になってしまう可能性もある。最悪のケースはそうなっている最中にその緊急事態関連の事に巻き込まれるという事も無くは無い。
えぇい、仕方が無い。不意にそれに巻き込まれるよりは、気になっているならば自分達からそっちに出向く方が精神的にもまだ楽な方だ。俺はとりあえず、その機械の後を追いかける事にした。当然、転生神も俺の後について来る。
そして、俺達は先ほどの放送で緊急事態が起こったと言われていた実技訓練場のある授業棟の前までやって来て、中に入っていくのであった…。
??? 「あんれまぁ、これはパニックですなぁー。」
転生神 「みんな逃げてる感じですかねー?」
男主人公「そりゃあ、緊急事態が起こっている棟だからなぁー。
外に出るなり、それの発生源から距離は取るだろうな。」
この授業棟の中には様々な利用者がいるのだろうが、それよりも引き立って目立つのは案内役の機械と同じ様な系統の機械の様な存在がちらほら存在している事である。そして、その機械が慌てていたりする人達を安全な所に誘導したりしている姿が見える。これを見て、この機械達はこの学校の中では相当重要な存在なのでは無いだろうかと俺は感じた。
まあ、そんな状態になっている授業棟の中を俺達は緊急事態の発生源に向けて進んでいる訳なのだが。…何か周りの状況と色々異なっている様な気がするのは俺だけなのだろうか。
とりあえず、俺達はその混乱が生じている廊下を抜けて、どんどん先へと進んで行く。そして、とある部屋の前までやって来ると案内役の機械が足を止めた。どうやら、目的地到着の様である。
???「ここが緊急事態が発生した実技訓練場である。
これより、中に突入する…お二人よ心の準備は良いかね?」
もう、ここまで来たら後退するとかいう選択肢なんて無いに等しい様な気がするのですがそれは。その為、俺達が取る行動なんて一つに決まっているのである。そう、俺達はその機械の問いかけに速攻で頷いて返した。
??? 「うむ、承知した。
それでは、いざ戦乱の中へ参ろうぞ。」
転生神 「え…そんなにヤバいアレなんですか?」
??? 「いや、ノリでそう言った。
ほれ、こういう雰囲気というのは大事じゃろ?」
男主人公「分からなくは無いですが、洒落にならない様な…。」
??? 「何、気にする事は無い。
ほいじゃ、行きましょうかねー。」
案内役の機械はそう言うと、その部屋の扉を開いた。もう既に向こう側の言葉からノリであるとは言っていたが、戦乱の中とかいう単語が出て来ている時点で、この後の展開は察する事は出来るのだが、一応、言っておくとしよう。
果たしてこの後、この部屋の中で俺達の目の前に待ち受けている光景とは一体何なのだろうか…。
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えぇっと、まず最初に…
「なぁんで、2話も連続で???表記の人にここを任せるのかなぁー!?」
…って、思うのは私だけ?(うーん、メタメタしい…ってアレかな?)
しかも、この話では全体を通して???表記の人…うんまあ、登場人物は3名ぐらいいるから分からない人には分からないでしょ…。
(まあ、終始その表記の人だけで見たら、またその数は違うだろうけど。)
あ、私は中盤(?)辺りで、彼と街角だっけか辺りでぶつかってオロオロしていた子の方です、はい。
まあ、そんな余談は置いとくとしておいて…。
どうやら、新しい人達がこの街に来たみたいで色々と聞いて回っていたりしていた感じかな、その道中で例の私との衝突事故が起こった感じだったかな?
あ…後は、プロフィールカードをギルド協会で作っていた感じだったかな、アレ持っているだけで結構色々と出来るから便利なんだよねぇー。
(まあ、話せる事は今回出て来ていた内容辺りまでしか現状だと出せないみたいだけど。)
あ、戦術学校も名前とその建物が出て来ていたよね?
(…まあ、これも現状だと出ていた部分しか話せないみたいだけど…。)
大雑把だし、順番はバラバラだろうけど、今回の話で出て来たのはそんな所だったかな。
(いや、まだあっただろ…とか言われても、流石に全部なんて把握出来て無いから…うん。)
んん!? ギルド協会で色々と受付の人が教えてくれたりしていたはずだけど、その人は伏字が解禁されていたよね…なら、何で尚更ここで私を使って2話も連続で伏字の人にここを任せたのかな!?
ま…まあ、いいや…こ、これぐらいにしておこう…うん、そうしておこう。
とにかく、ここまで見てくれてありがとうございました。
次回の投稿も楽しみにして待っておいてもらえたら良いかなって思ってます。
(まあ、どれだけ時間掛かるかは分からないだろうけどもね…汗)
う…うん、2話続けてここの役の選出に???で伏せられている登場人物を割り当てている時点で、今後のこの部分の事が色々と気になって来るけど、うーん…それは私だけかなー?
<by ???>
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ご閲覧、ありがとうございました!!
今回のタイトルは過去話と比べたら、凄いフワッとしている感じの名前ですねぇー。
まあ、その割には実は色々と大事な設定やらがそこそこ出て来ていた様な内容にはなっていたと思います…多分ですが(笑)
後は、この話で初めての日常回の方向に位置する話になっているというつもりで、今回の話は書かさせていただきました。
まあ、続き方も繋がり方も影響していて、完全にその1話だけで話が終わっていないので、ある意味ではそれらの中間部分でもあるので、完全に日常回とは言い切れない形かもしれないですねぇー。
…とは言え、男主人公と転生神に関してはタイトル通りの内容に近づいた回になったという感じの話ではあったと思います。
ここでこう書いている様に、そして実際に見て下さった方々もそこら辺は理解して下さっているかもしれませんが、先述もされている通りこの話は通過点的なポジションになるので、完全な話タイトルを回収はしきれていないのでは…と後書きを書いている時に思っていたりもしていました…(笑)
まぁ、そんなもんよ…大事なのは個人の都合になり申し訳無いですが、制作者が無理なく楽しんで書き進めて行ける事が大切だと思っているので、そこら辺の事はご了承下さいませ…としか(汗)
さて、今回の制作者の方からの後書きはここら辺で終わりとさせていただきます。
再度、重ねてとなりますが、ご閲覧いただき誠にありがとうございました…!!
次回の更新も気長に待っていただけると幸いです。
<by 制作者>
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次回へ続く→