31話 オドロの谷
「ああああああああああああああああ」
広場に鳴り響いた。毒を片足にうけたリルルが頭を抱えて泣き叫んでいるところだった。
叫び声を聞いた周りの何人かは思わずリルルに顔をそむける。
リルルは一体何をみているのだろうか?俺はふと出会ったころの記憶を思い出す。
急に俺の縄がゆるんだ――いや、勝手にゆるんだわけではない。だいたい予想がつく。
ダリヤが様子に気づいたのか?
泣き叫ぶリルルを横目にダリヤは俺のほうへ腕を突き出した。
「少し動けるみたいね。儀式は楽しまないと……やっぱりメインのあなたはみんなが苦しんだあとにゆっくり味わうわ。おとなしくしてて頂戴。麻痺毒」
くそ。よけられるか?少しでもふれるとまた麻痺状態が続く。逆転の機会もなくなる。
しかし、俺のほうへは麻痺毒は届かなかった。
アリアが目いっぱい体を動かし盾になった。
「どうして……」
「わたしのリエト様は負けません。いつだって、最強です」
そういうと、しびれて動けないはずの腕を俺のひざに置き叫んだ。
「超回復」
その瞬間、俺の体は光につつまれた。体が軽くなり、急激にしびれがなくなっていった。
「いつもどおりかっこいいところみせてください…」
「余計な真似を。麻痺毒」
再び毒が迫ってきた。
「瞬間移動」
俺はアリアを抱えて安全な場所へ移動した。
ぐったりとしたアリアをゆっくりと地面におろした。
「もう少し頑張ってくれ」
「どこだ、どこへ行った」
ダリヤの声が聞こえる。再び瞬間移動というと、今度はリルルの前へ移動した。
ダリヤは驚きを隠せない様子だった。「ヘルマンのスキル」そう聞こえた気がした。
リルルのそばによる。叫び疲れたリルルの目の周りは赤くなっていた。
「リエちゃん、ごめんね。また助けられなかった」
「謝ることじゃないさ。今回ばかりは俺の油断が原因だ。リルルを守ってあげられなかった」
自分自身に怒りがこみあげてくると同時に、ダリヤへの怒りも膨れ上がった。
「君は俺を怒らせた。どうなってもしらんぞ」
黒い手袋を外し、ダリヤへ言い放った。
「麻痺毒」ダリヤは両手を突き出すと、叫んだ。その瞬間、無数の毒が俺をめがけて襲ってきた。
「瞬間移動」ダリヤの背後に移動した。
「遅い。蓮風かまいたち」俺は腕をふった。
同時にダリアもポイズン・シールドと叫び。毒の壁を形成した。しかし、かまいたちの威力を前に壁はこわれ、ダリヤが後方へ吹き飛んだ。
「お、お前のスキルは瞬間移動だけはず。一体……」
「一体いつからスキルが1つだけだと思っていた?」
「2つのスキルもちなんてきいたことない。」
「いや―2つじゃない3つだ。アイス・ジャベリン」
氷でできた槍をつくると、ダリヤへ投げた。
毒の壁でガードをしようとしたが、俺の投げた槍の速さに間に合わなかった。
槍はダリヤの右肩を貫いた。
「ああああああああああ」
「リルルの痛みはこんなものじゃない、覚悟しろよ、ダリヤ」
俺はもう一つ氷の槍をつくり、投げようとした。
「動くな」
その方角をみると、ルナの首元にナイフを突きつけた村長がいた。
「ご主人様ごめんなさい。僕のことはいいから」
「いいわ。村長そのままね。瞬間移動したら、その猫耳娘の首をかっきりなさい。仲間思いの坊やなら動けないでしょ」
ダリヤは勝ち誇ったように笑い始めた。
ああ、そうか。俺は動けない。俺はな。
「ロレッタ!!!」
ロレッタが村長の横から姿を現した。
「はい」
そういうと村長の頭を持っていた木材でたたいた。村長は意識を失ってたおれた。
「なにいいいいいい」
「もう一度いう、覚悟はいいか?ダリヤ」
「ああああ」
ダリヤは追い詰められたかのようにこちらに走ってきた。
「殺してやる。『致死毒』」
突き出した左腕から、いままでの最大量の毒が放たれた。
「瞬間移動」
俺はダリヤの背後にぴったりと回り込むと背中に手を付けた。
「終わりだ。アイス・ワールド」
そういうと一瞬にしてダリヤは凍ってしまった。
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