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2話 同期


 カリストは腰に提げてある剣を抜くと、俺に刃先を向けた。


 思わず俺も身構えた。場が一気に静まりかえった。


「君のスキルでは僕に勝てないことわかっているよね。ほら、触って動き止めてごらんよ、無能が」


 カリストは剣を構えると、俺のそばまで走ってくると容赦なくきりかかる。


 こいつ、本気で俺を殺しにきているのか。


 俺は剣の動きを見切り左側へ回避した。するとカリストは地面についた刃先をそのまま俺の体へめがけて真横に振り抜いた。


 やはりだ。こいつは少しの迷いもなく、振り抜いている。俺に生きていられては都合が悪いのか。


「俺は味方である君とは戦いたくない。ましてや同期だ。剣を収めてくれないか」


「まだ味方だと思っているのかい、昨晩利用しておいて」


 カリストは蔑んだような表情をむけてきた。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」


 くる!!!


 腰にさげている刀をぬいて迫ってくる刃を受け止めた。


 キィィィーーーン。


 刀同士がぶつかり合う音が響いた。


 くそ。重い。こっちが本気でないことをいいことにバンバン攻めてくる。


「君は昔からスキルは平凡だったが、体術、剣術は得意だったね。おかげで副隊長までなれて。そんな君がずっと憎かったよ」


 別に志願してなったわけじゃないし、私情をもちこむなよ。


 同期として入隊した俺らだったが、入隊当時から馬が合わなかった。なにかあるごとにつっかかってくるカリスト。当初からカリストはスキルが強力で隊内から一目を置かれていた。


 一方、俺は剣術、体術で名が通っていた。しかし、この世界ではスキルの強さがすべて。体格差、技術差などいとも簡単にひっくりかえせてしまう。スキルは魔力を源泉にした魔術みたいなもので、幼少期にひとりにひとつのスキルが発現する。スキルが発現するのはごくわずかな人だけで、それだけで王直属部隊の入隊試験をうけられるほどだ。


 三番部隊隊長へ現在の隊長であるレオポルドが昇格したとき、空いた副隊長の枠はスキルの強力なカリストが選ばれる。


 誰もがそう思っていた。


 実際に俺もそう思っていた。しかし、レオポルド隊長が副隊長に指名してきたのはなぜか俺だった。カリストは逆恨みなのか。あのころから輪をかけて仲が悪くなった。


 カリストがいったん態勢を立て直し剣をしまった。


「少し本気をだしてやろう」


 カリストは高々と右手をあげ、そのまま勢いよく振り下ろした。


「蓮風かまいたち」


 刃物のようになった風が俺の頬をかすめた。


「殺す気か」俺は叫ぶとカリストはああと静かにつぶやいた。


「蓮風かまいたち」


 そう叫ぶと今度は両手を連続で振り下ろしてきた。


 襲ってくるかまいたちをぎりぎりのところでよける。依然と比べて威力がましている。


「スキルは使わないのかい?使っても私のスキルの前では無力、無能に等しいけどな。」カリストが勝ち誇ったように笑った。


 あまりスキルを使いたくないのだが。そうもいっていられない。そして、俺のスキルについてみんな誤解しているぞ。今まで見せる機会がなかったのだからしょうがないか。


「なんだ、何がおかしい?」


 スキルをお披露目する機会がうれしくて顔にでていたのか。


 俺は両手にしていた黒い手袋をはずし、剣を握りなおす。


 一瞬、ほんの一瞬だけカリストの体に素手で触れると勝機はある。


 見せてやるよ、真のスキルを。


 カリストはフッと笑うと連撃蓮風かまいたち、そう叫ぶと続けざまに攻撃を仕掛けてきた。威力も速さも格段にあがっている。


 くそ、近づけないのでは手で触りようがない。


「どうした、どうした!副隊長さん。よけるだけか」


 そうだな、煽りにのってみるか。


 前に駆け出した。


 カリストのかまいたちはたしかに速い。だが、君の目線や、手を振り下ろす角度で予測しやすい。相手が俺だったのが残念だったな。だんだん距離が縮まってくるのがわかる。ははは、そう焦るなよ、カリスト。君は弱いわけではないよ。


 近距離でかまいたちを避け、おびえるカリストの手に触れた。


 勝った。


 そう確信し、俺はスキルにより動きを一瞬だけ止められたカリストに一撃殴ってやろうと振りかぶった。


 これで少しは力の差を証明できただろう。


「ヒート・ジャベリン」


 そう聞こえたかと思うと、俺の左肩を炎をまとった一本の槍が貫いていた。


 なんだ、これは。


「ああああああああああああああああ」


 痛い。痛い。焼けるように痛い。熱い。


 槍が飛んできた先を俺はにらんだ。


 やはりレオポルド隊長か。


 続けざまに2投目が右足を貫いた。


 ん?俺は死ぬのか?こんなにもあっさりと。副隊長にまでのぼりつめたのに。結局信用してもらえず、この仕打ちかよ。こんな扱いされるならむしろ死んだ方がよいのかもしれない。


 やばい。目の前が霞んできた。痛いという感覚もない。


「こやつを追放だ。南の貧民街でも捨てておけ。」


 そう声が聞こえると同時に俺は意識を失った。


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