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16話 ミランダ③


 領主のお屋敷をでるとまっすぐ宿屋にむかった。


「リエト様、ごめんなさい」


 アリアはまださっきのことを気にしている。


「ヘルマンさん見た目と違い、やさしかったですね。でもああいう人が実は魔王軍幹部だったりするんですよ」ルナは元気よくいった。


 声が大きい。今の街の人に聞かれたら、石投げられるからやめようね。



 宿に戻って、夕食を食べた後、俺は一人部屋で剣と防具を磨いた。


 王国を出てからというもの装備の使い道はほとんどなく、魔獣とゴブリンに数回使った程度。一番の活躍はドラゴン退治かな。切れ味が思った以上に高くて驚いたのを覚えている。


 スキルに頼りすぎてはいけない。これは俺自身への戒めで、強いスキルの使い手は強い肉体と高い技術を持たないといけない。


 副隊長のときは、道具磨きや朝の訓練をかかさなかった。


 そうこうしているうち時間は過ぎていき、寝ようと床についた。


「なんでわたしたちの部屋にこないんですか」


 突然部屋のドアがあいたと思うと、アリアとルナがあらわれた。

 

「夜這いしてくれるだろうと僕は待っていたんですよ」


 ルナが怒りをぶちまける。


 今回の宿は2部屋とった。アリアが1部屋でいいといったのだけれど、さすがに3人部屋はなく、1部屋ではとても窮屈そうだった。そこで、俺が1部屋、アリアとルナがふたりで1部屋とることになったのだ。


 てっきり女子だけで話しているかとおもったよ。年頃の女の子なら好きな男の話で盛り上がって夜更かししてもいいんだよ?


「へへ…リエト様が2人、3人、分身でも使ったの?」


 アリアがふらふらになりながら言った。手には【ポート・スイング】と書かれたボトルがみえた。


「おい」


「えへへ、僕がクレイフェルトを出る前に領主様にいただきました。もちろん魔力なんてはいってないやつですよ」


 ルナが形だけ反省したようにいった。


「それにしても飲みすぎだ。ふたりでどんだけ飲んだんだ」


「俺の目が黒いうちはその酒はうらせねーよ。キリッ」


 ルナは俺がランツでディックへ言い放った言葉をまねしていった。


 アリアはプハーと笑いをこらえられずに口元を抑えている。


 くそ、せっかくかっこいい場面だったのにだいなしじゃねーか。


「酔っ払いども、もう帰れ。明日もロレッタと約束があるだろ」


「もうちょっとだけいいじゃないですか。僕とベットで朝まで語り合いましょうよ」


「あまり大人をからかうんじゃない」


 ルナにでこぴんした。


「痛っ」


 ルナはおでこを抑える。


 そうしている間にもアリアは立ったまま寝そうだった。


「ご主人様、少し氷をだしてください」


 俺はランツでディックの氷結をストックし、トビオの爆発を捨てたのだった。


 ルナなにかよからぬことを企んでいるな。


 俺は氷をだし、ルナに渡した。するとルナは受け取った氷をわしずかみにしアリアの背中側にまわった。

 

 えいっと服を引っ張ったかと思うと、重力操作でアリアの背中に氷を這わせた。


「ひゃいいいいい」


 突然の冷たさに声を上げるアリア。


「これが人生初の協同作業ですね」


 うまくいったといわんばかりにルナは俺をみた。


 こっち見るな、こっち。


「ところでルナはどのくらいの重量のものまで浮かせることができるんだ?」


 俺は素直な疑問を口にした。

 

「んーとですね。ミランダの門の近くにある鐘くらいの重量のものなら浮かせられるかもです」


 確かに門のところに俺らの身長の2倍くらいあるバカでかい鐘があった。俺は軽く横目でとおりすぎただけだった。

 

「あれはなんのためにあるんだ?」


「あれはですね。旅人がこの先の旅の無事を祈るために、よく鳴らすそうです。実際に鳴らした旅人は災いなく旅を終えることができた方も多いそうですよ。あの鐘は細部のつくりが実に細かい。うんうん。」


 だからなんですか。芸術家気取りのアピールは。


 ルナはじっとこっちを見つめた。


「僕と一緒に寝てくれないですか?」

 

 なんで今日はいつにもまして積極的なんだよ。


「はいはい。ルナが魔石を取り返したらな。今日はアリア連れて帰れ」


 ルナと寝るのはいいが、絶対に良からぬことを企みそうだ。


「はーい」


 ルナは再び寝てしまったアリアを引きずりながら去っていった。


 さて、明日から魔石さがし頑張るか。そんなことを考えていたら、いつの間にか眠りに落ちていった。
































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