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26,荒野の塔 5

『レベルが上がりました!』

『「投擲」のレベルが上がりました』



 ――――――――――――――――


 チョコ Lv17 ↗


 種族:獣人(猫)

 HP:28/28 ↗

 MP:21/21 ↗


 力:27 ↗ 

 守:24 ↗

 速:46 ↗

 頭:18 ↗


 器用度:1


 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


「嗅覚」:Lv6  「聴覚」:Lv4

「集中」:Lv2  「本気」:Lv2

「ジャイアントキリング」:Lv2  「隠密」:Lv5 

「威圧感」:1

「手探り」Lv3  「バックスタブ」:Lv4

「投擲」:Lv3 ↗ 「アンチロック」:Lv1

「暗視」:Lv3  「一騎当千」:Lv1

「暗殺の才能」:Lv1 

「ブラッディフラワー」:Lv1


 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

 称号:暗殺者

 ――――――――――――――――



 拾っていた石を投げ終えたころにはミノタウロスの動きもだいぶ鈍くなっていたのでとどめはナイフで刺した。

 久々に本気の戦闘をしたけど、やっぱり楽しいね!だいぶ鬱憤も晴れたし。


 清々しい顔をして私はレベルの上がった「投擲」を見る。



 速さは変わらず精度が上がった、って感じかな?速さは筋肉依存だよね、さすがに元のステータスであんな速さ出せないし。「本気」使えないイベントなら投擲専用の武器を仕入れないとだめかも…



「投擲」以外の他のスキルは伸びなかった。


「聴覚」や「嗅覚」はほとんどパッシブみたいな使い方してたもんね、戦闘時にしか使わないようなスキルの伸びはいくら補正がかかろうとも時間がかかってしまみたい。

 第一ここまでまともな戦闘がなかったもんね、そりゃ伸びることもありませんよって。イベントに向けてもう少しレベル上げした方がいいのかなぁ?



 イベントのことを考えると最近の移動の多さや戦闘との疎遠さに焦りが生じなくもないが、ダンジョンをここまで攻略しているのはわたしだけ…と自分に言い聞かせることによって心の平静を保つ。掲示板にダンジョンの情報が記載された時点で他のプレイヤーも来ていることは確定的に明らかなのだが。



 私はミノタウロスのいた場所に近寄りドロップアイテムを手に取る。



 おぉ、初めて素材じゃなくて装備品が落ちてる!



 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


「ブッチャー」


 骨さえも砕き切る肉屋御用達の包丁。

 扱いは難しいが、その一撃は魅力的。


 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


 私は手に取ったブッチャーを品定めするように眺める。



 ミノタウロスが持っていたのよりだいぶ小さいな、所有者の使えるサイズになるってことかな。というか武器…なんだよね?肉屋御用達とか書いてあるけど。



 私は一応片手剣扱いらしいそれを二度三度振るってみる。



 おおぉう!包丁に持ってかれる!結構先端に重量が行ってるのか。

 説明文通り使いずらそうな武器だけど、扱えるようになったら強力な一撃がかませそう!もともと一撃で戦闘終了にするスタイルなんだから案外あってるかもしれない。



 色々と難点はありそうなものの尖った性能が気に入りつつある包丁を収め、私は門の前に立つ。



 ここからが問題だ…吉と出るか凶と出るか。頼みますよ神様…!



 手をこすり合わせながら素人丸出しの念仏を唱え門を押す。



 鍵開けは嫌だ、鍵開けは嫌だ…


 古びた帽子はないけれど、祈ればかなうと信じるのは自由じゃないですか!



 ……



 門を開き、中に入るとそこには先ほどのボス部屋よりも広い空間があり、100人はいるであろう冒険者たちが思い思いの場所でくつろいでいた。

 丸い円形になっている広場には、私のいる門から対角線上にもう一つ門があった。

 この門の前には冒険者ギルドらしきテントが陣取っており、中に入るものに二、三言告げているのが見えた。



「おっ、嬢ちゃんそこから一人で出てきたってぇことはあの牛頭を一人で狩ったのか?いいねぇ!俺ももう少し若けりゃバリバリと行きたかったぜ!」



 私が、門から出てきたところを見ていたのか30代ほどのスキンヘッドのおじさんが話しかけてきた。

 おじさんはもう今日は戦う気がないのか、防具を地面に置いて赤い顔して酒を飲んでいた。


 そのスキンヘッドは自前ですか?なんてことを聞けるわけもなく、この人がどんな人なのかもわからないのでとりあえず聞きたいことだけ聞いてさっさとテントに向かうことにした。



「あの、すいません。あのテントってギルド所有の物でいいんですよね?あそこに行けば下層の情報とかって手に入れることができますか?」



 私がそういうとおじさんは「つれないねぇ」とか言いながらもテントのことを教えてくれた。

 あれで飲みに誘ってるつもりだったなんてないよね!?


 おじさんが言うには、私の想像通り、あのテントで情報収取や下層に進む手続きを済ませることができるそうだ。


 今度誘うときはもうちょっとマシに誘ってくれと思いながらおじさんに感謝をつげテントに向かう。



 テントに向かう際、その辺に座っている冒険者たちの装備をちらほらと見ていたが私と同じ包丁を持っている人が結構いた。いつの間にか時代のはやりに乗っていたらしい。

 しかし、防具の方はそうともいかなかった。皆、鎧や皮といったきちんとした装備をしていて、初心者丸出しの装備をしているのは私だけだった。



 これはちょっと恥ずかしいなぁ…



 気にも留められてないことはわかっているが何となく見られているような気がして居た堪れない気持ちにった私は急ぎテントに向かった。



 テントに着くとそこには二つの集団があった。

 下層に向かおうと受付をしている集団と、売店で食べ物や飲み物を買っている集団だ。


 まぁ、私には関係なさそうだけど。


 二つの集団をしり目に、初めてここに来た私はテントの隅っこに配置されている「中層攻略届」というスペースに向かった。



「すみません、中層を攻略したので下層の情報が知りたいのですが。」



 暇そうに頬杖ついていた赤髪の受付さんに話しかけると、受付さんはたるそうにこちらを見てぶっきらぼうに「パーティー全員で来たら教えて。」と言った。



「あの、私ソロです…」



 唐突なぼっち宣言の強要。好きでやっているとはいえハラスメントでは?ご相談フォームはいずこ?

 ふざけたことを考えていると受付さんは「最近はソロが流行ってんのかねぇ」とか言いながら私に椅子に座るよう促してくる。

 私が大人しく椅子に座ると受付さんの棒読みな説明が始まった。



「えーっと、まずは…えー、第一確認。ミノタウロス討伐を証明するものー、その包丁ね、わかったー。えー、第二。中層階魔方陣の登録はすんでいるかー、えーすんでないの、わかったわ。

 ラスト―。質問はないですよねー、え、ある?ほんとに?考え直した方がいいよ…?」



 誰だよこの人をここに配属した奴、お前の責任だぞ…。いや、上でまともに応対しなかったからこっちに飛ばされたんだろうけど。

 あまりにあれな受付さんに面喰いながら私は魔方陣の説明と下層ダンジョンの情報を聞く。


 まずは魔方陣について。

 この階層にはダンジョンの入り口にあったものと似たような魔方陣が設置されているらしい。私は気が付かなかったがこれがテントの中にあるので登録しておくと次からは入り口からテントに飛んでこれるそうだ。登録を忘れ、再び門から入ってくるとギルド員に誘導されまたこの部署に来させられるようなのでとっとと登録してほしいと言われた。ていうかあのおじさんギルド員かよ!!



 ちょっとした驚愕情報があったが私が知りたいのは下層の情報。これは私の思っていた方向とは違う感じでひどかった。


 下層は私が苦戦した鍵開けのような純粋な謎解きはないらしい。罠あり、戦闘あり、かつ次層に進むための手順が面倒なダンジョンのようだ。

 やっとあの苦難から解放される、割と高難易度なんだな、やっと戦闘できるんだなと感じるが、その戦闘に出てくる魔物が変わっている。

 なんと出現する魔物は一体。ミノタウロスだけだ。



 いや、王道だけれども…いきなり過ぎない?



 そう、下層にはあのミノタウロスさんが通常モンスターとしてうろついているのだ。


 えーっと…つまり「本気」状態の私が一撃で墜とされる攻撃を何とかよけながら彼ら自身に扉を開いてもらわなければいけなかったりして…



 上層がいやらしいダンジョンの下層がいやらしくないはずがない。鍵開けとはまた別の方向で神経を使いそうな下層に頭を抱えるチョコだった。

10万字書くことができました。

これも皆様に毎日閲覧していただけたがためです。本当にありがとうございました。


ストックが切れたため毎日投稿はできなくなりますが3日に1度投稿していきたいと思っています。

再びストックがたまった際には毎日投稿を開始したいと思っているので、その時は再度ご連絡させていただきます。


日曜日の更新も楽しみにしていただけると幸いです。

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